『青天を衝け』第31回と第32回です。最終回まであと10回を切りましたね。
渋沢家には婿養子(ていの夫)が入ることになりました。東京の栄一は成一郎と再会を果たし、成一郎も惇忠同様富岡で働くことになります。一方で、栄一に妾がいることがお千代に発覚します。しかも彼女は妊娠中で、お千代は、皆で一緒に暮らせばいいと提案します。また大隈重信が去った政府内は一丸となれず、西郷隆盛は不満を漏らします。
栄一も政府で働くことに限界を感じ、民間の仕事をしようと決意し、銀行を作る計画を立てますが、なかなか思い通りにことが運びません。そして父のあとを追うように、母ゑいもまた世を去ります。そしてこの当時、官営の富岡製糸場が稼働する中で、不平士族たちの反乱が相次いでいました。
大体このような感じで、やはりと言うか何と言うか、栄一と成一郎の再会とか、家族とのシーンなどはいいと思います。ただこれが政府とか、あるいはビジネス関係になると、ちょっとどうかなと思われるところはあります。登場人物の内面があまり描かれないと言うか、そう描かれている人物が限られると言うべきでしょうか。
それとやはり、はじめに対立ありき的な印象があり、これはやはりちょっと物足りなく映ります。対立があるならあるで、もうちょっとダーティに描くという方法もあるのですが、この大河でそれは難しいでしょうか。また西郷隆盛の描き方が、もちろん『西郷どん』と全く同じにはならないにせよ、もうちょっとどうにかならないかとは思います。どこか賑やかし的で、『篤姫』の西郷のようです。
しかもまだ明治初年であることを考えると、栄一の中年以降はあまり描かれないと考えるべきでしょう。そもそも吉沢亮さんをキャスティングした時点で、そうではないかと思っていましたが、ならば幕末の動乱が終わり、これから明治となって、その後数年で完結するという展開でもよかったのです。ただ恐らく、慶喜が明治天皇に拝謁するところまではやるのでしょう。
『八重の桜』もそういうところはありました。何せ物語の前半は「乱世」であり、その乱世が終わって、今度は新時代に向けた展開になるわけですが、前半にかなりの高揚感があっただけに、後半はちょっと物足りなく感じられることもあるものです。しかしそれはそれで、また日々の様々な出来事があるのですが、これが近代である分、創作を入れられないのが痛し痒しで、この時代を舞台とした大河の弱点であり、解決策もそう見いだせないようです。
あと気になったこととして、うたが「皇后さま」と言っていますが、この当時なら「皇后陛下」ではないでしょうか。実際皇后陛下の養蚕は、今に至るまで続いていますね。それと吉沢さんは洋服より着物の方が似合うような気がします。
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