では今週もあれやこれや、観ながら気づいたこと、あらすじで書けなかったことを書こうと思います。まず季節的に夏ということで、流石に昌幸は毛皮をまとっておらず、代わりに革の胴服のようなものを身に着けています。 そして信長の訃報が届いた後、今後の身の振り方を決めざるを得なくなり、自分は海を見たことがないと口にしつつも、真田を海に浮かぶ船になぞらえます。しかし昌幸は、恐らく武藤喜兵衛時代に、三方ヶ原の戦いなどで海を目にしているはずです。信幸も今度はちゃんと高梨内記に確認を取って、騙されなかったようですが…。
昌幸の妻の薫(山手殿)も信長横死を知り、あのように神仏をないがしろにする者は死んで当然とまで口にします。そして、これで松が戻って来ると上機嫌ですが、実は昌幸は松のことを考えていませんでした。そのため、このままでは明智の人質になると思い、佐助を安土に走らせることになります。
当の安土では大変なことになっていました。恐らく明智の軍勢が集団で来たのでしょう、小山田茂誠だけでは守りきれなかったようで、松が安土城に連れ去られてしまいます-以前『新・三銃士』にこれと似たシーンがあったように思いますので、そのうちDVDを見直してみることにします。しかも信繁も、京に来て初めてそのことに気づき、慌てて馬を走らせるのですが、松も一家の人質として来ている割に、皆から忘れられてしまって何だか気の毒です。恐らく信長横死の持つ意味が、あまりに大きすぎたのでしょうが。
結局信繁と三十郎は、その安土城の人質を連れて井戸から外に抜け出すわけです。その井戸は狸が顔を見せていたことから、空井戸であると気づき、何とか城外に出ます。しかし男3人に女子供多数、しかも小山田茂誠は丸腰という、かなり狙われやすい状況で、無事に逃げおおせることができるのでしょうか。
そしてもう一人、信長横死によって別行動を取らざるをえなくなった人物がいます。徳川家康です。慣れない輿に揺られつつ、またその揺れで乗り物酔いを起こしつつ、信長との茶会に臨もうとしていた家康に、本多忠勝が本能寺の焼き討ちの情報を知らせに来ます。そこで一目散に三河を目指すわけですが、行く手を阻むものあり、しかも肝心の服部半蔵がちょっと頼りないうえに、敢えて難所を選んだせいで、急な断崖を降りる破目になったりします。「死ぬかと思った」もあながち過言ではありません。それにしても、途中の農家で握り飯を食べているシーンが様々な意味で面白かったです。しかし握り飯といえば未だに美和を思い出します。
また昌幸に戻りますが、光秀の密使を拉致する、他に国衆への文書を燃やして、あたかも国衆をまとめる権限が与えられたように見せかける、そして弟信尹を上杉に遣って交渉させるといった具合に、あちこち手筈を整えていました。一見、大海に浮かんだまま、なすすべのない船には見えない真田家でしたが、当の上杉自身がぼろぼろなため、援軍は断られます。この時の直江兼続が、何か一物ありげでなかなかいい。どう見ても『天地人』の兼続より、こちらの方が策士に見えます。一方で昌幸は、滝川一益から呼び出され、織田にもいい顔をしておこうと、信幸と厩橋城に向かいますが、当の一益は本能寺の一件を未だ知らない有様で、今後も織田の家臣であるべきと主張した信幸も、これには驚きを隠せませんでした。しかし昌幸のサバイバル術が凄すぎです。
こういったことの陰で忘れられがちですが、もう一つ大事なことがあります。高梨の娘きりが、真田屋敷に上がるように父からいわれます。これから信繁に頻繁に会えると嬉しそうなきり、そして実際彼女は信繁にとって大事な存在となります。この時きりは縫物の稽古の帰りだったようで、何だか『八重の桜』の八重を連想してしまいます。川崎尚之助から「上の2人(覚馬と八重)がお勇ましい」といわれ、八重は、自分にだって女らしいところがあるといわんばかりに、「お針の稽古に行ってめえりやす」と出かけるのですが、子供たちに縫物を教えるさまが、まるで鉄砲を教えているようだと友達からからかわれます。
しかし目下実質的な主役というべき、昌幸と家康がとにかく面白い。それとやはり安房守、源三郎、源次郎、平八郎(本多忠勝)、そして与七郎(石川数正)という呼び方も評価できます。
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