先日の投稿分の続きです。一応第20回のレビューのはずなのですが、無料部分に書かれていることの大部分が、難癖のように見えてしまいます。昨年の大河『青天を衝け』のレビュー、あれと似ていますね。あと前作との比較もさせていただきます。
https://note.com/54seikobi85/n/n9ae6546fc9d6
『舞いあがれ』第20回 私が空を飛ぶ|小檜山青 Sei KOBIYAMA|note
何か脚本がおかしいのでは?
このドラマ。
そもそもがドラマではなく、ゲームシナリオ、ノベルゲーなのではないかと思えてきます。主人公は自己主張せず、ぬぼーっとしているだけ。話しかけると思っていることを全部喋り出すモブ状態の人々。説明セリフまみれ。
なんだこの8bit感は……。
五島編で力尽きましたか? 交代していますか?
「主人公は自己主張せず」
由良の見舞いに行った時、ちゃんと自分にパイロットができるかどうか尋ねていますし、その前に母のめぐみに、パイロットをやりたいと言ってもいますね。 そして鶴田に、パイロットをやらせてくださいと頼んでもいます。要は「無駄な自己主張はしない」のだと思います。
「話しかけると思っていることを全部喋り出すモブ状態の人々」
空さんのことでしょうか。ならば「人々」ではありませんね。そしてこの人は、無口だがキャラがはっきりした人物として描かれており、モブではありません。この空さんは自分ももう卒業しなければならないことから、スワン号が飛ぶのを見たいと言っているわけですね。
「五島編で力尽きましたか? 交代していますか?」
何の関係があるのでしょうね。
演出もおかしい
サウンドエフェクトがおかしいと昨日言いましたが、演出が変!
サークルメンバーが棒立ちになったまま熱血議論。どこなんだよ。部室に椅子はないのかよ。小道具の予算が五島ロケで尽きたんか。
小道具も手抜き。入院している病室なんて、何もなさすぎて気持ち悪い。
「サークルメンバーが棒立ちになったまま熱血議論」
壊れた機体を持って帰って来て、これから修理することになるわけですから、立ったままでもおかしくはないでしょう。そもそも作業場のスペースが大きいこともあり、立って何かをしているのはごく自然に受け入れられます。あと椅子と五島ロケは何か関係がありますか?
「入院している病室なんて、何もなさすぎて気持ち悪い」
あのシーン、必要最低限のものはあると思いますが。それよりも私は、病院に黒い着物を着て、数珠を持ってくる人がいる方が気持ち悪いです。
「なにわバードマン」。名前の時点でセンスゼロサークルは、メンバーが倫理観最劣等を厳選した感があって圧巻です。お勉強だけして社会道徳を身につけられなかったんだね。
なぜ「なにわバードマン」がセンスゼロなのでしょうね。ならば小檜山氏はどのような名前がいいのでしょうか。 それと
「メンバーが倫理観最劣等を厳選した感があって圧巻です」
何だか意味が通りにくいなと思いますが、それはともかく。飛行機が事故を起こしたのと倫理観がない、社会道徳を身に着けられないというのは別物でしょう。社会道徳がないというのは、失敗したのに何度も同じような詐欺に引っ掛かったりすることではないでしょうか。
そしてさらに
あれだけの事故を起こしておいて、もらっても困る見舞いしかできない幼稚さ 大学生なのに、本の一冊も読まずに綺麗な病室にいる先輩A 安全確認、再発防止より自分達のノリと都合しか考えていない連中 こんな地方紙に記事が掲載されそうな事故を起こしたうえに、反省の色がないサークルを放任する大学 「高いところから落ちると人が死ぬ」ことへの理解すら曖昧な大学生たち…… こんな危険活動を親にすらしっかり報告しないヒロイン
「もらっても困る見舞い」とは言っていませんね。つまり、普通の見舞い品らしからぬ見舞い品(航空関係の雑誌のような)ばかりくれたと言っているわけでしょう。しかしそれと「あれだけの事故を起こしておいて」とは、どうも今一つ噛み合わないのですが…事故を起こしたパイロットを慰めるための見舞い品としては、飛行機のことを思わせる物ばかりではありますが。
