かなり間が空きましたが、『はたらく細胞フレンド』第2巻その2です。
<クローン選択>
班長はパトロールとウイルス撃退に加え、訓練、上司の無茶ぶりへの付き合いに加え、他部署の問題児であるB細胞を戻すなどかなり多忙な日々を送っている。休日はおかずの作り置きで時間を割かれ、風呂に入りながら、もう一人の自分がほしいと思うようになっていた。
しかも連日のようにウイルスが襲来で、もっと多人数の味方がほしいとも思っていた彼の前に、いきなり大勢のキラーT細胞が現れる。彼らはクローンで、抗原提示された時のみ特異反応するT細胞が選ばれて増殖し、数が増えていたのである。それは正に分身の術であった。便利ではあったが、クローンたちの個性は実に多種多様で、他の細胞に対して、本来の班長とは全く違った対応をし、それが他の細胞たちを戸惑わせることにもなった。
このためヘルパーTへの苦情も殺到したが、本物の班長はクローンたちに任せてのんびりした時間を過ごし、これまたクローンが作ってくれた食事を味わう。ところがそこに赤血球を始め、ヘルパーT細胞やM細胞、B細胞らがやって来る。彼らが対応した班長があまりにいつもと違うため、不信感を抱いたのである。ひょっとしてクローンたちが何かやらかしたかと班長は思うが、そもそも訳がわかっていない他の細胞たちに、クローンなどと言い出したため、メンタルが限界なのではと疑われてしまう。その後クローンたちは、色々な所で働いているらしい。
<フリースタイル>
免疫細胞のストッパー的存在である制御性T細胞、しかしここのところ体内のトラブルもなく、従って仕事もないため社内ニートと化していた。そのため映画配信サイトを見ていたところ、キラーT細胞が来たため慌ててページを閉じ、2人の間に気まずい沈黙が流れる。そこへ正装して花束を抱えたB細胞がやって来て、制御性T細胞をデートに誘う。
頭皮の方に可愛いカフェができたためだが、制御性T細胞は、胸腺学校時代やんちゃだった面々が頭皮に配属され、自己を傷つけて脱毛を起こしたりすることを思い出し、その視察に行くべく、B細胞でなくキラーT細胞を誘う。B細胞は大いにしょげる。そこはデートスポットであり、制御性T細胞の表情は告白する人物のそれだったと言うのである。
デートに誘われたと思い込んだ班長は上機嫌だが、制御性T細胞は仕事ができる女だと見せるため、いつも通りスーツで現れ、私服の班長を驚かせる。頭皮ではヒップホップなキラーT細胞が幅を利かせ、彼らは多くの店で締め出しをくらっていた。制御性T細胞は彼等を制し、過去の秘密を暴き出して、毛母細胞に迷惑をかけないように諭す。これで仕事は片付いたが、デートだと思っていた班長は、つきあう暇はないと言われてがっかりし、また制御性T細胞には変な取り巻きができてしまった。
<潜伏感染>
神経節の一部、三叉神経のトンネルには妙な噂があった。一方体内ではインフルエンザウイルスが侵入し、ヘルパーT細胞は総大将宜しく軍配を振りかざし、制御性T細胞は陣太鼓を叩いていた。急増殖するウイルスに対抗すべく、協力し合うはずのT細胞と白血球だが、白血球が遊走路から飛び出したためキラーT細胞との間でいさかいが起きる。白血球のとりなしで仕事再開となり、学級委員長タイプの白血球3033がチームをまとめる一方で、班長の命を受けた若いキラーT細胞は、ナイーブT細胞をまとめようとしてもうまく行かなかった。
これでまた両者はもめ、制御性から
「いさかい 争い もうやめい」
の文字を見せられ、両方とも他部署へ配属となる。彼らの配属先は三叉神経のトンネルだったが、あたかも心霊スポットのようで、ここに潜伏感染したウイルスがいるので、見張るようにとヘルパーTから命令される。キラーT細胞は刑事ドラマさながらにあんぱんと牛乳を持ち込み、一方白血球は赤血球から寿司の差し入れを貰ったため、これでまた両者がいがみ会う。
そうこうするうちに、うめき声のような声が聞こえるが、白血球のレセプターが反応しない。ケガをした一般細胞の可能性もあり、なぜかその場を白血球が仕切る。班長は中の人の救出に行かされるが、髪の長い不気味な女と出会い、しかもヘルパーT細胞との連絡がうまく取れずに晒し者にされてしまう。白血球がキラーT細胞を侮辱したため、またも両者はいがみ合うが、ともあれトンネルから出て来た女たち、実はへルペスウイルスを撃退するべく、やっと両者は力を合わせる。しかしその後の反省会の提案は、結局反故となる。
<食欲不振>
ファゴサイトーシス(食作用)は白血球の大事な仕事であり、特にメインキャラである2145は、すごい量を食べつくすので有名だったが、その彼が食欲がないと言う。そのため班長は病院へ連れて行くが、なぜか班長について来た緑膿菌を見ていきなり襲い掛かり、体の方は問題ないことがわかる。班長はストレスではないかと言うが、白血球がそれは聞いたことがない抗原だと言い出したため、班長はストレスの何たるかを説明する。
