まず、先日の投稿でやや意味が通じにくい、書き足りない箇所があったので直しています。
実業家に転身した栄一ですが、そう最初からうまくは行かないものです。また主君であった慶喜の台所事情も、厳しくなっていました。そんな中、薩摩に戻った西郷隆盛が西南戦争を起こし、政府は多額の出費を余儀なくされます。しかもその少し後、大久保利通も刺客に襲われて世を去ります。武士の世は終わりを迎えていました。その頃栄一の前に、土佐出身の岩崎弥太郎が現れますが、己の利益のために事業を起こしたい岩崎と、栄一の考えは根本から違っていました。その頃栄一は東京養育院をお千代と訪れます。
ごくざっとしたあらすじです。栄一が実業家転身後もというか、実業家に転身したからこそ、色々と試練の日々が続きます。三井との対立しかり、蚕卵紙の件しかりです。繰り返すようですが、こういうのは寧ろ大河よりもスペシャルドラマ的ではないかと思われます。主人公の功績を描くという点では納得できますが、その描き方にちょっと同意しかねるところはあります。
今までの『青天を衝け』を観る限り、栄一は常にいい人であり、正義の人物といった描かれ方をしています。無論主人公である以上、仕方のないことでもあります。また大河の主人公としては初めてだからこそ、このような描かれ方をしているとも取れます。しかし『独眼竜政宗』などは、初めての大河化でありながら、政宗は結構色々描かれていたと思うのですが、ここがやはり近代と戦国との違いでしょうか。
岩崎弥太郎を主人公と対立する存在として、あのようなイメージで持って来たのもそのためでしょう。ただ栄一自身にダーティーな部分もまたあっていいかと思うし、このような描き方は、どこか女性主人公大河のようにも見えます。ところで岩崎弥太郎、芝翫さんもよく演じているとは思いますが、私に取って、この人物を演じられる俳優さんといえば、やはり香川照之さんにとどめを刺します。
それと西南戦争と紀尾井坂の変(大久保暗殺)、両方ともナレのみですか。無論どちらも、主人公に直接関わる事件ではありませんが、どのような経緯でそれに至ったのかが、もう少し描かれていいと思います。この大河は今までもそうですが、どうも歴史的事件の詳細を端折る傾向があります。台湾出兵しかりです。商い=ビジネスは描くが、その発端となった戦争なり政変なりがあまりないのが、『黄金の日日』と異なる点ともいえます。無論、『黄金の日日』は戦国で、主人公を自由に動かせるという違いはありますが。
そんな中、第34回で久々登場のやす、そして徳川家康は嬉しかったです。武士の世が終わったとはいえ、この時代は、未だ江戸幕府の負の遺産を背負っていました。しかし歴史的事件の描写はともかく、平岡円四郎が出ていた頃はまだ面白く観られたのですけどね。
あとやはり、実業家となった栄一に吉沢さんはちょっと馴染みにくいように思います。再来年の「松潤家康」もこのような感じになるのでしょうか。
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