先日書いていた『太平記』のコミック版を読んでいます。正確には「マンガ日本の古典18 太平記」(中公文庫)で、作画はさいとう・たかを氏なので、本格的な劇画となっていて、大人でも十分読みごたえがあります。というより、『太平記』のおさらいをしたい大人(私も含めて)にはぴったりといえるでしょう。
まずプロローグは、鎌倉幕府最後の執権である北条高時が、闘犬に狂う様、そしてその後の戦乱が描かれています。そして第一章のあらすじです。
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時の帝、後醍醐天皇はこの高時の計らいで、31歳で即位した。十代で即位するのが当たり前の時代、これはきわめて異例なことだった。後醍醐天皇の父、後宇多院は、後醍醐退位後は、先帝であり、後醍醐の兄である後二条天皇の子に即位させる予定でいた。
学識文才に優れ、政(まつりごと)にも関心の深い後醍醐はこれが面白くなく、即位後院政を廃して、自ら訴えを聞くこともあった。また元亨元年(1321年)の飢饉の際には自ら食料を分け与え、富裕層の米を検非違使別当に買い取らせて、それを民に与えた。これにより、民は帝を慕うようになった。
そして後醍醐は中宮藤原禧子を迎えるが、その后本人よりも、侍女の阿野簾子(あのの れんし)に心を奪われる。また、幕府による制約により、今や二分された皇統をどうすることもできないという後醍醐に、簾子は幕府を潰してはどうかと直言する。そして簾子は准后となり、後醍醐は、かつての延喜天暦のように、天皇による親政を理想として、若い貴族の中から気鋭の者を集めた。
この貴族たちは日野資朝、日野俊基、四条隆資、花山院師賢、そして平成輔といった顔ぶれであった。そして討幕の密談の折には、必ず簾子もいた。彼らはみな、幕府の両統迭立を批判するものの、具体策が無かった。そこへ簾子が、諸国の不平不満を持つ者たちを集めてはどうかと進言する。
日野俊基は、山伏に変装して諸国を歩き、不満を持つ武士たちと接するようになった。そして多治見史郎次郎国長といった武士たちを仲間に引き入れ、幕府を欺くため、日野資朝は無礼講を開いて彼らを招待した。後醍醐や簾子も、彼らに目通りし、その後文学談義などを装って、討幕の密談は進められて行った。
後醍醐は、特に利発で聡明な第三ノ宮を比叡山の門跡とした。これには、いざという時に、僧徒たちを北条討伐に向かわせるという目的もあった。その一方で簾子は、後醍醐の皇子を生む決心を固める。
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太平記は阿野簾子をあまりよく描いておらず、特に政に口をさしはさむ点を批判していますが、なかなかの策士かつ女丈夫ぶりを窺わせます。後醍醐天皇との関係は、徳川家康と阿茶局のそれを連想させます。なお准后とは、太皇太后、皇太后、皇后に準ずる地位のことです。
そして日野俊基が登場します。大河の『太平記』で、榎木孝明さんが演じている人物です。戦国期に至るまで、怪しまれずに諸国を回るのには、山伏の格好が一番でした。『真田太平記』でも十勇士の何人かが、山伏に変装するシーンがありますね。
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