免疫細胞すべてに言えることだが、白血球は自然免疫で常に緊張しており、しかも役立たなくなると脾臓送りになるため、2人で休みを取って温泉に行くことにした。この件で好中球課は大騒ぎになり、何らかの事件事故に巻き込まれたと捜査本部まで起ち上げられる。キラーT細胞の一人も3033から、トレードマークの前髪を焼かれると言う拷問に近い尋問をされ、温泉に行ったと答える。しかし皆は強い抗原を倒しに末端まで行ったと思い込んでしまう。
一方白血球と班長は温泉につかり、土産物を選んだりしていた。また白血球は、赤血球のみやげにすると緑膿菌のぬいぐるみを射的で狙う。その後食事も美味しそうに平らげるのを見て班長は不思議に思うが、どうも同じ味に飽きていたようだった。元々はB細胞が抗体を出すと、オプソニン化によって食が進むのだが、B細胞は抗体作りをよくさぼっていたのである。その後も将棋をしたり、また温泉につかったりと2人は休日を楽しみ、班長は、白血球と同僚だったら楽しそうだなと一人想像するが、他の免疫細胞たちは、気温が低く雪が多い末端に捜索に出かけ、散々な目に遭っていた。
第5巻その2、多忙な班長はもう一人の自分、そして部下たちがほしいと思っていたところへ、大勢の仲間が現れます。これはこれで便利だったはずなのですが、しかしそれぞれ個性も雰囲気もばらばらで、英語しか喋らないクローンも現れ、また赤血球には愛の告白めいたことをする班長も出て来て、他の細胞たちはいつもの班長と違うことに驚きます。自分の手足となってくれる仲間が増えたのは、班長本人には嬉しいことではあるのですが、どうも他の細胞からは、不審な目で見られてしまったようです。
そして前にも登場した、班長と制御性T細胞。この2人がヘルパーT細胞不在の司令室にいると、どうも気まずい沈黙が流れるのがお約束となってしまっています。互いに人づきあいが下手なのかも知れません。そこへ「チャラ男」B細胞がデートの申し込みをしますが、頭皮のカフェの話を持ち出したことから、制御性T細胞は、胸腺細胞学校時代にやんちゃで、近寄りにくそうな人たちが、ここに配属されていたのを思い出します。
ここで彼らが悪さをしていないか見に行くべく、班長を誘うのですが、B細胞でなく自分がデートに誘われたと思った班長はご機嫌で、当日私服で現れますが、制御性T細胞は「仕事」で頭皮に行くため、いつも通りスーツを着ており、互いが互いの服装を不思議がります。さて頭皮では、何やら怖そうで、しかも多くの店から立ち入り禁止となっているキラーT細胞たちに、制御性T細胞が注意をしますが、班長のデートの夢は消え、しかも制御性T細胞からもふられてしまってがっかりです。尤もその後、彼女の周囲にはやんちゃなキラーTさんたちの取り巻きができてしまいます。
潜伏感染、『はたらく細胞BLACK』を思い出します。あちらでは学生運動の生き残りのような人たちが、過去のヘルペスウイルスとして登場しますが、こちらでは幽霊のような女性たちという設定です。相変わらずいがみ合うキラーT細胞と白血球たちに、罰としてヘルペスウイルスがいる三叉神経のトンネルでの張り込みが命じられます。
キラーT細胞たちはあんぱんと牛乳を持参し、白血球たちは握り寿司の差し入れを貰います。この辺りに両者の違いが窺えます。しかし張り込みに握り寿司というのも、ちょっと妙なものではあるのですが…とにかく中からのうめき声にも、白血球のレセプターが反応せず、中を見に行った班長が晒し者にされてしまう始末です。しかもまたキラーTと白血球が対立しそうになるものの、その幽霊のような女たち、実はヘルペスウイルスが出て来たため、やっと協力し合うことになるにはなるのですが。
班長と白血球2145(こちらでは1146ではなく2145です)の温泉行き。2145が食欲がないのを、ストレスのせいだと思った班長は、休みを取って2人でのんびりすることにします。しかし大食い、つまり白血球の世界では仕事人間である2145が有休を取ったことから大騒ぎになってしまい、長髪を後ろで束ねた3033が、班長の部下を木に縛り付けてどこに行ったか尋問し、トレードマークの前髪にライターで火をつけようとします。3033さん、なかなか怖いところがありますね。
無論班長も、急に休みを取って部下に迷惑をかけたから、土産でも持って帰ってやろうとあれこれ物色するのですが、まさか、こういう形で迷惑がかかっていたとは思わなかったようです。しかも2145がスマホの充電器を忘れ、連絡がつかなかったことから、ますます免疫細胞たちの間で疑惑が深まります。それとは知らず、2145は旅館の食事を美味しそうに食べますが、どうもB細胞が仕事をさぼり、抗体を出さなかったことで、抗原が食べづらかったことが、食欲不振の一因のようでした。しかし2人を探しに行った細胞たちの運命は如何に…。
それにしてもこの温泉地、「緑膿菌まんじゅう」があったり、射的の景品が緑膿菌のぬいぐるみだったり、何か緑膿菌がゆるキャラ的な場所なのでしょうか。そう言えば、この回の冒頭にも緑膿菌が登場していました。常在菌であるため、体内には普通にいるようです。
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