『武将ジャパン』大河コラム関連続きです。
ようやく大河が『ゲーム・オブ・スローンズ』以降の世界水準に追いついてきた感があります。 あのドラマ以降「我が国にはこんなスゴイ英雄がいた!」という歴史劇は古くなったと思えます。 むしろ露悪的なまでに歴史を描き、そのせいで精神が削られてしまう、そんな描き方が大事。 野蛮な時代をどう乗り越え、人間の意識をどう矯正したか、そこが大事です。
この『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下GOT)、私は観ていないので何とも言えませんが、そこまでして大河をこのドラマに合わせる必要もないかと思います。 そもそも1年物の大河の場合、ファンタジーを基にしたシリーズ物の海外ドラマとは、異なる構成がなされてしかるべきでしょう。
このシリーズを観た方のブログをいくつか拝見したところ、面白い部分ももちろんあるようですが、とにかく情報量の多さや、ちょっとグロテスクな点(暴力やセックス)が辛いという人もいます。本来大河と比較するのなら、こういう点も検討されてしかるべきでしょうが、にもかかわらず武者さんはGOT絶対で話を進め、明らかに異なったタイプの大河に、同じような展開を要求しているのはどうかと思います。
そして『鎌倉殿の13人』の「暗黒面と光」について。尚私は、そこまでこの大河が暗くて救いがないとも思わないし、主人公が成長し、やがて覇権を握るに至るその過程に於いて、経験すべき通過儀礼的なものが描かれているとは思います。コント的な部分がなければもっといいのですが、三谷さんである以上これは仕方ないでしょうか。
中世は人間の規範や道徳心がまだ確立できていない。
そこからどうやって高めていくかを描くことは重要でしょう。
『鎌倉殿の13人』は真っ暗闇のような世界でいて、実はもう光が出てきています。
金剛(北条泰時)です。
彼の母である八重は強い意志と慈愛がある。
義時は悪くいえば流されやすい、よくいえば柔軟な適応性がある一方、八重は頑固なところがあります。
揺るぎないものがある。
八重には世の中をよくしたい意志もある。
義時はこのあと苦しい道を這い上っていくしかないけれど、金剛の中に強さや、世の中をよくしたい優しさを感じて救われると思えます。
これも希望的観測かと思います。武者さんの場合理由が後付けであることが多いのですが、仮にこのように描かれなかったとしても、どうにか帳尻合わせをしてしまうような気がします。中世というか、平安末期から鎌倉時代にかけては、もちろん近世以後に見られるような規範や道徳心はありませんが、この時期は律令の時代から武士の時代へと移行して行く過渡期で、そのため様々なものが未整備ということも関係しているでしょう。
そして金剛、後の泰時が光であるなどと書かれていますが、また前にもこのような文章があったとは思いますが、頼家と実朝は無視なのでしょうか。 頼家の時代で比企氏が滅び、実朝の将軍擁立に関連して、父時政と牧の方(りく)が追放されるわけで、その点でもこの2人の将軍は重要な意味を持っているのですが。
なぜこんなことを言うかというと、立ち位置の似た人物である司馬懿主役のドラマ『軍師連盟』のおかげかもしれない。
このドラマの司馬懿も人間不信でどんどん顔が暗くなっていきます。
そしてその後継となる司馬昭は、輪をかけて色々と奸悪。
(中略)
とりあえず連休とVODを利用して『軍師連盟』をみると、まだマシかもしれないと救いは得られると思います。精神は削られますけどね。
このドラマも初めて知りました。無論GOT共々好きな人は好きで構わないのですが、
「精神を削り取られるドラマ」
を無理に観る必要もないかなとはと思います。一般向けではないかも知れないけど、自分はこれが好きですとでも書いておけばいいのではないでしょうか。ちなみに私は時代劇専門チャンネル放送の、北大路欣也さんと斎藤工さんの『剣客商売』を録画して視聴を始めています。
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