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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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『風花帖』-35

しかし勘十郎は平気な顔でこう答えた。
「菅には菅の思いがあって、此度の話に乗り、小宮様たちの説得に赴いたのでございます、何の遠慮が要りましょうか。さらに申せば、印南を刺客として使うのであれば仕掛けがいると思います」

「仕掛けだと?」
「どうやら印南は菅の妻女と因縁浅からぬ様子でございます。されば、菅の罪を問うて城中に幽閉いたし、その後、妻女を人質に取って、印南に刺客を命じるのでございます。さすれば、あの男は動きましょう」

勘十郎は確信ありげだった。
「家臣の妻を人質にいたすなど、外聞が悪い。殿がお許しにはなられまい」
出雲は顔をしかめたが、勘十郎は、ためらいもなく言いつのった。

「菅の妻を人質にいたすのは秘密裏に行います。たとえば、それがしの屋敷に連れて参れば如何かと存じます。そのうえで、印南にそれがしから刺客の命を伝えまする。印南は、嫌も応もございますまい」

出雲はうーむと唸り、しばらく考えたがやがて膝を叩いた。
「これは難しきことじゃ。如何様にすればいいかはわしにもわからぬ。よってそなたの思う通りにやってみよ」
勘十郎は、はっ、かしこまりましたと手をつかえ、頭を下げた。

すると出雲は冷ややかな口調で、かぶせるように言い添えた。
「しくじったならば、その責めはすべてそなたが負わねばならぬぞ」
勘十郎は苦笑した。しかし、何も言わなかった。

源太郎は、小宮たちを説得したことを報告するべく城に戻った。その後黒書院に通されたものの、源太郎の前に出雲はなかなか出てこようとしなかった。

(このままでは、小宮様たちとの間で取り返しがつかなくなる)
源太郎はそう懸念し、小姓を通じて出雲に面会を願い出たが、既に城に戻ってから一刻(約2時間)が過ぎていた。既に夕刻になっており、出雲は迷惑そうに顔をしかめて現れた。

「菅、何事じゃ。わしは御用で忙しいのだぞ」
出雲が冷たく言い放ったこの言葉に、源太郎はぎょっとした。
「恐れながらそれがし、ご家老様の命により小宮様に藩領を出るよう、促しに参ってございます」

源太郎は額に冷や汗を浮かべていた。しかし出雲は怪訝そうな表情で言った。
「知らんな、どういうことだ」
「伊勢勘十郎殿より、ご家老の命を伝えられ、小宮様のお屋敷に伺って先ほど城に戻りました」

懸命に訴える源太郎だが、出雲はその顔から眼をそむけた。
「伊勢め、何を勘違いいたしたものであろうか」
「そ、そのような」

源太郎は膝を乗り出したが、出雲は突き放すような厳しい視線を向け、こう訊いた。
「藩領を出よと申したら、小宮は何と言ったのだ」
「小宮様は城下を騒がすのは本意ではない、藩領を出ると仰せになられました」


勘十郎の悪だくみが炸裂している感があります。源太郎を陥れるのみならず、新六を刺客として使うために、今度は吉乃を利用しようとしているようです。かつて素戔嗚神社で吉乃を辱めようとして、新六にそれを阻まれた、そういう個人的な恨みも、勘十郎の悪知恵を後押ししているようにも見えます。その「才能」を、違う方向に活かせないかと思ってしまうのですけどね。

そして源太郎ですが、城に戻っても待たされる、やっと出て来た出雲は、小宮の説得とは何事かと、今初めて聞いたような顔で答える。勘十郎も、出雲の罠に嵌まったに気づくことになりそうです。勘十郎の言うように、源太郎を城内に幽閉した場合、当然ながら屋敷に戻って来ない源太郎は、小宮たちを怒らせることになるでしょうし、ひいてはその小宮たちが藩領を出て行くことに拍車がかかりそうです。

しかし出雲は流石に家老であり、体面もある以上、勘十郎のようななりふりかまわぬ手段に出ることは難しいようです。そこで出雲の手下として、この人物が暗躍することになるのでしょうが、そういう人物は、あまりろくな結末を迎えないのではないでしょうか。

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[ 2023/12/04 23:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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Author:aK
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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