では、『花燃ゆ』に登場しなかった、あるいは詳しく描かれなかった歴史上の事件をまずリストアップしてみます。
安政の大獄 (水戸徳川家に加担した大名家への謹慎処分のシーン、まったくなし)桜田門外の変 (襲撃の場面が描かれず、なぜか椿の花が出ておしまい)和宮降嫁 寺田屋騒動 長州五傑のイギリス留学 蛤御門の変に真木和泉が登場しない (不可欠な人物なのですが)桂小五郎の逃亡生活 (適当すぎ)四か国艦隊襲撃での講和 (はしょりすぎ)高杉や伊藤の長崎行き 第一次長州征伐 将軍家茂薨去 孝明天皇崩御 大政奉還 坂本龍馬暗殺 北越・戊辰戦争 上野戦争 佐賀の乱 秋月の乱 ざっと挙げただけでもこれだけあります。そもそも安政の大獄は大名家への謹慎が目的で、吉田松陰などは本来は末端の人物に過ぎなかったのですが、なぜか井伊が松陰だけを懲らしめるような描き方になっている。
また特に長州を描いていながら、長州五傑の留学なし、桂小五郎がなかなか出て来ない、四か国艦隊襲撃後の講和での高杉の時間稼ぎ、高杉の逃亡中の生活が登場しないといった点でおかしいのですが、かてて加えてこれまた長州が関わった上野戦争すら出て来ない。しかも蛤御門の変も第二次長州征伐も、かなり適当な描かれ方でした。第二次長州征伐での、四境戦争の司令官である大村益次郎など一瞬しか出て来ません。 そして桂や他の志士たちの役目が、なぜか小田村伊之助(楫取素彦)に一任されている。この意味で、小田村と美和を主人公にするために、相当時系列も歴史的背景も弄ったドラマであり、果たしてこれを大河といえるかどうか疑問です。また桂をはじめとする長州の志士たちが登場しないのですから、他藩は推して知るべしです。西郷吉之助はかろうじて出て来るものの、大久保一蔵が出て来ない。坂本龍馬に至っては2回のみの登場。最早幕末の群像劇でもなんでもない、甘ったるい少女漫画にしか見えない「自称・大河」であったとやはり結論付けるべきでしょう。
しかし大政奉還を描いていないのは、私が知る限り幕末大河では初めてです。なのに鳥羽伏見の戦いが起こったことになっている。そもそも大政奉還がなければ、鳥羽伏見の戦いは無かったかもしれないのですが…視聴者を侮っていると見られても仕方ありませんね。
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