まず、大雨の被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。
今週、毎日のように書いて来た『ちむどんどん』ですが、この朝ドラでやはり問題視したくなるのは、既に20代半ばである主人公がメンタル面で子供であり、人を傷つけるようなことを言う一方で、自分は傷つけられたくないと思っているところです。主人公のいわば幼なじみで、同じ下宿に住んでいる和彦にも同じことが言えます。自分の気持ちをはっきりさせたがらないために、智や愛に迷惑をかけることにもなっているのですが、それには気づいていないのか、気づいていながら知らん顔を決め込んでいるかでしょう。
また暢子も和彦も、仕事には情熱を燃やしているかのような物言いをするのですが、ここ何週間かを観る限り、智や愛の方が、よほど自分の仕事に忠実であるように思えます。暢子が料理に集中したいと言うのは、智のプロポーズをかわすための言い訳のように思えますし、和彦も沖縄戦について書きたいと言っている割には、あまり真剣に取り組んでいるようにも見えないのです。
特に暢子、それだけ自分の仕事である料理に取り組みたいのであれば、職場であるフォンターナをシェフ代行として支える必要があるわけですし、ならば角力大会だの、母優子の再婚(再婚するかどうかも決まったわけではない)での帰省だのは見合わせるべきではないでしょうか。でないとやはり説得力に欠けると思いますし、それでなくても彼女の庖丁使いなどを見る限り、やはり料理人として一人前とは言いにくいのです。
それから、この暢子が髪をまとめないのはやはり疑問です。料理人が3人辞めてしまったため、オーナーの房子が自ら厨房に立った時は、髪の毛をすべて帽子の中に入れていました。言っては何ですが、一度彼女の髪が料理に入っていて、その料理が手つかずで下がって来るなどというシーンはないものでしょうか。もちろんこの場合は、彼女だけでなくフォンターナ全体の問題であり、彼女、そして周囲がそれにどのように対応するのかを観てみたくもあります。
私は毎回朝ドラを観ているわけではないし、寧ろ実際に観た数は極めて限られています。しかし過去の『マッサン』や『まんぷく』など、夫婦が力を合わせて、挫折しそうになりつつも新境地を切り開くテーマの物は、やはり面白いと感じましたし、そういうのこそが朝ドラの真骨頂でしょう。
しかし『ちむどんどん』の場合、今に至るまでそのような面白さを感じることができません。しかも辞職した3人の料理人のうち、2人は辞めてから初めて名前がわかるような設定で、そういう部分にも、作者の作品への思い入れのほどを感じてしまいます。『まんぷく』など、製塩業者のそれぞれの名前とキャラがはっきりしていたと思うのですが。あと、これは個人的な意見ですが、朝ドラは所謂BK、関西の局が制作した方が面白く感じられます。土壌のせいもあるのでしょうか。
それと登場人物が複数出て来て、それぞれの生き様を描くようになっていますが、これは暢子のみに絞った方がいいのではと思います。しかも皆同居しているとか、同じ町内で働いているなどというのならまだしも、家族が何か所かで別々に生活をしており、なおかつ問題を抱えていたりもしているのに、それぞれの生活に関してあまり丁寧に描かれておらず、どうも話が取っ散らかっている印象を受けてしまうのです。賢秀の借金や良子の別居問題、歌子の民謡教室通いなどなど、もう少し詳しく描かれてしかるべきでしょう。
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