史朗と富永家の人々の出会いについて。
元々2人でスイカを分け合い、史朗に一切れをご馳走した佳代子でしたが、史朗の態度に不気味さを感じ、疑心暗鬼にかられます。その後史朗はティッシュペーパーを取ろうとして、ケースの中が空っぽなのに気づき、ティッシュはと声をかけるのですが、佳代子の恐怖心は頂点に達し、大きな悲鳴をあげます。史朗は戸惑います。彼女に何と言うべきか、うろたえつつも最初に口を突いて出たのは、この一言でした。
「私はゲイです」
そして財布から名刺を取り出し、
「弁護士をしております、筧史朗と申します」
佳代子はこれでやっと静かになり、これがもとで2人は打ち解けます。そして昼食にツナとトマトのぶっかけそうめんを振舞い、その後もしばしば連絡を取って、自分の家だけでは多すぎる野菜や果物を分けてくれるようになります。
ある日、中村屋で安売りをしていたキャベツを2人で分けたものの、1つをどうしても消費し切れそうになく、それでコールスローを一緒に作ることにします。史朗はその前に実家に帰っており、両親はやはりゲイをよく思っていませんでした。ゲイである自分を受け入れてくれる佳代子に、史朗は言います。
「うちの母も、佳代子さんくらいの距離感で接してくれたら」
しかし佳代子はこう答えます。
「筧さん、私に取っては他人じゃない。家族とは違うもん」
つまり第三者の立場なのだから当然であり、佳代子も娘が同性愛だったらそれは困るようです。そのような話をしていると、佳代子の夫富永が仲間を連れて帰宅し、その内の1人でやはりゲイの小日向大策を紹介します。
「噂の筧さんね」
どうやら富永は、史朗がゲイであることを小日向に話していたようです。ゲイ同士仲良くと富永は言い、その後ピザとビールで飲み会が始まります。
小日向は、富永さんが言ったことはあんまりですねと言いつつ、史朗にビールを注ぎ、「悲しい話」を聞いてくれと言って、同居している井上航のことを話し始めます。ビジュアルはジルベールのような美少年と小日向は言いますが、そもそもジルベールの何たるかを知らない史朗は、スマホでこっそり検索し、『風と木の詩』の主人公の、金髪の少年であることがわかります。
ジルベールこと航は、小日向の帰りが遅く、しかもメールすら送ってこなかったことで、玄関をロックしてチェーンを下ろしてしまい、本来のこの家の主である小日向を入れようとせず、コンビニでアイスクリームを買って来させるのですが、それを聞いた史朗はこう言います。
「あなた、今長々と2人の楽しいプレイの話を聞かせましたね。今日会ったばかりの人間に。今のは完全にのろけと受け取っていいですよね」
そこへ富永が来て、ゲイ同士楽しくやっているかと訊き、2人は声を揃えて
「ええ、とても」
と答えます。
その後史朗は、自分がゲイであることを相手は知っているため、富永家にはさほど構えずに行くようになります。桃を貰った時には、ゲイカップルならではの悩み、努力も打ち明けます。普通の主婦である佳代子は、それにうなずいたり驚いたりしてみせます。
そして玉ねぎを貰いに行った時、これはクリスマスの直前でした。史朗は紙袋に何個もの玉ねぎを受け取るのですが、この時初めて佳代子は、家族のことを史朗に打ち明けます。
佳代子と夫の間にはミチルという一人娘がいます。このミチルが8年も好きな男性と同棲していながら、結婚する意志がないことを2人は嘆きます。史朗もその前また実家に行っており、賢二を連れて帰るように言われていました。
史朗は内心こうつぶやきます。
「何だ、親の悩みは、ゲイでもノンケでも変わらないじゃないか」
佳代子はその気持ちを知ってか知らずか、こう言います。
「親って変な生き物でしょう」
この言葉が背中を押したのか、史朗は小日向と航を呼んでのパーティーの時には、既に賢二を連れて帰ることを決心したのでした。
あと2020年の正月スペシャルで、再び史朗は佳代子と顔を合わせますが、これはまたスペシャルについて改めて投稿する予定ですので、その時に。
それから先日分で、史朗のセリフが一部違っていたので直しています。きちんと映像を観ず勘に頼るとダメですね。
(画像は公式サイト及びDVDより)