まず、この読売新聞の記事をご紹介しておきます。
NHK大河ドラマ「真田丸」~さく裂?不発?三谷マジック (YOMIURI ONLINE 深読みチャンネル)
コラムニスト桧山珠美さんの記事です。桧山さんの記事に関しては賛否両論ありますが、この記事は結構うなずけます。ただ女性陣の描き方云々に関しては、それなりの理由があると私は思っています。
さてその『真田丸』の女性陣、先日も触れたきりと梅ですが、この両者にパペットホームズのキャラがだぶります。番組を観ていた方なら、思い当たるふしもあるのではないでしょうか。まずきりですが、こちらはホームズにまとわりつくアガサ、時々シャーマンといったところでしょう。アガサ(本名アガサ・ライト)はピンクの髪をツインテールにした、エキセントリックな感じの女子生徒で、集団行動が苦手で、結構繊細なところがあります。
このアガサは、初めて口を利いたホームズに、いきなり「チューして」と迫ります。第11回「祝言」で、信幸が「口吸い」を言うのをちょっと連想させます。その後も押し掛け弟子、果ては押し掛け女房よろしく、ベイカー寮の221Bまでやって来るわけで、ある意味積極的な子ですが、ホームズは素直になれません。もう1人のシャーマンは金髪で、男の子の言葉を使う「僕っ娘」で、こちらもちょっと不思議ちゃんです。動物好きで犬の言葉がわかって、男の子にそう興味があるようには見えませんが、ホームズの捜査を手伝う時があります。基本的にきりはアガサキャラですが、それでいてどこか純粋なところ、時に男勝りに見える辺りに、シャーマン的なものも感じられます。
一方梅の方ですが、こちらはメアリー・モースタンでしょう。このメアリー・モースタンは原作のホームズにも登場します-無論アガサ、シャーマンも出て来るのですが、アガサは『チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン』にちょっとだけ、シャーマンは『四つの署名』に、これも少しだけ登場し、しかもこちらは元々は老人です。このメアリーは『四つの署名』の依頼人で、ワトソンが夢中になる女性で、人形劇でも似たような設定になっています。しかしこのメアリーは、アガサやシャーマンに比べると、「思わせぶりでちょっと悪い子」(シャーロックホームズ完全メモリアルブックより)です。
たとえば『バスカヴィル家の犬』を原作にした「バスカーヴィル君と犬の冒険」で、彼女はワトソンが自分を好きなことを知りながら、バスカーヴィルとも付き合っています。しかも相手に好意を持つ持たないで、バッグの持ち方を変えたりもしています。この事件は、そのバスカーヴィルと、デートの相手のメアリーが魔犬を見たことに端を発するのですが、メアリーはその魔犬を誰が見たかにうすうす感づいており、バスカーヴィルへのライバル意識もあって、ホームズの代わりに捜査を買って出たワトソンに、これにはもう関わらないでと言い放ちます。こういう点から見て、いくぶん二面性を感じさせる女の子ではあります。
きりと梅を比較してみると、確かにうるさくはあるものの、むしろきりの方が純朴で素直であるように見えます。あまり自分をストレートに出し過ぎて、それで損をしている印象もあります。梅の方は、半農半武の家であるため、それなりに苦労もし、ある意味利にさといところもあるように見受けられます。「きりちゃんの気持ちはわかる」と敢えて言うところに、いわば彼女の隙のなさが感じられます。無論、今後この2人がたどる運命によって、それぞれに何らかの変化は出て来ると思われます。何といっても、きりも梅もまだ十代半ばくらいでしょうから。
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