2018年から2019年にかけて、『まんぷく』という朝ドラが放送されていました。かのチキンラーメンを作り出した安藤百福氏がモデルとなっている作品で、観たことがあるという人も多いでしょう。実は私も、この作品は好きでした。
なぜこれが好きだったのかというと
夫婦で1つの目的を追って行く点に好感が持てる
夫婦仲がべったりしていない
脇役の人物がなかなか面白い
こういったところでしょうか。ただし、私の朝ドラ視聴(殆どが録画視聴)経験というのはきわめて限られており、以上の3つの条件を満たす作品は、あるいは他にもあるかと思われます。ですからこれは、あくまでも私の視聴経験を基準としたものであることを、お断りしておきます。
主人公の福子は、幻灯機を借りたのがきっかけで、立花萬平と結婚することになります。その後戦争が始まり、萬平も召集されますが、健康状態が悪く即日帰郷となり、ほどなく終戦。終戦後の混乱の中、印鑑製造や製塩など様々な仕事を経験する中で、人間関係の不和やいくつもの困難を乗り越えて、ダネイホンという栄養食品を開発し、これがヒットします。しかしその後、今度は脱税ではないかとの疑いがかかり、萬平はダネイホンの会社を解散、自分は出所して、池田信用組合の理事長に一旦就任します。
そして萬平は、町工場小田島製作所がミキサーを作っていることから融資を決めます。しかしその融資も、所謂神武景気の終わり、銀行の人事異動などからぎくしゃくし、萬平は自宅の土地と建物を担保にするものの、結局差し押さえられ、一家は借家住まいとなります。元々発明家を目指していた萬平は、主婦の仕事を軽減する目的から、インスタントのラーメンを作ることにしますが、これまた道のりは平坦ではありませんでした。やっとうまく行って、福子も自らCMに出演し、売り上げが伸び始めたものの、今度は模倣品が登場してまたトラブルとなります。
結局萬平と福子の友人である世良の尽力で、国会議員の力を借り、即席ラーメン協会を設立してこの難局を乗り切ります。そして11年後、萬平はかつてアメリカに行った時、カップにラーメンを割り入れて食べる姿を見ており、これが元でカップラーメンに着手します。これも具材選び、さらにはフリーズドライに至るまで、様々な試行錯誤を重ねますが、この頃から行われるようになった歩行者天国で、人々にカップ麺のまんぷくヌードルを食べて貰ったのですが、このやり方は成功を収めました。
大体こういったあらすじです。製塩やダネイホンでは、萬平も福子もかなり苦労しているわけですが、インスタントラーメンへのチャレンジは、さらにハードルが高いものでした。そのチャレンジの様子をコミカルに、あるいはシリアルに描いているわけですが、福子の家族、2人の友人たち、さらに福子がパートで働いていた、パーラー白薔薇のマスターなどなど、キャラ設定が面白く好感が持てました。世良を演じていた桐谷健太さん、子供が生まれた福子に「浦島ミルク」を持ってくるのには笑いましたね。
あとこの作品は、戦後から高度成長期という、昭和の後半期を舞台にしている割には、物作りに焦点を当てているせいもあり、ありがちな昭和ノスタルジアがあまりない点にも好感が持てます。この前に『ひよっこ』を観たことがありますが、如何にも昭和(30年代から40年代)ですといった雰囲気には、ちょっと馴染めないものがありました。好きな俳優さんも出ていたのですけどね。
しかしながらこの作品、『武将ジャパン』のコラムを書いている武者震之助さんは批判的でした。いや批判的というよりは、とにかく気に入らないから、実際にはそのようなシーンはないにも関わらず、色々「難癖」をつけるようなところもあり、これは如何なものかと思ったものです。たとえば、学校から帰った子供たちが、ラーメンの袋詰めを手伝っているだけなのに、子供たちは酷使されているなどとあったり、またそれとは別に「萬平ラーメン教」などという言葉が出て来たり、いくら何でも単なるレッテル張りではなかったのでしょうか。
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