『ゲゲゲの鬼太郎』のエピソード関連で、初めての投稿となります。
第6期の終わりの方に「まぼろしの汽車」(第93話)という回があります。このまぼろしの汽車は時間を遡ることができ、2020年2月29日、人間や鬼太郎をはじめとする妖怪が、次々と吸血鬼に変えられて行く中で、かろうじて難を逃れた目玉おやじがこの汽車を召喚し、やはり難を逃れた猫娘はこれに乗って、原因を探る旅に出ます。この汽車の召喚は、目玉おやじが「命を賭して」のものであり、この時点で目玉おやじは消滅しますが、過去の時点で目玉おやじは生きていたので、最終的に問題なしとなったようです。
猫娘は何度か過去に、それも到着する日にちを替えて足を運び、吸血鬼が現れたのがいつで、その後どうなったのかを突き止めようとします。しかし何度やってもうまくいかず、バレンタインデーに撮影した、鬼太郎とのツーショットの待ち受け画面には、そのたびに何度もひびが入って行きます。
結局猫娘は子供たちの証言から、ねずみ男が吸血鬼に変えられたその瞬間へと旅立ち、吸血鬼ピーが持っていた、血でできたシルクハットを引き裂いてしまいます。派手目な爬虫類といった雰囲気のピーと、事実上の夫婦関係にある、マリリン・モンローそっくりなモンローは、人間を吸血鬼化させるため、様々な頭脳プレイを駆使していました。
これによってピーもモンローも消え去り、元の平和な時間が帰ってくるのですが、彼らを撃退したのが2月14日、ちょうど鬼太郎に告白するはずだった時刻でした。本来はこの時鬼太郎にチョコレートを渡し、写真を撮ったはずでしたが、時間を遡って過去を変えてしまったため、そのチャンスは二度と訪れなくなり、鬼太郎に愛を告白しそこねることになった猫娘にちょっと泣けます。
ところでこの、過去と現在を何度も行き来するパターンは、ループものと呼ばれています。これをテーマにした小説や映像作品に、『七回死んだ男』や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』などがあり、ごく限られた時間の中で、同じことを延々と繰り返し、それによって経験値が増したり、主人公が成長したりというテーマのものもあります、
それからちょうど2020年2月の放送ということもあり、この頃から騒がれ始めた新型コロナウイルスの蔓延に、吸血鬼の増殖をなぞらえた人もいますが、私も実は同じことを考えました。こちらは大分収まって来てはいますが、なかなかピーとモンローのように、すんなりと消えてはくれないようです。
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