1983年の大河ドラマ『徳川家康』の大坂冬の陣の回を観てみました。当然といいますか、省略されているとはいえ、ちゃんと「真田丸の戦い」も出て来ます。真田幸村(信繁)を演じているのは若林豪さんですが、この方は『独眼竜政宗』でも幸村を演じています。この若林さんとか、『天地人』の城田優さんなどのワイルド系幸村と比べると、堺雅人さんの信繁はやはり優男系の印象です。
あくまでも徳川方の観点ではありますが、冬の陣での真田丸の戦い、和議の後しばらくは鎮静化した大坂方が、その後ふたたびくすぶり始め、そして和議に不満を持つ幸村が「この戦いに男の意地を掛ける」と言うシーンはなかなかいいです。何にも大河らしいともいえます。その割に秀頼が頼りなさすぎで、淀殿が実際の権力者であるといえそうです。山岡荘八氏が原作ということもあるのでしょうが、このあたりは従来の見方を踏まえているように取れます。欲をいえば史実重視の展開に加えて、もう少しお遊び的要素があってよかったかも。あと話の展開が、やけに速い印象があるのは惜しまれるところです。
ドラマそのもの以外の印象としては次の通りです。
OP音楽が冨田勲さんであるため、かなり勇壮ではあるがどことなく地味な印象 徳川家康を演じているのが滝田栄さんなので、いわゆる狸オヤジ風ではなく、むしろその逆を行くような長身痩躯の家康公となっていて、黄門様のように見える また、これも舞台の多い滝田さんゆえか、家康が70代という設定の割に、声に張りがありすぎるように感じる 局アナによるナレーションがやけに早口に聞こえる クレジットの出演者やスタッフの書体が『真田太平記』のそれと多分同じ、もちろん字幕で登場する書体も同じ。これが1983年、そして『真田太平記』が1985年から1986年であることを思えばうなずける。『真田太平記』の方は大河でなく新大型時代劇であったが、NHKがあれを制作放送したのは、この『徳川家康』を大坂方から見たらどうなるのか、そういう意図があったようにも見える よくも悪くも、これぞ昭和の大河ドラマといった印象が強いです。ところで字幕で思い出しましたが、『天地人』の登場人物の字幕に登場する固有名詞が、ことごとく振り仮名つきなのは如何なものかと思います。
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