第4週第5話(第20回)です。
思わぬアクシデントが起きた。スワン号がクラッシュし、大破していたのである。由良は苦痛に顔を歪めており、病院に連れて行かれた。由良と鶴田を除いた部員は、破損した機体を持って部室に戻った。原因は何であるのか、部員たちから様々な声が上がる中、刈谷が口を開き、自分の設計ミスだと言う。由良なら対応できると思って、尾翼の幅を大きくし過ぎたのが原因であると刈谷は考えていた。
由良は病院のベッドに寝ていた。やって来た鶴田にスワン号について尋ねるが、鶴田はまず自分の体の心配せえと言う。由良は骨折で、全治2か月だった。由良はこんな事態になったことを謝るが、なにわバードマンで起こったことは、代表である自分の責任だと鶴田。しかし由良は突風に焦り、操縦桿を強く引きすぎたと自分を責める。鶴田は今はケガを治すことだけ考えろと、由良が好きなパンを渡す。
退院したらちょっとずつトレーニング再開するから、何とか記録飛行をしたがる由良。鶴田は無理やと言い、来年があるから、しっかり体を作ってと言いかけたところ、由良は、自分が飛びたいのではなくスワン号を飛ばせたい、先輩方の最後の夏をこんなふうに終わらせたくないのだと言う。
舞は家に帰った。意外と早かったことにめぐみは驚くが、舞は予定が変わったと言い、テストフライトのことを訊かれて、離陸した後落ちてしまい、パイロットがケガしたことを話す。そしてなにわバードマンの部室では、鶴田が予定通りに記録飛行をしたいと言うが、急いで直してまた事故を起こしたらどうするのかと刈谷。また玉本は、パイロットをどうするのかと言い出す。
しかし部員たちは、由良が乗るからこそ徹夜作業もいとわなかった。鶴田をパイロットに推す声もあったが、刈谷はスワン号は由良に合わせて作っているので、鶴田では駄目だと言う、日下部は舞はどうかと言い、佐伯も同意するが、鶴田は1回生には荷が重い、トレーニングも間に合わないと言う。
刈谷は、ならばこれで今年のなにわバードマンは終わりだと言うが、鶴田は由良の願いでもあり、スワン号を飛ばすのを諦める気持ちはなかった。
「未練たらしくあがくんやったら、勝手にすればよか」
刈谷はそう言ってその場を去った。そして刈谷に憧れる日下部も去り、藤谷も出て行った。
舞はめぐみに、パイロットをやろうと思っていることを明かす。危ないのと違うの、何で舞がやらんとあかんのとめぐみ。自分がやらなかったらスワン号は飛べないと言う舞だが、みんなのために舞が無理するのかとめぐみは言う。その夜舞はなかなか眠れなかった。
実はその前に舞は由良を見舞いに行っていた。果物籠を渡す舞に、やっと見舞いっぽい見舞いもろたわと由良、他の部員が持って来たのは、飛行機関連の雑誌だった。由良は舞にスワン号を壊したことを詫びる。謝ることはないと言う舞に、飛ぶとこを見せたかったと由良は言う。そこで舞は、自分にパイロットができるかと尋ねてみる。大変やでと由良。由良は飛ぶためのトレーニングだけではなく、みんなの期待を背負うプレッシャーがホンマに大変だと舞に教える。
苦しいことの方が多いが、ホンマにやりたいのならやったらええと由良はアドバイスをする。舞はやはり眠れず、自分で描いたスワン号の完成図を見ていた。翌日部室へ行った舞は、空さんこと空山が1人でスワン号を直しているのを見つける。空さんは6年前の1回生の時に始まり、7つの人力飛行機に触れて来たこと、その中でも初めて作ったナイトバード号や、5年前にイカロスコンテストで3位入賞を果たしたターミガン号について話す。
そのターミガン号の魂を受け継いでいるのが、スワン号のプロペラであり、安川先輩が考案したものであること、そしてスワン号が自分が触る最後の人力飛行機になることを空さんは話す。もう卒業して、地元の宮崎に帰らないといけないのである。飛行機が空を飛ぶ時の美しさについて語る空さんは、スワン号が飛ぶところを見たいとよと言う。
部品を見ていた舞は決心する。いつも由良が座っていたトレーニングマシンには、鶴田が座っていた。その鶴田に舞は、パイロットを遣らせてくれと頼む。
まず第19回の感想を少し。決起会では実に学生らしい、悪ふざけと思しき会話も飛び交います。あと空さんはこの居酒屋でずっとバイトをしているようです。そして舞は鶴田と由良のテーブルを見ていて、鶴田が席を立ったことから、憧れの先輩と言っていい由良と話をします。由良はこういう場でも食事制限を貫いており、自分の前の料理を舞に食べなさいと勧めます。
そして、なぜこのサークルに入ったかを訊かれた1回生たちは、口々に刈谷がヒーローだから、あるいはかつての鶴田に憧れたからだと言います、無論舞はそうではなく、飛行機が好きだからと言って、自分がスケッチブックに描いた飛行機を見せます。その中には、アメリカの航空機設計家バート・ルータンが設計したバリ・イージーもあり、先輩たちを驚かせます。
テストフライトを前に由良はトレーニングに打ち込んでおり、舞はなぜパイロットを目指したのかを訊いたところ、元々は野球をやっていたが、中学に入学以降男子との体格差が出て来て負けるようになり、そのため野球をやめたこと、その後アメリア・イヤハートの伝記を読んで影響を受けたことを話します。実は私もこの人のことは少し知っていたのですが、この名前を出してくるのがいいですね。
そしてそのテスト飛行の日、スワン号はクラッシュして大破し、由良は足を骨折します。ところでこの骨折に関しては、監修の方も、実際はそうなかなか骨折しないとツイートしています。あくまでも創作としてのものであり、NHK会長のコメントではありませんが、こういう時こそ「ドラマということで」でしょう。
こちらはその方のツイです、リンクだけ置いておきます。
https://twitter.com/sncomet/status/1585802362257805312
これがもとで、サークル内に亀裂が生じます、刈谷はこれで今年は終わりだと言い、鶴田はスワン号を直して記録飛行をやりたいと言います。そしてパイロットを誰にするかとなり、日下部が舞を推します。確かに体型的に一番近いのは舞ですが、1回生には無理と鶴田に言われ、舞も悩みます。結局由良を見舞いに行き、そのことを打ち明けてアドバイスを貰うことになります。
この時の舞は、子供の頃ばらもん凧を揚げようと一太に言われて戸惑った、あの舞を思い起こさせます。ただ今の舞の場合は由良という先輩がいて、色々話せるようになっていました。そして最終的に舞の背中を押したのは、空さんこと空山の言葉でした。彼は何回も3回生を続けていて、実質今7回生になっており、流石に卒業して故郷に戻らなくならなければなったこともあり、過去の飛行機について舞に話します。あの無口な空さんが、初めて長々と喋ったわけです。ところでこの空さんの中の人は、『鎌倉殿の13人』の安達盛長の中の人ですね。
ちなみにターミガンというのはライチョウです。ライチョウと一口に言っても、ヨーロッパに分布する種と、それ以外の地域に分布して、冬に羽が白くなる種とに分けられ、前者が英語でグラウス、後者がターミガンです。日本のライチョウはもちろん後者で、英語だとRock ptarmiganとなります。
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