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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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『風花帖』-15

主膳はおのれが生き延びることを考えねばならぬ、ひとのことは構っておられぬとためらいなく話し、勘十郎にもう一服進ぜようと言い出した。主膳の手前を見つめつつ勘十郎は愉快そうにこう言った。
「菅源太郎め、間もなく首を失うやもしれませんな」

そして勘十郎は、源太郎の妻となっている吉乃に乱暴しかけて、印南新六に御前試合で打ち据えられ、ひどいケガをしたことを思い出した。源太郎がひどい目に遭えば、吉乃が嘆くことになる。それが新六への仕返しになると勘十郎は心の内でつぶやいていた。

その夜。源太郎は書斎でロウソクをともし、書見台に向かっていたが、読書は表向きで、渋田見主膳を暗殺すればどうなるかをひたすら考えていた。もし暗殺したなら、出雲派との争いに勝たない限り、切腹か斬首となりかねない。武士として常に死は覚悟しているが、藩主の命に逆らっての死は不忠となり、それを恐れるあまり、源太郎は悩み続けていた。

そこへ茶を持って吉乃が現れるが、夫の様子が気になるようだった。与市たちが訪れた斎、あまりにもただならぬ様子であったと吉乃は伏し目がちに言う。源太郎はため息をつき、事実を話すことにする。

「これは御家の大事に関わることゆえ、妻であるそなたに洩らすのも如何かとは思うが、私の身に万一のことがあるやもしれぬから、話しておこうと思う」

吉乃もひとには洩らさないと約束し、夫に真摯なまなざしを向けた。源太郎は唇を噛み、顔を引き締めたうえで話し始めた。今自分が旧犬甘派の同志の疑いを受けていること、主膳の屋敷に行って藩政についての話をしただけで、やましくはないこと、しかし与市たちは自分を信じておらず、証を立てるように言ったこと。それを話す源次郎の顔は翳っていた。

吉乃は痛ましいものを感じていた。旦那様は決して、私利私欲で動かれる方でないことは、皆さまもよくご存知と夫に言い、源太郎も2度深くうなずいて言った。自分も信じて貰えると思ったがそうではない。不徳の致すところかも知れないが、証を立てるためにさる人物を斬れと言われたことも話した。

その言葉に吉乃は目を見張った。どなたでございますかと訊く吉乃に、それは言えぬ、言えば同志を裏切ることになると源次郎は答える。吉乃は出過ぎたことかと思いつつも言う。
「仮にも同じ家中の方を殺めるなどあってよいこととは思えませぬ」

源次郎は腕を組み、ぽつりぽつりと話した。
「わしもさようには思うのだが、いつの間にか、どうも抜けられぬ罠に落ちたような気がする」
吉乃は思いを巡らせていたが、ふと口を開く。

「かような時、新六殿ならいかがされましょうか」
源太郎は印南新六とは意外な気がしたが、6月に出雲が帰国した斎、暗殺計画があったことを思い出した。あの時、方円斎は新六を刺客とするつもりだったようだ。

しかし新六は機先を制して、その役目を辞退した。刺客の役目を言い出される前に印南殿は身をかわされたが、あれもまた剣の奥義なのかもしれぬなと源太郎。吉乃は、では新六殿ならこのような場合、どう切り抜けたらよいかおわかりなのではないかと、勢い込んで言う。

吉乃の顔を見つめた源太郎は、しばらくして顔を横に振る。新六を頼ろうとするこの考えに源太郎は同意せず、既に身をかわしている以上、新六が源太郎のことに関わるのはよくないと源太郎は話す。その夫に吉乃は、必ず力になってくれると力を込めて言った。


渋田見主膳と会っていたことで、旧犬甘派の面々は源太郎を信じなくなり、証を立てるべく主膳を斬るようにと言い出します。無論主膳に取っては計画通りであり、勘十郎にしてみれば、源太郎がひどい目に遭って吉乃が悲しむことで、自分にケガをさせた新六に復讐するつもりでした。

一方で旧犬甘派。元々は出雲を家老の座から引きずり下ろすためのものでしたが、いつの間にやら自分たちに対抗する相手を、いわば粛清するようになっており、本来の目的とはかなりの隔たりができているようです。しかも与市のいくらか過激とも言える発想が、この旧犬甘派を動かしており、組織としては柔軟性を欠いたものとなっていました。源太郎は吉乃に、実名は伏せつつも、主膳暗殺計画のことを打ち明けます。

同じ家中の方を殺めるのはよくないと言い、新六ならどのように立ち回るかと吉乃は口にします。実際新六は出雲暗殺の刺客にされそうになった時、うまく身をかわしていました。吉乃は新六なら力になってくれると言いたげですが、源太郎はそれをよしとしません。かつて新六が刺客となることを拒否している以上、この対立に巻き込みたくないという思いがあるようです。

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[ 2023/09/18 23:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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Author:aK
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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