15歳の探偵というと、私としてはやはりパペットホームズと『古畑中学生』が目下双璧です。如何にも思春期の少年らしいエキセントリックさ、好奇心と行動力、そして異性を意識する年齢になって、好きな相手のためなら一肌脱ぐかといった、初々しい感じの正義感などは、15歳の少年を探偵たらしめる要因であるかともいえます。しかし、10歳で探偵というのはあり得るでしょうか。『名探偵コナン』という作品がありますが、彼は体を小さくされているものの、実際は小学生ではなく高校生です。
確かに、小学生がたまたま冒険遊びなどをやっていて、何かの手掛かりを見つけ出すというのはありかもしれません。ただ自分を探偵と自覚して、論理的な推理が可能であるかという点から追求すれば、やはり15歳前後というのが、探偵を名乗ることができる年齢としては、最年少レベルであるかとは思います。無論他にも少年探偵という設定はいろいろあり、たとえば
ロック・ホーム などもその一例でしょう。ただ彼の場合は、その時々で大人にも子供にもなり、作品ごとにキャラが違うという設定であるため、それが可能なのかとも思います。
一方、犯人の場合はそれより年少でも可能であるかと思われます。10歳位であれば、自分で操作できる凶器とか、相手に負けないだけの体力などの物理的条件がそろっている場合、しかも相手に何らかの形で怨みまたは嫌悪感を抱いていて、犯罪を犯すだけの動機がある場合などは十分可能でしょう-無論、だからといって勧められるものではありませんが。先日『相棒』のエピソードである「
目撃者 」について書いていますが、これに登場する手塚守は、小学校に通う10歳の少年です。
小学生としてはかなり難しい本を読みこなし、大人びた口を利くこの守は、いささか可愛げがないともいえます。そしてある教師が、自分の敬愛する担任教師の前原を乱暴しかけたのを目にして、その教師をボウガンで殺害します。この辺の動機は、少年らしい素直なものです。同時に、ボウガンを盗んでまでして殺人を犯し、しかも自分は少年だからまだ罰を受けないと語る姿勢には、自分の犯した罪に対しての自覚を持つには、やはり幼すぎるともいえます。
結局守は亀山に連れられて、拘置所にいる浅倉に面会に行きます。浅倉は手錠を掛けられた自分の両手を見せ、犯罪を犯すとはどのようなことであるかを話して聞かせます。そこで初めて子供らしく守は涙を見せますが、如何に様々な知識を得ていようとも、この年齢でそこまで己を客観視するのは、やはり難しかったでしょうか。無論、両親を亡くし、親戚の元で暮らしていて、しかもあまりうまく行っているようではないため、前原を母親のように慕っていたのもまた事実なのでしょう。この守がもし15歳であったなら、どのような反応を示したのかなともつい考えてしまいます。
この守の例で考えると、10歳という年齢で探偵という、すべてを客観視する必要のある存在となることは、ちょっとハードルが高いかなとは思います。ホームズや少年時代の古畑にしても、大人にかかればまだまだ脇の甘いところはあるわけですから。ただしこの守君は、探偵或いは刑事となる素質は十分備えているかとは思います。最終的に「相棒」になれば面白いかもとも思うのですが、生憎彼の苗字は「て」で始まるのですね。
しかし、この中であれだけ守を説得していた浅倉が、最終的にああいうことになるのは痛ましいものです。それを再確認するうえでも、この回の持つ意味は大きいといえます。
スポンサーサイト