第17週第1話(第77回)と第2話(第78回)です。
第77回
2013年8月。舞がIWAKURAの社員となって4年が経った。舞は今や営業部のエースとなり、仕事を取って戻って来るのみならず、ネジの作成についても、結城や尾藤と積極的に掛け合うようになっていた。そしてネジ作りの原料の仕入れも順調に伸び、めぐみは10トン増やすつもりでいた。無論機械も増やす必要があり、また段々手が回らなくなったことから、人も増やした方がいいと舞はめぐみに提案する。
めぐみはかつてリストラした3人にも声を掛けるが、皆今の職場が順調であるため、戻って来てとは言えなかった。そして梱包のパートとして、かつてリストラされた西口、入江の再雇用を舞は考える。2人からは前に断られていたが、舞はもういっぺん頼むつもりだった。
一方貴司はデラシネを任され、かつてと同じように店を子供たちに開放する一方で、短歌作りに励んでいた。貴司が子供たちを送り出している時に、舞がやって来る。貴司は自作の短歌を50首選び、長山短歌賞に応募するつもりでいた。短歌の芥川賞と呼ばれるこの賞はハードルが高いが、応募して批評して貰うことがステップアップにつながると貴司は考えていた。
舞は貴司の作品を見て、他人とは違うことろを見ていると評価する。貴司は台所でナポリタンを作り、舞もめぐみが会食で遅くなるため、ご馳走になる。そのナポリタンは名古屋の喫茶店で覚えたものだった。自分ももっとレパートリーを増やしたいと言う舞に、仕事頑張ってんねんから無理せんでいいとちゃうと貴司。舞は新しい仕事が取れたのを嬉しそうに貴司に伝える。
家に帰った舞は浩太の写真にIWAKURAが順調であると報告し、浩太の夢だった飛行機の部品を作りたいと話す。そして西口と入江も、梱包の仕事に戻って来た。舞は2人が辞める時、浩太が必ず立て直すと言ったことを思い出す。お父ちゃんとの約束、守ることができてよかったなとめぐみ。そのめぐみに、舞は大事な話があった。舞は航空機産業参入支援セミナーのパンフレットを見せる。航空機の部品を作りたい会社が集まるようだが、めぐみはうちにはまだ無理と言う。
舞はIWAKURAの技術はよそに負けていないと言い、技術はあっても設備があれへんと言うめぐみに、人も機械も増やしていると言う。しかしそれは現状維持のためだった。機械ももっと要る、工場も広げなあかんと言うめぐみに、やる気にさえなれば不可能な話やないと舞。品質保証はどないすんのと言われ、JISQ9100を取得すると言う。部品作りも品質保証も、もう勉強は始めているが、自分1人では駄目で、一緒に来てほしいとめぐみに頼む。
そして航空機の部品作りを真剣に考えて貰うのが舞の狙いだった。これがどれだけ大変なことか、勉強するほどわかって来た、安全性も耐久性も厳しく要求されるが、だからこそIWAKURAの皆と挑戦したいと舞。うちのチームやったら作れると言う舞にめぐみは、勉強しているのは知っていた、お父ちゃんの夢やから気持ちもわかる、しかしやはりリスクが大きいんちゃうかとめぐみは不安げだった。
しかし舞は浩太が、一歩ずつ登って行ったら山の頂上にたどり着けると言っていたことを話す。IWAKURAに取っての山の頂上は飛行機の部品作りではないかと言い、かつての浩太のチャレンジも続けますという言葉のように、技術を磨いて工場も大きくして、飛行機にうちの部品を載せたいと言っていたことを舞は思い出していた。お父ちゃんの夢かなえたい、航空機の部品絶対作りたいと言う舞。一緒に山の頂上を目指そと言われ、めぐみもその気になる。
第78回
デラシネでは子供たちに交じって貴司が短歌を作り、舞は航空機部品の勉強をしていた。それを見ていた陽菜(ひな)という女の子が、大人も勉強するんやと言い、舞は航空機の部品を作りたいから、いっぱい勉強せなあかんのよと教える。一方陽菜と一緒に来ていた大樹は、プールに行こうと陽菜を誘うが、陽菜は行きたくなさそうでセミ捕りをしようと言う。
陽菜は帰り際に、2人付き合ってんのと尋ねる。友達だと舞。貴司は、陽菜ちゃんと大樹君みたいに、ちっちゃい頃から仲ええねんと言う。やがて勉強が一段落ついた舞は、見直しを手伝おうと言う。勉強はええのかと訊く貴司に、気分転換と舞。おかげで締め切りに間に合うと、貴司は原稿を封入して郵送の準備をする。舞は封筒を両手にはさみ、貴司君の思いが伝わりますようにと願いを込める。
出て行こうとする舞を貴司は呼び止め、ホンマは結構プレッシャーがある、賞に出すことは全力でぶつかることやからと本音を打ち明ける。けど賞なんか関係なくて、短歌に込めた思いが伝わったらそれでええんやなと貴司。一方めぐみは悠人とノーサイドで話していた。工場が赤字が出たらすぐ売り払ったろ思ってたけど、毎月ちゃんと家賃もはいって来るし悪ない投資先やわと悠人。
めぐみはその後、航空機部品のセミナーに出る予定だった。舞がお父ちゃんの夢叶えたいてとめぐみ。悠人はかつて浩太が飛行機の部品を作りたいと言っていたこと、それに対して自分が何年かかんのやろと言ったことを思い出していた。やれるだけやってみたらと悠人。その時周囲で、あれは岩倉悠人ではないか、俺めっちゃ憧れてんねんという声が聞こえる。悠人は2人分のコーヒー代を払い、店を出ようとすると、先ほどの若者が声をかけようとする、一瞥だにせず去るその姿に、かっこいいの声が上がる。
