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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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『風花帖』-50

源太郎は新六が屋敷を訪ねて来た際、楽し気に吉乃と会話をしていたのを思い出した。元々新六が菅家に顔を見せるようになったのは、源太郎と吉乃の婚礼の日からだった。あの時、新六はなぜか犬甘兵庫に見込まれ、犬甘派に入ることとなった。兵庫亡き後も旧犬甘派にとどまっていたのは、菅家を訪れるためだったのかも知れない。

新六はこれまでに、2度源太郎を庇っていた。
霧ヶ岳の烽火台への放火、そして渋田見主膳の暗殺である。新六がもし代わりに行かなければ、源太郎がその役目を負わなければならなかった。

そして今また、出雲と対立する重臣たちの説得に乗り込む際も、新六に守られたのである。すべてが吉乃のためであると思うと、新六の思いはただならないものがあった。
(印南殿は吉乃に懸想しているのではないだろうか)

そう考えると、かなり納得が行った。しかしなぜか腹は立たなかった。
言葉少なで容貌も地味な新六は、およそ恋などと縁がなさそうだからであった。仮に新六が吉乃を想っていたとしても、それは新六の胸の中にしまっておかれるに違いない。

それなのに吉乃の夫であるい自分を庇おうとすることが、源太郎はよくわからなかった。
(人はそれほどまでに、誰かに想いをかけることができるのだろうか)
源太郎自身は吉乃を妻として、あるいは千代太の母としていとおしんではいる。しかし自らを顧みることもなしに尽くすということはないだろう。

先祖代々の家を保って行かなければならない武士として、それは許されない。源太郎はそう思いつつ、心のどこかで新六に懐かしくまた羨ましいものを感じ、唇を噛んだ。
(私は印南殿のようには生きられない)

伊勢勘十郎が城へ戻った時、早馬が慌ただしく城門から出て行った。
勘十郎は表情を変えることなく城に入り、御用部屋の控えの間に落ち着いてから、小姓に、出雲に報告したいと奏上して貰った。間もなく出雲から召し出しがあり、勘十郎が出雲の御用部屋に入ったところ、出雲は側役の3人に何かを命じていた。3人は平伏して畏まり、退室した。

出雲は勘十郎に苛立った目を向けた。
「どうであった。印南は刺客となることを承知したか」
出雲の態度はせわしなかったが、勘十郎は落ち着き払って答えた。

「何せ小宮屋敷での話故、はっきりとした返事を聞くわけには参りませんでした。しかし印南は、それがしの仕掛けに驚いた様子にござり、まずは脅しは十分利いたかと存じまする」
「それだけではわからぬ。印南はまことに小宮たちを斬るであろうか」
出雲は不安そうだった。

「さてそこでございますが、それがしも小宮様たちの出国がかくも大人数になるとは思いませんでした。印南が刺客を引き受けたにしても、小宮様たちを来るどころか、近づくことさえもできぬかも知れません」

勘十郎は鋭い目をして言った。出雲派苦い顔をして、
「何だ。それでは、印南を刺客といたすのはしくじったということになるではないか」
「いえ、左様に思われるのは早うございますぞ。なぜならば…」
勘十郎は手で出雲を制しつつ、辺りを窺ったうえで声を潜めて言った。

「小宮様たちの多数での脱藩は最早謀反同然でございます。印南が小宮様を討とうとすると、周りの者と斬り合いになり、恐らく多勢に無勢で印南は討たれるに違いありません。さすれば印南は小宮様の謀反を許さず、誅しようとした忠義者となり、小宮様に討手を差し向ける大義名分となります」


源太郎は、なぜ新六が自分を庇うのかを考えます。恐らくは吉乃を想っており、それが夫である自分をも庇う一因ではないのかと源太郎は考え、そう思うとすべて納得が行くことばかりでした。しかも源太郎は不思議に腹が立ちません。新六が地味な雰囲気の男ということもありますが、最終的に吉乃のためとはいえ、そこまで我が身を捧げることができる新六に、ある意味羨ましさをも感じていました。

そして伊勢勘十郎。城へ戻ると早馬が出て行き、それが何であるのかはおよそ察知がつきますが、本人は落ち着き払って、出雲との面会を小姓に伝えさせます。この人物にしてみれば、藩を二分するこの騒動を幸い、吉乃を屋敷に連れ込み、新六に仕返しをと目論んでいるわけでした。一方その新六を刺客として送る件ですが、小宮四郎左衛門一行があまりにも人数が多くなり、新六1人では難しそうです。

この大人数が出て行ったことで、出雲も苛立っていると思われます。早馬も、側役への命令もこの藩士たちの出国に関するものでしょう。しかし勘十郎は、ならばこの大人数を逆手に取り。謀反であることにしてしまい、新六を刺客と差し向けることにします。恐らく新六は多人数相手に斬られ、ならば小宮たちに追手を差し向ける大義名分が立つと、如何にも勘十郎らしい謀ですが、そううまく行くでしょうか。

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[ 2024/02/14 05:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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