『武将ジャパン』の大河コラム、第15回関連で疑問に思う点です。
鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第15回「足固めの儀式」 - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)
1.戦に赴く義経は、猫が動く獲物を見つけたような獰猛さがある(中略)この先、義経は大勢を殺すのですが、その中には幼い安徳天皇もいる
2.武士は天皇を都合よく使う。平家は安徳天皇を抱えていき、そして義仲は後白河法皇を捕える
3.時政は「立派な北条の後継ぎを産んでもらいたい」と微笑んでいますが……(中略)りくが産んだ子を北条の後継にする。それが彼女の思惑のはずであり、少しばかり怪訝な表情を浮かべている
4.千葉常胤は頼朝の首とまで息巻いている。そもそも生首をお土産に頼朝陣営へ駆けつけたぐらい気が荒い方ので、前向きである
5.義高は御家人を掌握して頼朝を打ち果たし、そのまま京都に向かうほど、あくどいことは思い付かない。(中略)そんなことをしたら大姫を悲しませてしまう。
1、確かに戦モードになると、人が変わったかのように生き生きする義経ですし、この先安徳天皇も彼の犠牲者になるのですが(『義経』では、壇ノ浦はやり過ぎだったと反省していましたが)、しかしこの大河では安徳天皇、ひいては平家のシーンが少ないので、今一つ実感がわきません。
2、これは何度も書いていますが、朝敵認定されないというのが理由の一つとしてあります。何かにつけて『麒麟がくる』を引き合いに出す武者さんですが、これに関しては同じ脚本家の『太平記』を観てはどうでしょうか。個人的にはこちらの方が面白かったです。
3.この時点での話ですが、りくはまだ男児(後の北条政範)を産んではいません。ですから「りくが産んだ子」ではなく、「これから産まれるであろう男児」と書いてしかるべきかと。
4.千葉常胤が生首を持って来たのは、頼朝に臣従するための証でした。そして今回その頼朝本人の首を取りたいというところに、彼の意識の変化が見て取れるはずなのですが…相変わらず生首を野蛮とか、遺体損壊という目でしか見られない武者さんらしいとはいえます。
5.これも先ほどの平家のシーンと同様で、義高と大姫がむつまじくしているシーンが意外に出て来ないので、「大姫を悲しませる」というのがあまり実感を伴いません。そもそもあくどいより何より、現実的に不可能です。彼らに乗せられて頼朝を討つなど、無謀だとわかっているでしょうし、そうなれば人質としての自分の立場もなくなるでしょう。
6.雑な計画は察知されるもので、安達盛長が、三浦義澄開催の鹿狩りがあることを頼朝らに告げている。(中略)『麒麟がくる』では、連歌会で暗殺計画が練られてた。連歌会に武器を持ち込む人がいたら「どういうことでしょうか?」と察知される
7.味方をすれば助けてやると言われ、能員はこうだ。「わしも頼朝はどうかと思ったのだ! 力になりましょう」(中略)「素直な男は損得で動く」もちろん義時にはバレバレ。(中略)すでに寝返っていた能員は「殺気だった様子はなかった」と火消ししようとする
8.(景時と重忠の会話)使われることと、従うことはちがう
9.同時に木曽義高も「万寿様を守る、主に対し逆らうものは許さぬ」と言い切る、これに重忠が感動する
10.重忠は当初は平家につき、和田義盛の祖父であり、自身の祖父でもある三浦義明を攻め滅ぼした
6、ここでまた『麒麟がくる』。他の大河に似たようなシーンはないのでしょうか。
7、この比企能員ですが、どこか中途半端です。あの場を切り抜けるためあのように言い、しかも相手の忠告を聞き入れてしまったように見えます。万寿の乳母であることを思えば、そうたやすく裏切りもできなかったでしょう。それと「火消し」という言葉の使われ方もちょっと引っ掛かります。
8、録画を観ましたが、 「従う」ではなく「頼りにされる」と言っていますね。
9、これも先ほど同様、義高の立場を考えればこうなるでしょう。そもそもこの件、頼朝が目立っていますが、万寿もまたターゲットではあるのです。
10、平家につくも何も重忠は元々は平氏で、義朝死後は平家の家人となっています。
あと、これは個人の方のツイートでも指摘されていましたが、下記の部分はいつもの武者さんのやり方に見えて仕方ありません。このコラムの最初の方で「本音が出ちゃいましたか?」とありますが、その言葉はこの部分にも当てはまりそうです。
笑いで誤魔化そうとする文覚は、架空の儀式を持ち上げるなら、もっとディテールにこだわりを入れた方がいいですね。嘘をつくときは、少し真実を混ぜるとよいと言いますし。
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