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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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『風花帖』-9

上原与市は旅立ちに当たり、何としても殿にお考えを変えていただく所存であり、それがかなわなければ切腹いたす、それがしの覚悟のほどを見ていただきたいと、旧犬甘派の面々に伝えた。

新六はかすかにうなずいたが、直方円斎は江戸では何が起こるかわからない、流れに身を任されるがよい、水は方円の器に従うでござると諭す。与市もそれに同意し、これで一座の緊張がほぐれた。そして新六は一息入れようと、庭を眺めるために縁側へ出た。

裏庭には桜があり、源太郎の嫡男で9歳になる千代太が、木刀で素振りをしていた。千代太は吉乃に似て、色白で利発そうな目の子だった。風に散る桜の花びらを木刀で打とうとしているのだが、なかなかうまく行かない。そんな千代太に新六は、縁側から声をかけた。

「千代太殿、稽古にお励みで結構なことでござる」
千代太は驚いて振り向き、新六を見つめた。赤子の頃からよく遊んでくれた新六に千代太はなついていた。

その千代太は何かを尋ねようとして迷っているようだった。新六が促し、千代太は口を開いた。
「印南様は夢想願流という剣術の達人だと父上からうかがいました」

つまり千代太は、新六から夢想願流を教わりたいのだった。強くなりたいと目を輝かせる千代太だが、小倉藩では宮本武蔵の養子、伊織が小笠原家に仕えたせいもあって、二天流が盛んだった。源太郎も千代太に二天流を教えているに違いなかった。

他家の子弟に別の流派の剣術を教えるのは避けたかった。新六が残念だがと言いかけた時、庭に吉乃が出て来た。吉乃は新六に頭を下げ、千代太には、素読がまだ終わっていないことを注意した。千代太は不満そうに、新六に夢想願流の稽古をお願いしていたと言うが、吉乃は、そのような無理を言っては新六殿がお困りだと千代太を諭す。

新六は、稽古をつけるのではなく、それがしの技を見ていただければ造作もないと言って、足袋のまま庭に降りた。吉乃は履物を持ってこようとするが、このままでいいと言う新六。

新六は脇差を抜き、風に散る桜の花びらを切った。花びらはそれぞれ2つに切られて地面に落ちた。驚く千代太に新六は、木刀でそれがちに打ちかかってごらんなさいと促す。千代太は吉乃の顔をちらりと見、吉乃はうなずいた。千代太は木刀を振りかざし、新六に打ちかかろうとするが、新六は巧みにその木刀をかわす。

それでも千代太は諦めずに新六を打ち据えようとした。その時新六はふわりと木刀の上に乗った。驚いた千代太は木刀を撥ね上げるが、新六はさらに宙に飛び上がった。

飛び上がった新六は、空中で一回転して千代太を飛び越え、地面に降り立つ直前に、足で千代太の背中を軽く押した。千代太は前のめりになって倒れた。千代太は顔に泥をつけたまま起き上がり、新六をほめてこの技の名を聞いた。新六は、夢想願流の開祖、松林蝙屋斎による足鐔(そくたん)であると答える。

邪道のようではあるが、相手の意表をつく技であり、立ち合いで勝ちを制することができると教える新六に、千代太はまるで蝙蝠のように見えたと話す。その時新六の顔に、一瞬翳りが浮かんだ。


上原与市が江戸へ向かいます。気負う与市ですが、流れに身を任せるようにと方円斎が諭します。この時は旧犬甘派が菅家に集っており、話が終わった後、新六は庭を見ようと縁側に出ますが、その庭では源太郎と吉乃の嫡男、千代太が剣の稽古をしていました。千代太は新六に名を呼ばれて振り向きます。どうも何かを質問したくてためらっているようです。

新六に促され、千代太は夢想願流の稽古をつけてほしいと言い出します。しかし小倉藩では二天流が主流で、他家の子に他流の剣術を教えるのはためらわれました。しかも母吉乃に素読はまだなのかと言われ、また稽古をつけてほしいと言ったことを諭されますが、自分の技を見せるだけならと新六は承諾します。しかしその技なるものが尋常ではありませんでした。

ところでこの二天流を編み出した宮本武蔵は、若い頃は黒田如水(官兵衛)に従って九州で戦ったとされています。その後大坂の陣では徳川方に付き、姫路藩主と交流を持ち、また尾張で円明流(二天流創始以前に開いた剣術)を教えた後、播磨で田原久光の子伊織を小笠原忠真に出仕させますが、その後江戸に滞在し、島原の乱では小倉藩主となった忠真の軍に従軍しています。その後50代後半となった時に熊本藩に招かれ、そこで生涯を終えることになります。


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[ 2023/08/31 01:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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