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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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『風花帖』-29

城攻めについて、城に籠る兵の十倍の兵力がいると申すと方円斎に言われた与市は、自分の意見がにべもなく否定されて面白くなかった。その与市がなおも言いつのろうとした時、順太が口を挟んだ。
「我らはかように城に入れずにおるが、菅殿と印南が今朝早く登城するのを見た者がおるそうだ。まことであろうか」

与市は驚いて目をむき、まことかと尋ねた。順太は一点を凝視してうなずいた。方円斎は腕組みをして首を傾げた。
「印南殿はともかく、菅殿が出雲派に寝返ったとなると痛うござるな」

与市は目を怒らせ、立ち上がった。
「許せぬ。このことを小宮様に申し上げ、出雲を討つ前に、菅と印南を血祭りにあげてくれる」
その時縁側の方から声がした。

「菅殿が見えられたぞ、印南も一緒だ」
与市は眼を鋭くして縁側に出た。源太郎は新六を従えており、緊張のせいなのか青ざめた面持ちで縁側を進んだ。そして奥に向かおうとする源太郎の前に、与市が立ちふさがる。

与市は声を低くして、源太郎にどこに行かれるのですかと尋ねた。
源太郎は唇をなめて湿らせてから、こう答えた。
「小宮様に進言いたしたきことがあって参った」

与市は首をひねり、こう言った。
「菅殿は今朝、登城がかなったと聞いておりまするぞ。我ら旧犬甘派の者たちは皆、城門を閉められ、城に入れなかったと言うのに、菅殿が入れたのは如何なる理由からでございましょう」

「藩士が登城するのにわけなどはありますまい。それがしは藩の行く末を案じ、なすべきことをなすまででござる」
「つまりは、出雲殿の走狗になられたということではございませぬかな」
与市は鋭く言い、その背後に方円斎と順太が立った。

「無礼な。私は出雲様から罪を咎めぬと言われたが辞退して参った。走狗などと言われる覚えはない」
源太郎はそう言い切った。与市は今度は新六に顔を向けた。

「菅殿はかように言われるが、実のところはどうなのだ」
与市のこの冷ややかな問いかけに、新六はうなずいてみせた。
「菅様の言われたことにはいささかの間違いもございません。城下で騒擾が起きぬように動かれているのです」

与市、方円斎そして順太は顔を見合わせた。方円斎は他の2人に目配せをして前へ出た。
「信じられぬ」
方円斎はぽつりと言い、脇差の柄にそろりと手をかけた。

この当時、武士が他家を訪問する際は、玄関わきの刀掛部屋で刀を預けるのが礼儀だった。当然方円斎も、そして源太郎も脇差だけだった。しかし、新六は太刀を手にして上がって来ていた。
方円斎は表情を変えずに言った。

「無礼を承知で刀を携えて参ったのは、菅殿を護衛いたすためか」
方円斎は、新六に鋭い視線を向けた。順太も脇差に手をかけ、腰を落としていつでも抜き打ちに斬りつけることができるよう態勢を整えた。


城から閉め出された旧犬甘派の与市、方円斎そして順太は、源太郎と新六がその日早々に登城していたことを知り、2人への警戒の念を強めます。特に与市は、2人をまず血祭りにあげると過激なことを口にしますが、そこへこの2人が現れます。与市たちは源太郎に登城のわけを尋ね、出雲の走狗になったのではないかと源太郎を問い詰めます。源太郎は淡々とことの次第を語ります。

しかしこれで、彼らの誤解を解けるものではありませんでした。与市たちは今度は新六に、実のところはどうなのだと探りを入れようとします。しかし新六は源太郎の言葉を肯定します。信じられないと言い、脇差の柄に手をやる方円斎。この当時の武士は、他家では刀を預け、脇差のみを持つのが決まりでしたが、新六は太刀を手にしています。源太郎のボディガードかと、方円斎と順太は応戦する姿勢を取ります。

源太郎は出雲の命を受けて小宮屋敷に向かいます。しかし屋敷に入るなり、旧犬甘派から詰問されることになります。しかも詰問にとどまらず、相手は斬りかかろうとしています。ここで源太郎、新六はどう出るのかとなりそうですが、一応は出雲の命を受けており、しかも大勢の藩士が集まっている小宮屋敷で、刃傷沙汰は避けたいところでしょう。


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[ 2023/11/09 05:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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Author:aK
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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