「本の一冊も読まずに綺麗な病室にいる先輩A」
たまたまあの場に本がなかっただけで、本の一冊も読まずにと言い切れるものでしょうか。あと病室があの程度にきれいなのは当然かと思います。それとAではなく由良と書きましょう。
「安全確認、再発防止より自分達のノリと都合しか考えていない連中」
安全と再発防止を考えたからこそ、刈谷は記録飛行に反対しているし、
「急いで直した飛行機で、また事故起こしたらどうするとや」
とも言っていたはずなのですが。 しかし鶴田は構造には問題ない、由良のスワン号を飛ばせたいと思っていて対立するわけです。
「こんな地方紙に記事が掲載されそうな事故を起こしたうえに、反省の色がないサークルを放任する大学」
でも実際は新聞にも載っていませんよね。それにこれは違法行為ではなく、あくまでもサークル活動中の事故だし、反省の色がないとは一概に言えません。
「「高いところから落ちると人が死ぬ」ことへの理解すら曖昧な大学生たち」
スワン号はそこまで高く飛んでもいませんが。ならば小檜山氏は、「高いところから落ちると人が死ぬ」から飛行機には乗らないのでしょうか。第一こんなことを言っていたら、飛行機のみならずスカイダイビングも、バンジージャンプもアウトではないでしょうか。
「こんな危険活動を親にすらしっかり報告しないヒロイン」
家に帰って来た時、飛行機が離陸した後落ちたことも、パイロットがケガして入院したことも、舞は両親に話しているのですが…。
あの過保護なほどであった母親が、娘の危険行為放置なのも不思議な話ですが。設定忘れましたか? 悠人も放置気味ですね。
この「過保護なほどであった母親」、一瞬前作の優子を思い出しました。あのお母さんは確かに、東京で頑張っているからと理由も聞かず、息子に大金を送りつけていましたね。かつてのめぐみの態度が必ずしもいいとは言わないものの、まだ舞が子供で、しかも引っ込み思案であったことを考えれば、ああなってしまうのも無理はないかなと思います。だから距離を置きましたね。「危険行為放置」に関しては前述の通りです。そして悠人はもう東京へ戻っていますよ。
ここまで考証ガバガバなのに、人命に直結する飛行機をよくテーマにできますよね。
考証がガバガバなのと、人命に直結する飛行機との因果関係がよくわからないのですが…具体的にこの考証とはどの考証でしょうか。そしてこの考証ガバガバ、前作であればそれもうなずけるものがありました。その時代には禁止されていたこと、なかった物が登場していましたから。
『おかえりモネ』ではできたこと
あのドラマは、気象予報が人命に関わることをシビアに描いていました。そもそも、モネは被災地出身。そのことで傷ついた心が根底にあります。命を扱うことを軽んじていない。
まず気象情報と飛行機という別々の物を、同じ次元で論じられるものでしょうか。それとこの
「被災地出身。そのことで傷ついた心が根底にあります。命を扱うことを軽んじていない」
ですが、それを言うのなら舞も東大阪で地震に遭い、多少の揺れは経験しているでしょう。ただ神戸ほど被害が大きくなく、ここでは描かれていないだけです。それと被災地の人も、当然ですが自ら望んで被害に遭っているわけではないし、被害に遭った人たちの心情を、罹災していない側があまり突っ込むのもどうかと思います。
実際、かつて阪神淡路大震災直後、神戸製鋼のラガーマンを取材した人が、事情を知らない側の人間が、とやかく言うものではないといった意味のことを書いているのを、目にしたことがあります。
それにしても部室での、部員たちが今後どうするべきか意見を出すシーン、由良と鶴田との会話、舞がパイロットを引き受けるべきかで色々と悩むところなどが、この回のキーポイントになるはずなのに、このnote記事は、そういった点に対して客観的に捉えているとは言い難いですね。
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