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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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『風花帖』-23

出雲派の藩士たちがあれこれ言い合っている間にも、反出雲派と言っていい家老の小宮四郎左衛門、伊藤六郎兵衛、小笠原蔵人、二木勘右衛門ら4名の屋敷に上使が遣わされた。家老職からの罷免を伝えるためであった。また上使はこれ以外にも、小宮たちと関係がある用人、番頭(ばんがしら)そして物頭たちに悉く謹慎を申し付けた。

また出雲は、
「狼藉の者あらば召し捕るべし」
と命令を下し、足軽120人に城門を守らせた。

小宮たちはこれに驚き、直ちに騎馬で城門に駆け付けたものの、城門は足軽たちによって物々しく守られており、さらの門の内からは、このような声が聞こえて来た。

「御門は家老小笠原出雲様の指図によって閉じており申す。たとえ、どなたであれ、御出殿はかないませぬ。それぞれお屋敷にて君命をお守り候え」
小宮は歯噛みしたものの、仕方なく屋敷に戻ることにした。

この時伊藤六郎兵衛、小笠原蔵人そして二木勘右衛門も騎馬で城門に駆け付けていた。小宮は彼らに、それがしの屋敷にて今後のことを相談したいと言い、皆も同意して小宮屋敷へと向かって行った。

一方新六と源太郎は、城中の奥まった部屋におり、城門での騒ぎは耳に届かなかった。しかし城中はざわめいており、異常事態であることは察しがついた。待機するように言われたまま、誰も来る気配はなかったが、廊下を通り過ぎる小姓たちの会話で、城門が閉じられているらしいことがわかった。

源太郎は、どうやら城門を閉じて反出雲派を締め出したようだと緊張した顔で言い、新六は多少うつむいて、さようでございますなと答えた。新六が落ち着き払っているのに、源太郎は苛立ち、こう問いかけた。

「わたしたちが早朝より召し出されたのは、ご家老にお考えあってのことだろうな」
探りを入れるようなこの問いかけに、新六はさりげなくこう言った。
「それがしには、わかりません。されど、ご家老はわれらを旧犬甘派から切り離されるご所存であろうかとは思います」

源太郎はわたしたちを裏切らせようというのかと言い、眉を曇らせた。城門は閉じられ、旧犬甘派の面々は城から締め出されているようで、その最中自分たちが城にいれば、出雲派に寝返ったと疑われることは必至だった。しかし新六は、淡々と話を続ける。

「菅様はさようなことに煩わされず。吉乃様と千代太殿のことを考えられるべきではありますまいか」
この新六の言葉に源太郎は、武士は忠義のためには一身を捨てねばならぶ、妻子への情に溺れるなどもってのほかと言い返す。

しかし新六は話を続けた。さようでございましょうか、武士の忠義は主君の御家を栄えさせるためのものではございます、しかし我が家を保つご恩を受けたればこそ、奉公するのであり、我が家を捨てれば、まことの奉公の道を見失いましょう。源太郎はこの言葉に目を見開く。

主君の御家より、わが家を先に守れと言われるのかと言う源太郎に、新六は
「先にとは申しませんが、今の我が藩のように二派に別れ、それぞれが自らこそ忠義の者であると言っておる時には、まず我が家を保ち、しかる後、忠義の道を探らねばなりますまい。自らの家を捨てた者に御家へのまことの忠義の心が保てましょうか」


ついに旧犬甘派の藩士たちが締め出され、小宮四郎左衛門を含む4名の家老が罷免されます。もちろん元家老でありながら、彼らもまた城に入ることができず、小宮屋敷に集まって何やら相談を始めるようです。無論彼らにつながりがある用人や番頭(藩士の中で、最高位に当たる人物)や物頭(足軽の組頭)なども謹慎にするなど、出雲のやり方はかなり熾烈なものでした。

その一方で、早くに城に呼び出された新六と源太郎は、もちろん城門前の騒ぎは知りませんでしたが、小姓たちの会話からそうであるらしいことがわかります。旧犬甘派が締め出されたにもかかわらず、自分たちは城中にいるというのは、どうやら出雲が、旧犬甘派から自分たちを切り離す所存ではないかと新六は思っていました。しかしその新六は、源太郎に妻子のことを考えるべきと諭します。

源太郎は、このような時に妻子への情に溺れるのかと驚きますが、新六は、武士の奉公による忠義は、主君の家の繁栄のためであっても、それは我が家を保つというご恩あってこそのものであり、我が家を捨てては真の奉公はできないと答えます。また今のように藩内世論が二分され、それぞれが正義を主張し合う中では、まず自分の家のことを考え、それから忠義であるとも言います。この辺り、家庭を持たない新六の方が、寧ろ客観的に物事をとらえているようです。


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[ 2023/10/10 23:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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