では、『真田丸』と『シャーロックホームズ』、そして今回も『新・三銃士』の共通項です。今回は何といっても、信繫が小田原城内に行く途中、生きて帰って来られるかと独り言を口にするところです。あれは、パペットホームズの「失礼な似顔絵の冒険」の予告ナレーションで、ホームズとワトソンが、ミルヴァートン先生の部屋に忍び込むことになり、ナレーションを務めるワトソンが、「僕たち生きて帰れるのかなあ」と言うのを思い出してしまいます。この時のホムワトは目隠しをしていますが、『真田丸』では、道案内役の本多正信が覆面をしています。
この小田原城中に行くシーンも、パペットホームズの「イヌ語通訳の冒険」をちょっと思い出します。こちらの方は、犬の言葉が分かるシャーマンが、夜中動物小屋から何者かに連れ去られ、ある場所にいる老犬の通訳をしろといわれるわけです。この老犬はソフィというメスで、この犬を助けてくれるように、シャーマンが依頼をしに行くことになります。しかしこの回は、パペットホームズの中でも結構サスペンスタッチの回で、シャーマンがホームズに依頼をして来た後に、再度ソフィ共々いなくなります。
こういう辺りが、城内に入り込んだ信繁が、氏直や江雪斎と会ったものの、その後危ない目に遭うのとダブるのでしょう。「イヌ語通訳の冒険」には、正典の『技師の拇指』に登場する、同じ距離を往復して、あたかも長距離を歩いたかに思わせるトリックが出て来ますが、『真田丸』は如何に。また、徳川家康や大谷吉継が、北条氏政は殿下を支える器量の持ち主と秀吉に提案するところは、『新・三銃士』で、ダルタニアンが反乱軍の砦で捕まるものの、バッソンピエールから自分たちの味方にならないかと持ちかけられるシーンを、ちょっと思い出します。結局ダルタニアンは断り、銃殺刑に処せられそうになるのですが、意外な人物に助けられます。
それから石田三成が、自分の思い通りに行かなくて苛立つシーン、これもホームズが自分の推理がうまく行かない、あるいは相手に先を越されて悔しがるシーンを彷彿とさせます。たとえばベインズと推理競べをして負けて、怒って221Bに戻ると、ハドソン夫人が勝手に掃除をしていたのでよけい苛立つとか、踊る人形をアガサに先に解かれてしまって、彼女に当たり散らしてしまうとか。なまじ自分に自信があるだけに、それがうまく運ばないとなると、向きになってしまうところは両者に共通しているようです。
また、この『真田丸』では、様々な部分にこだわりが見られる傾向がありますが、これもパペットホームズで、三銃士+オライリー(つまり三谷氏)の胸像がビートン校の美術室に置かれていたり、アーサー・モースタンの部屋に、これまた三銃士をあしらったビートルズ風のポスターがあったり、さらにイザドラ・クラインの部屋にミレディーの肖像画があったりすることを考えれば、きわめて納得の行くものです。ホームズの「シャボン玉製造機」しかり、221Bの壁に事件関連の絵が貼られていることしかりです。保健室の視力検査表にもパイプが描かれていたりしますし。
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