いよいよ終盤にさしかかって来た『花燃ゆ』ですが、相変わらず大河らしさがあまり感じられないままです。今日に至っては、前回楫取と美和が久米二郎を探しに行って、やむをえず旅館の一部屋に一緒に泊まることになったわけですが、生憎その夜火災が発生し、県令が不在であったことから咎め立てされて妙な噂が立ってしまいます。また西南戦争の捕虜が群馬にも送られ、楫取は彼らに作業をさせるだけでなく、職業技能訓練をしようとするのですが、これも反対されて、美和が奔走することになります。そしてやっとここで、中原復亮が登場します。本当はこの人が楫取夫妻と共に起居して、寿の面倒も見ていたのですが。
しかし本当に何を描きたいのかなと思います。この中で楫取夫妻の息子、久米二郎が美和に嫌悪感を持ちますが、これはやむをえない話です。なぜかといえば、久米二郎は一旦久坂玄瑞と美和夫妻の養子に行くものの、美和が奥女中となったため、実の両親の元へ、あたかも要らないものであるかの如く戻されてしまうからです。これだけでもトラウマでしょう。しかもその叔母が、今度は自分の病気の母親を無視して、父親と夫婦のように振舞う有様は、耐えがたいことであったと思われます。これは美和もよくないし、また楫取にも責任の一端はあります。本当は寿が亡くなってから群馬に行き、段々と楫取と心を通い合わせるようになったはずなのですが、最初から美和が来たという設定のため、本来不要な三角関係が持ち込まれているわけです。
また、西南戦争の捕虜がすべてオレンジ、橙色の囚人服を着ています。どうもこれを見ると、今正に世界を騒がせているISを思い出してしまいます。この当時はこういう囚人服だったのでしょうか。しかも髷を落としただけなのに、散髪して刈り込んだようになっています。そして楫取が、彼らを前に説教をするわけですが、ここで未来の夢がどうこうと口にするものですから、何だか小学校の卒業式みたいになっています。この辺が現代感覚丸出しで、大河らしくないわけです。大河ドラマ、今後どうしたいのでしょうね。
『風林火山』を観ていて改めて気づいたのですが、こちらは主人公が男性ということもあり、女子供があまり登場しないし、登場するにしても、ホームドラマ的な雰囲気はあまり感じられません。でも大河はこれでいいと思います。どうしてもホームドラマ的雰囲気を盛り込むのなら、せめて親子や兄弟の関係をきちんと描く程度にとどめてほしいものです。まして今回のように、美和(文)が上士の妻である、高杉雅と焼き芋を食べながら喋りまくるなど(苦笑)あるまじきことでしょう。これだけ骨っぽい感じの大河は、最近登場していません。しいていえば、『軍師官兵衛』が近いと思われますが、こちらは戦闘シーンが少なかったですね。
ちなみに『風林火山』、池脇千鶴さん演じる三条夫人が、いってはなんですが、公家のお姫様というよりは武家の女性といった感じなのが残念です。『武田信玄』の紺野美沙子さんの方が、プライドの高い公家の女性といった雰囲気でした。それとこれ、2011年に亡くなられた田中実さんが出演していますね。元々は俳優さんですが、私の場合は『ホーンブロワー』シリーズで、主人公のホレイショ・ホーンブロワーの声を吹き替えていた人のイメージが強いです。あとOPについては先日書きましたが、クライマックスの部分で武田の四色の幟が映し出されるのも雰囲気を盛り上げています。
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