『黄金の日日』関連です。
前回は本能寺の変に関するシーンが中心でしたが、その前の「プエルト・デル・ハポン」では、助左が美緒を連れて呂宋に行きます。助左に取っては5年ぶり、そして美緒に取っては初めての呂宋でした。しかしこの地では、現地の人々がイスパニア軍と戦っており、美緒は負傷者の治療をすることになります。この辺はいくら何でも創作と思われますが、ともかくキリシタンである彼女は、宣教師から習ったと言って、傷口から弾丸を取り出す手術を行います。
無論この当時麻酔はなく、消毒(という概念が、そもそもなかったかと思いますが)も焼酎のみでした。戦国物だからこそ可能な創作であり、流石に同じ商人を描いた『青天を衝け』では、こういう描写は無理でしょう。この辺りが戦国物と近代物の、そもそもの構成の違いとも言えます。しかしこの手術、『炎の英雄シャープ』で、弾丸を受けて重傷となったシャープの手術を思わせるものがあります。
さらにオリキャラの女性がこういう手術をする辺り、『麒麟がくる』の駒(と東庵)を思わせます。無論描写としては、『黄金の日日』の方が優れているとは思います。駒ちゃんの場合は医者の弟子とは言え、あまりに無双過ぎでしょう。昨年放送された、薬剤師が主人公の『アンサング・シンデレラ』がちょっとダブります。また宣教師直伝ということですが、実際その後日本の外科手術は、蘭方のカスパル流が基本となって行きます。
江戸時代、外科と眼科は蘭方の領域とされていましたが、後年蘭方が禁じられた時期でさえも、この2つは蘭方によって続けられていました。無論その他、たとえば内科などは漢方のみとされており、当時のこういう状況は、『陽だまりの樹』の中に描かれています。この時主人公の手塚良仙は、遊女の十三奴(とみやっこ)が虫垂炎で発熱したのを見るに見かね、薬を処方するのですが、このことが漢方医をひどく怒らせてしまいます。
閑話休題。無論5年の間には変化もありました。かつて杉谷善住坊に思いを寄せ、結婚したがっていたノーラは、善住坊、彼女の言う「ゼンジ」が亡くなったことを聞かされて悲しみます。また助左は、その後美緒を呂宋に残して日本に戻りますが、戻ったのがちょうど本能寺の変の頃であり、彼もまた、この歴史上の大事件と関わりを持つに至るわけです。
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