第21回の大姫の言動に関してです。
武者さんのコラムでは彼女は鬱状態になったとあったものの、この間の回(第21回)の彼女のいささか奇矯な振る舞いに関して、この時に限っては躁状態であるかと思うと書いています。無論その前に鬱屈した状態の大姫も登場しているわけで、この2つが現れる疾患といえば、双極性障害になるでしょうか。
無論大姫がこれであると断定されたわけではありませんが、一応この病気について調べてみました。
専門サイトによれば
「躁と抑うつがは交互に生じることもあるが,多くの患者はどちらか一方が優勢」
であり、
「遺伝,脳内神経伝達物質の変化,および心理社会的因子が関与し、薬または精神療法を併用する」
とあります。また何が原因であるかという点では
遺伝
神経伝達物質の調節異常
心理社会的因子、つまりストレス
交感神経刺激薬(例,コカイン,アンフェタミン類)
アルコール
特定の抗うつ薬
などが挙げられるようです。
もちろんこの時代、コカインや抗うつ薬などはなく、アルコールにしても大姫は酒を飲まないと思われるから、最初の3つ、特にストレス絡みになるのでしょう。
通常10代から20代、30代で発症し、男女の発生率はほぼ同じで、躁病傾向が強いI型と、抑うつ傾向が強いII型に分けられます。またこのいずれにも区別されない双極性障害も存在します。たまにしか症状が出ない人もいれば、頻繁に出る人もいます。
躁病
高揚かつ開放的な,あるいは怒りっぽくなる状態が1週間以上持続するとともに,目標に従っての活動または気力の増加、加えて以下の症状が3つ以上認められた場合は躁病とされる
自尊心の肥大または誇大性
睡眠欲求の減少
普段より多弁
観念奔逸または思考促迫(様々な考えがとめどもなく湧いて来る)
注意散漫
目標に従った活動の増加
好ましくない結果を招きかねない可能性がある活動(買いあさりや怪しげな企業への投資,ギャンブル)に熱中する
抑うつ
うつ病によくある特徴が認められ,2週間のうちにに以下の症状が5つ以上あり,かつそのうち1つは抑うつ症状または興味、喜びなどの喪失を含む
1日中みられる抑うつ気分
全て、またはほぼ全ての活動に於いて興味または喜びが明らかに減退する状態が1日中みられる
何らかの意味がある体重増加または体重減少、または食欲の減退あるいは亢進
不眠または過眠
他者によってわかる精神運動焦燥(じっとしていられないこと)または精神運動制止(言動が鈍くなること)
疲労感または気力減退
自分を無価値であると思うこと、過剰もしくは不適切な罪悪感
思考力もしくは集中力の減退または決断が困難である状態
死もしくは自殺についての反復思考,自殺企図,または自殺を実行するための具体的計画
自殺の傾向が高くなるという指摘もあります。一般にこの障害を持つ人の余命は普通の人より短いともされていますが、こういう傾向もその一因かも知れません。あとうつ状態は、免疫機能を弱めます。『はたらく細胞BLACK』で、白血球が活動できなくなって体の免疫が弱まり、体の持ち主が自殺を図って結局助かる場面、あれをちょっと思い出します。
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