さてこの作品ですが、『一路』を観ていた方でまだ観ていない方にはお勧めです。あちらは正統的参勤交代ですが、こちらは何ともイレギュラーな参勤交代で、そのギャップがまた面白く感じられます。それにしても家臣の今村役が、『相棒』で鑑識官米沢守を演じている六角精児さんとは(笑)。しかし、いざという時の行列要員として、中間などのいわば「派遣」というのは現実に行われていたのでしょうか。ところで、この湯長谷藩は小藩であまりゆとりがないため、将軍家への献上品は大根の漬物という設定になっています。それを老中は鼻でせせら笑い、内藤政醇が国許で何かの如く味わう鯛にしても、うまいものではないという始末。まあ、何とも嫌な奴です。しかしこの政醇という殿様は、鯛の片身を食べるのにひっくり返すのですか…お行儀悪いなあ。尤も江戸ではできないから、せめて国許ではということなのでしょう。
作品を観ていて感じるのは、この殿様は何とも実直で領民思いの藩主であるということです。また家老の相馬に全幅の信頼を置いていて、何かあれば「相馬、知恵を出せ」となるわけで、この強行軍を如何に突破するかも、殆どが相馬の発案によるものです。またこの藩は会津に存在した実在の藩で、当然ながら言葉も会津弁になっています。「だけんじょ」(だけど)なんて聞くと、正に『八重の桜』の世界を連想します。また
ウィキ記事 によれば、本家筋である磐城平藩はその後日向に転封されますが、この藩はその後もここで領地を保ち、幕末には奥羽越列藩同盟に加わって、新政府軍とも戦っています。内藤政醇は4代目藩主で、忠孝、倹約、扶助を旨とした藩法を定めています。
しかし佐々木蔵之介さんはこういう役が様になりますね。外連味が少ないというか。いつも思うのですが、この人は蔵元の息子さんらしく、品の良さが感じられます。上背もありますし、年齢にふさわしい落ち着きもありますから、結構トラッドぽい格好、たとえばネイビーのブレザーとかツイードの上着とか、チェスターフィールドのコートなども着こなせそうですね。そういう格好の佐々木さんも見てみたいものです。私にしては珍しいことですが、
スコットランド紀行のフォトブック が出ているようなので、買ってみようかな…。
スポンサーサイト