第25週第1話(第117回)と第2話(第118回)です。
第117回
舞は刈谷と玉本の作業場アビキルをのぞきに行く。そこにあったのは正に「空飛ぶクルマ」、カーボンでできたシート付のドローンだった。スワン号を思い出すと舞。初めて空を飛んだ思い出を舞は忘れていなかった。それを思い出にせず、ずっと空に憧れているのがこの男だと言う玉本、何やお前もやろうがと言う刈谷。
2人は新しいフライトコントローラーを入れようとしていた。今製作中の機体の、5分の1のスケールモデルで、まず小さい機体でテストするのである。空飛ぶクルマを安定させて飛ばすためには、いくつものステップが必要だと刈谷は言う。岩倉見とけ、来年には有人飛行にたどりつくと意気込む刈谷は、誰もが気軽に、自由に空を行き来できる未来を作ると自信ありげだった。
この話を舞から聞いた祥子は驚く。これからは人も物も、自由に空を飛び交うねんと言う舞に、2人はなにわバードマンの先輩やろと尋ねる貴司。久々に会って色々思い出したと舞は答える。すっと夢を追いかける2人に舞は憧れを抱いているようだった。そして翌朝、舞は歩を連れて出て行き、入れ替わほめりに祥子が起き出してくる。借りていた本を返す祥子を、デラシネに行かないかと貴司は誘う。
祥子も乗り気になり、デラシネで本を探していたところへ北條がやってくる。貴司は北條に祥子を紹介し、祥子に担当の編集者であると伝える。北條は、第2作はデビュー作を超える大ヒットで、現代歌人の新しいスターと言われているとほめ、この日は連載エッセイの打ち合わせに来ていた。また祥子に、貴司の原点は五島で、祥子が恩人であると言っていたと話す。
打ち合わせの間、祥子は五島の写真集を見つけて目を通す。エッセイの原稿はOKが出て、3冊目の歌集の話を北條は持ち出す。歌が詠めているかと尋ねる北條に少しずつと貴司は答えるが、実は迷っていた。そして舞の方は、純が撮影した試作品を顧客に見せに行き、刈谷の作業場に寄って直帰の予定だった。純も刈谷のドローンには興味を示していた。
舞が作業場に着くと、玉本と刈谷がもめていた。ええ加減現実見てくれやと言う玉本だが、刈谷は意に介するふうでもなかった。その夜舞はうめづで玉本と食事をし、玉本は切羽詰まると互いにかっとなると言う。作業は予定よりも大分遅れており、本来であれば機体を飛ばし、投資を呼び込むべき時期だった。しかも普通のドローンが1キロ程度だが、2人が作っているのは100キロ以上で、安定浮上させるだけでも大変だった。
開発が遅れるということは、資金が減るということであり、部品の調達にも影響していた。舞は援助を申し出るが、なんとかするわと玉本。その夜舞は歩を寝かしつけながら、スワン号で飛んだ時のことを色々思い出していた。
第118回
こんねくとで、小学生向けの笠巻による技術教室が開かれる。教室が終わった後、子供たちの覚えが早うてびっくりした、東大阪の宝やなと言う笠巻。その日も舞は刈谷の作業場に行く予定だった。舞は笠巻に、かつて部品を調整して貰ったなにわバードマンの刈谷たちが、人を乗せて飛べるドローン様の乗り物を開発していると話す。面白いことを考えてんねんなあと笠巻。
舞は純に、こんねくとも何か協力できないかと相談する。将来的に実用化されたら、東大阪にも大きなチャンスになるし、関わる価値があると舞は思っていた。技術教室と同じで、未来への投資やなと笠巻が口を挟む。そして2人は作業場を見に行き、純は実物を見て驚く。刈谷も舞と純に相談したいことがあった。先端のアルミの素材を変え、軽量化を考えていたのである。
プロペラも大きくしたいが、カーボン関係で加工の相談に乗ってくれる所を知らないかと訊かれる。舞たちも乗り気になるが、予算が限られていた。舞と純は、心当たりのある工場に話を持って行くことにする。そしてその後浮上実験が行われる。しかし機体はなかなか浮上できない。駆動系の動作テストをもっぺんやり直さなあかんかなと玉本。純はまだ投資家に見せる段階ではないと言いつつ、部品調達で工場を巻き込めるなら、こんねくとが協力するのもありかと言う。
ただこんねくとはこんねくとで忙しく、舞は家庭のこともあった。刈谷と玉本は今後の改善点を話し合っていた。そしてその夜、貴司は歩を寝かしつけた後、短歌に取り掛かる。そこへ舞が話があると言ってやって来る。ドローンにこんねくとが協力すると、今よりもっと忙しくなるため、本来の仕事や歩のことで悩んでいた。しかし貴司は、やった方がええと思うと言う。
舞は昔から空を飛びたいという夢があり、今回その夢にまた巡り合ったため、逃したら後悔すると貴司は言い、忙しくなるならまた相談して解決方法を見つけようとも言う。舞も、貴司が歌に集中したい時はいつでも言ってほしい、時間を区切るのが難しいと思うからと貴司に言う。分かってくれるだけで嬉しいわと貴司。
刈谷と玉本がこんねくとにやって来る。結局舞たちは工場を紹介し、刈谷たちは相談に乗って貰っている最中だった。さらに舞はこの空飛ぶクルマについて、業務提携を申し出る。要は資金提供の申し出であり、ファイナンス面をサポートすると舞は言う。その他に人材集めや広報の手助けも申し出る。こんねくとには、東大阪のネットワークとそれを活かすノウハウがあると純がフォローする。
協力して貰っても払う金がないと言う刈谷に、舞は、資金がまとまって調達できるようになってから相談すると答える。この会社の目的は、東大阪の町工場全体の活性化であり、開発に加わることで、町工場に新しい仕事を作り出せるというわけだった。無論宣伝にもなる大きな事業であり、何よりも舞自身が、誰でも空を行き来できる未来を見たかった。
舞は家族にこのことを話し、自分は主に資金集めと宣伝を主にやること、今まで通り家族の時間は大切にすることを伝える。体を大切にと言うめぐみに、めぐみもぞと祥子は言い、やりたいことはやったらよか、自分もめぐみもそうして来たと舞を励ます。
刈谷と玉本が作る有人ドローンはかなり大掛かりなもので、祥子は舞にこのことを聞かされて驚き、笠巻は感心します。しかも作業がかなり遅れており、部品調達や軽量化の資金がままならない状態でした。
舞はこんねくとが関与することで、町工場のためにも、刈谷たちのためにもなるのではと考えます。一方貴司は北條から、3冊目の歌集の出版を提案されるものの、本人はうまく歌が浮かばないようです。
しかしここに来て、貴司のセリフではありませんが、やっと舞が「飛ぶ」ことに再び巡り合えたようです。私としては、彼女がどこかで飛ぶことに未練を残しつつも、町工場活性化に取り組むのかなと思ってはいました。
なのにどこか飛ぶこと、飛行機に関わることを諦めていたように見えただけに、最後になってやっとそれを出して来たように感じられます。あと刈谷や玉本がそう呼ぶせいもありますが、飛行機関連になると彼女は「岩倉」に戻るようですね。
それにしても、こんねくとは他にも仕事を抱えているようですが、大丈夫なのでしょうか。また他に仕事を抱えている割にそれに関連する話題、あるいはスケジュールのやりくりがあまり出て来ないのが、いささか気になります。さらに祥子ばんばが、デラシネで五島の写真集を見て目を通していましたが、何か示唆するものがあるようです。
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