第4回後半部分です。
元康は信長と酒を酌み交わすが、信長は両家の結びつきを確かなものとするために、お市を娶れと元康に言う。自分には妻子がいると言う元康だが、駿府に捨てて来たのであろう、お市は今川の何もできぬ姫よりも頼りになると平然と言い放ち、祝言を挙げてしまえと言う。戸惑う元康に、俺はもたもたするのが嫌いじゃ、やれと命じる信長。
元康は信長に向かって臣下の礼を取りに来たわけでも、織田の軍門に下るわけでもない。寧ろ桶狭間では、丸根砦を落として大高城を守り通した。信長殿は今川本陣への奇襲が成功したが、あの大高城の戦で勝ったのは自分だと主張する。物の見方とは色々じゃと言う信長に、見方も何も事実はひとつと譲らない元康。そこへ藤吉郎が、こういう見方はいかがきゃと割って入る。
藤吉郎はそこにあった鼎や皿を使って、大高城と周囲の砦を再現し、殿は最初から大高常を攻めずにじわじわじわじわと苦しめよと言われた、大高は今川義元をおびき出すための餌だてと説明する。ところが義元はなかなか腰を上げず、大高城は落ちる寸前だったが、そこへ元康が兵糧を運び込んだため、織田はわざと元康たちを通し、落ちるのを免れさせたため、義元が罠に嵌りに来てくれたのだと藤吉郎。
嘘じゃ、ありえぬ、そんな芸当ができるのは戦神(いくさがみ)くらいのものじゃと元康。それを聞いていた信長は一言
「神か…」
藤吉郎は、まあ、物の見方という話でごぜーますと言って含み笑いをする。一方駿府では瀬名を氏真の妻にという話が持ち上がっていた。それでお咎めなしならこの上ないよい話、三河の不忠者などより氏真様の方がご立派と喜ぶ巴だが、要は夜伽相手だった。今川本家の血を引く巴は不満そうだったが、瀬名は奉公の道を選ぶ。
瀬名は幼い頃より氏真様を慕っていた。どのような形であれ、そばにいられるのはこの上ない喜びだと言って、両親に竹千代と亀姫のことを頼む。やがて瀬名は氏真の寝所に侍り、氏真は彼女を抱きすくめて床の上に倒す。その時瀬名の左手の守袋が目に入る。瀬名は氏真の武運長久のためのお守りと言うが、入っていたのはかつての元信が作った木彫りの兎だった。
清須では市が鳥に餌を与え、それを元康が見ていた。藤吉郎はその様子を嬉しそうに元康の家臣たちに見せるが、彼らだけでなく織田の家来たちも2人を見ており、そして柴田勝家もいまいましげに見ていた。あのお方も昔からお市様にぞっこんと、勝家の方を向いてからかうかのように言う藤吉郎を、勝家がにらむ。こやつを蹴りたくなる気持ちが分かってきたと忠勝。
元康は市の本心を知りたがる。しかし市は、兄が相撲を取ったのは10年ぶりで、よほど元康殿を気に入っていたのでしょう、兄には逆らえないと答え、元康殿をお助けし、兄をもしのぐほどの強い強い大将にいたしますると断言したため、元康は面食らう。その頃大久保忠世が、清須城へ向けて馬を走らせていた。一方で市は祝言の元康の衣装を選び、元康殿の寸法を見てくると言って外へ出る。しかしその元康は、忠世が持参した氏真からの手紙を受け取っていた。
今川に戻らなければ関口家は皆殺しとあり、しかも血で
「たすけて せな」
と書かれた手紙が同封されていた。氏真が瀬名の手を傷つけ、無理やり書かせたのである。そして氏真が2つに割った兎も添えられていた。床を激しく拳で叩く元康。そこへ市が入ってくるが、ただならぬ元康の様子に話しかけるのをためらう。藤吉郎も湯の支度ができたとやって来るが、何か異様な気配を感じ取る。
市の存在に気づいた元康はひざまずき、心苦しいことですがと言いかける。そして市は、兄の言いつけとは言え、元康殿のようなかよわき男の妻となるのは、やはり嫌だと彼女の方からこの話を断る。藤吉郎が大げさにそれを止るが、市は自分の気持ちは変わらぬと言い、元康の前にひざまずいて竹殿と呼び、この世は力だと申したはず、欲しい物は力で奪い取るのですと手をつかむ。
信長は、織田との盟約を取りやめて今川に戻りたいと申すかと尋ねるが、元康は信長を兄のように思っており、兄上と結びし約定をしっかりと果たすまでと言う。そして信長が自分の顔すれすれに当てた刀の刃を握りしめ、血が流れるのも構わず元康は言う。
「元康、今川領をことごとく切り取り、今川を滅ぼしまする!
そして我が妻と子を、この手で取り返しまする!」
元康は清須を去る。
初めて男にそっぽを向かれてどんな気持じゃ、しかも恋焦がれた男にと尋ねる信長。市はあることを思い出す。子供の頃鎧(腹巻)をつけて飛び込んで浮かび上がれなくなり、竹千代が溺れかけた自分を助けてくれたのである。市は口外しないでくれと頼み、竹千代は約束したうえに、こっそり水練をなさりたい時は自分を呼ぶように、お市様のことはお助けしますと言う。
望むのであればやつを殺してやってもいいと信長。しかしそれは武田や北条と相対することを意味していた。厄介事は白兎殿に押し付けなさるがよろしい、そして大切になされませ、兄上が心から信を置けるお方はあの方お一人かも知れませぬからと市。その一方で、信長-元康と今川の戦が始まろうとしていた。裏切った者どもに、死をもって償わせよと声を張り上げる氏真。
松平と織田の盟約が結ばれます。しかもこの時、信長によって元康と市との祝言が決められてしまったのみならず、大高城で勝ったように見えたのは、実は信長が義元に対して仕掛けた罠だったと藤吉郎が言い出します。元康にしてみれば意外なことだらけです。結局祝言をあげることになりますが、その前日忠世が持って来た氏真の手紙で、状況が一変します。
これには市も、祝言を諦めざるを得ませんでした。あなたのようなかよわい男は嫌いと言うのは、やむにやまれずついた嘘でしょう。無論元康も祝言どころではありませんでした。しかし氏真が、わざわざ瀬名を夜伽に呼びつけ、ああいう手紙を書かせたということは、元康への敵愾心と取るべきでしょうか。
ともあれ、元康は清須を去ることになります。そして市には、元康、かつての竹千代に助けてもらった経験がありました。そのため、この人物は特別な存在であったとも言えます。その元康と盟約を結んだ兄に、厄介事は押し付けなさるがよい、でも大切にと、この人も戦国期の女性らしい言い方をします。
ところで藤吉郎、この頃はまだ足軽の身分のはずですが、かなり信長に気に入られているようで、桶狭間のこともあっさり種明かしをしてしまいます。そういう藤吉郎が、織田家譜代の家臣である勝家には気に入らないようですが、どうもかなり勝家をおちょくってもいるようで、やっと尻を蹴り上げたその理由が忠勝にも理解できたようです。
さて今川と実質松平の戦、実は『おんな城主 直虎』でやるのかと思っていたら、あまり登場しなかったこともあり、今度は時間をかけて描いてほしいと思います。あと松本潤さんと、『鎌倉殿の13人』の義時役、小栗旬さんの対談が拡大されて放送との由。それぞれの衣装、黒の直垂と水色の素襖に時代の違いが感じ取れます。
小栗旬×松本潤
今だからこそ、大河について話そう
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