セミナーには多くの人々が集まっていた。自動車の部品が3万店であるのに比べ、航空機は300万点にものぼり、幅広い産業の裾野が必要であること、大企業のみならず、技術力の高い中小企業の協力が不可欠であった。しかし参加者の中からは、材料加工や設備や工具を一から揃えるには、我々の規模の会社では大変である、そのための資金援助はお考えでしょうかという声も出る。
資金援助は無理だが、アドバイザーとしての専門家の派遣など、行政と連携して体制を整えていきたいと関係者は答える。また大掛かりな設備投資は、既存の製造形態を、航空機部品に特化した形態に全面的に変えることになり、それだけの体力のある企業しか参入できへんのではという質問も飛び出す。そうならないためにこのようなセミナーを開催し、共に考えて行くという返事が返って来る。逆にそのハードルを飛び越えるには、どうすればいいかという質問が出て舞は手をあげる。
舞は自己紹介をするが、岩倉という名に反応する関係者がいた。舞は航空機の部品作りが父浩太の夢であり、自分も同じ夢を目標に掲げていると話す。中小企業の参入の1つの方法として、複数の会社が協力すればいいと考えていると発言し、また東大阪の様々な工場が、それぞれ得意な技術を組み合わせることで、高度な製品を生み出すことが可能だと言う。数社が集まって1つの工場を作り、一括受注、一貫生産に対応できれば発注元にもメリットがあると舞。
先ほどの関係者も舞の意見を聞いていた。そしてセミナーが終わった後、舞に名刺を渡す。その人物は菱崎重工の荒金と言った。荒金はIWAKURAが東大阪でネジをやっていることを知り、舞の発言を興味深く聞いたと伝えるが、一方で複数の会社の協力は可能かと舞に尋ねる。舞は東大阪には独自の技術を持つ町工場が多く、力を合わせれば素晴らしいものが作れると言う。
荒金はそれぞれにプライドがあり、思惑があるからと協力に不安を示すが、舞は、自分たちで作った優れた部品を最高の物に使ってほしいという思いがあると言い、だから航空機部品へのチャレンジに同調する工場があるはずだと、荒金が続ける。荒金は御社にも優れた技術があるかと尋ね、ありますと言う舞。荒金は興味を示したようだった。菱崎重工は日本でトップクラスであり、浩太が工場を引き継ぐ前に勤めていた会社でもあった。
その後舞はまたデラシネに姿を見せ、貴司にセミナーの感想を聞かれる。舞は勉強になった、ほんで航空機の部品目指すんは大変やなと思った、けど諦めへん、一歩ずつ進むわと舞。舞はその日の夕食に、そうめんと夏野菜の天ぷらを作ろうとしていたが、この暑さでの揚げ物はお母ちゃん嫌がるかなと舞は悩む。そんな舞に貴司は、この野菜を刻んで麺つゆにつけ、それをそうめんに載せて食べたらいいとアドバイスする。山形でそないして食べてたわと貴司。
それからしばらくして営業から戻って来た舞に、藤沢と山田がいま誰が来てはると思うと訊く。かの菱崎重工のお偉いさんがうちの工場見たいってと言い、舞は荒金さんかと訊いてちょっと行って来ると場を外す。2人は、なぜ舞が荒金の名前を知っているのか不思議そうだった。
2013年。IWAKURAの業績は順調に伸び、舞は航空機産業への参入を考えるようになって、めぐみと共にセミナーに参加します。この時セミナーに来ていた関係者が、舞の意見に耳を傾け、IWAKURAを訪れることになります。ただいつも思うのですが、舞は確かに前向きで、真面目なキャラではあるのですが、「やる気にさえなれば不可能な話やない」とあっさり言ってしまうのはちょっと違和感があります。ダメもとでいいから参加してみないか、お父ちゃんの夢もかなえたいしとでも言うのであれば、私としてはもう少し納得できるのですが。
しかし菱崎重工という名前、浩太が長崎で働いていた会社と言えばあそこですね。ここの相模原の会社がのラグビーチームは、今のリーグワンに参加しているダイナボアーズです。ラグビーと言えば、ノーサイドに2019ワールドカップを東大阪でとありましたが、実際花園では
プールB1試合
イタリア-ナミビア
プールC2試合
アルゼンチン-トンガ
アメリカ合衆国-トンガ
プールD1試合
ジョージア-フィジー
の、4試合が行われています。
そして貴司。ナポリタンと言いそうめんと言い、各地を転々として来た彼ならではと言えそうです。この山形のそうめんは「だし乗せそうめん」のことでしょうか。
舞が取得しようとしているJISQ9100は、航空・宇宙関係の品質マネジメントシステムですね。航空学校、そしてネジの講義などなど、彼女は何か学んでいるという印象が常にあります。それと悠人。家族でいるシーンはまだ金髪でなかったから、そこそこ昔ですね。しかし彼も、若者たちから憧憬の目で見られるようになったのですね。
そしてデラシネの常連の2人の子供たち、彼らも今後のストーリー展開に絡んで来そうです。
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