第5巻の続き、がん細胞がよみがえって免疫細胞たちの前に現れます。それから先日の投稿分で一部手直しをしています。
<悪玉菌>
一般細胞は1146がNK細胞と話をした後、何か空気が変わっているのに気づいた。そして3人は大腸へ向かう。大腸では悪玉菌から出る有毒ガスが噴き出していた。そして白血球は一般細胞に、体内の3種類の菌、すなわち善玉菌、悪玉菌、日和見菌について教える。ここに乳酸菌の仲間もいるのかと一般細胞。1146は気づかれないてはいけないとと諭すが、一般細胞が黒の乳酸菌を連れているのは、NK細胞にはバレバレだった。
そこにはキラーT細胞もいて、一度がん細胞との実戦経験がある班長は、メモリーT細胞となっていた。しかしそんな彼らに、NK細胞はまたもちょっかいを出す。しかもメモリーTの班長は、一般細胞が以前ライノウイルスと共に、自分たちをおちょくった細胞だと見抜き、一般細胞、そして彼と仲良くしている1146にホノボノしやがってと詰め寄る。一般細胞は、がん細胞がいることを知って驚く。1146もがん細胞退治のため、ここで彼と別れることになった。一般細胞は1146が、なぜ乳酸菌を殺さずにいたか尋ねるが、自分はいつも殺してばかりだからだと1146は答える。
一方多くの菌がひしめく大腸では、杯細胞と腸管上皮細胞が粘膜バリアを形成しようとしていた。しかも腸には悪玉菌が侵入し、乳酸菌も危ないと思った一般細胞はその場から逃げ出す。そしてNK細胞と、部下と一緒でなく1人前線に向かおうとするメモリーT細胞は、相変わらず漫才のようなどつき合いを繰り返していた。しかしその3人は道をふさがれ、触手のようなものが至るところから伸びて来た。皆はそれががん細胞であることを見抜き、本体に迫ろうとするが、それはダミーだった。本物のがん細胞は、地鳴りを立て、辺りの物を破壊しながら現れた。
<がん細胞Ⅱ(前編)>
がん細胞はこの3人と再会したことに、皮肉な笑みを漏らしていた。そして強力な攻撃を浴びせるが、NK細胞が立ち向かう。なぜ生き返って来たの、今度は勝てると思ったのと問うNK細胞にがん細胞は、やるべきことが見つかったと答える。そして自らの組織片を辺りにばらまき、免疫細胞たちを挑発するが、応戦しようとしたメモリーT細胞の前に、制御性T細胞が自己を攻撃するなと立ちふさがる。背後を突かれそうになったメモリーT細胞を1146がかばおうとして、逆にがん細胞から一撃を食らってしまう。
黒の乳酸菌を抱えて逃げていた一般細胞は、悪玉菌に囲まれてしまう。しかも彼らの毒素攻撃で一般細胞は動けなくなり、乳酸菌が立ち向かおうとするが、如何せんどうすることもできなかった。一般細胞は乳酸菌を逃がすことに決め、なおも自分に近づいてくる乳酸菌を遠くへ放り投げる。この乳酸菌とだけ、こんな悲しい別れになったことを彼は嘆き、自分のコピー元となった細胞も、最後はこうだったのかだろうかと想像する。
がん細胞は手傷を負った白血球を閉じ込め、また制御性T細胞は、免疫細胞を近づけないようにしていた。がん細胞は、なぜ乳酸菌を助けたのかと聞き、1146は、この身体に有益だからと答える。しかしがん細胞は、必要な命と不要な命はなぜ決められているのかと言い、身体の命と細胞の命、どっちが大切かと1146に尋ねる。この身体が死ぬと言いうのは、細胞も死ぬことだと1146は答えるもの、ならば自由になってから死にたいとがん細胞は言い、さらに強力な攻撃を繰り出してくる。
<がん細胞Ⅱ(後編)>
囚われの身の1146にがん細胞は、誰かを殺すしかできない細胞に生まれて来てしまった、そんなところが好きだよと語りかける。NK細胞やメモリーT細胞も応戦するが、制御性T細胞にことごとく跳ね返され、メモリーT細胞に至っては、戦略が苦手で勝利を糧にできず、敗北も踏み台にできないとまで言われてしまう。しかしそこへ1146の仲間の白血球たちがやってくる。一般細胞を取り押さえた悪玉菌たちはあわてふためき、日和見菌を味方につけようとする。しかしそこへ現れたのは善玉菌であり、日和見菌は善玉菌の味方になろうとしていた。一般細胞は、活性化した乳酸菌を見て感激する。
一方がん細胞は、白血球は自分と同じ矛盾を抱えているから好きだが、NKとメモリーT細胞は嫌いだ、メモリーT細胞は自分をバグリ野郎だなどと言ったと口にしながら、彼らに挑んでくる。制御性T細胞の味方を得て図に乗るがん細胞に、メモリーTはパーフォリン・キャノン・パンチを使うことにする。これは胸腺学校時代に教わったもので、T細胞の身体を守る意識が高まった時にのみ出る奥義だった。そしてこれによって、がん細胞の服の「細胞」か「細包」になり、制御性T細胞は、自分が守る相手ではないと頭を下げる。
がん細胞はますます凶暴化するが、NK細胞ががん細胞を弱らせ、さらに腸内に善玉菌が増えたことで、がん細胞もそれ以上の力を発揮できなくなり、最終的に1146がとどめを刺す。がん細胞は、大嫌いな奴より友達に殺される方がいいと言って息絶えるが、一般細胞と1146は、再会した例の黒い乳酸菌が腸壁を直すのを見て驚き、腸内フローラの様子をしばし楽しんだ後元へ戻る。戻った後赤血球が、何度行っても不在の細胞がいる、事件に巻きこまれたのではと白血球に話す。その細胞とは例の一般細胞で、不在通知ばかりが何枚も入っており、その日の栄養分の配達は期待できなさそうだった。
この第5巻、乳酸菌と腸内、そしてがん細胞の再びの襲撃を絡めようとしたのでしょう。で、悪玉菌の回まではよかったと思います。しかしその後の展開が、最初にがん細胞が出現した時と同じようになってしまっています。
あと、先日煩雑と書きましたが、特にこのがん細胞回は細部まで色々描き込まれているせいで、肝心のがん細胞との戦いの場面が、ちょっとぼやけてしまったように感じられます。それと「細胞」が「細包」になったせいで、制御性T細胞ががん細胞を擁護しなくなったというのは、どうも苦しくないでしょうか。
一応疑問に感じた点として
そもそもこのレベルのがんが、免疫細胞と腸内環境の改善だけで死滅するのか
パーフォリンは果たして「奥義」なのか
などといった点が挙げられますが、他にもこの本編への疑問として、
1146を善人としたがる設定
がんの描写はやはりBLACKが面白い
インフルエンザウイルス退治にキラーT細胞は出て来ないのか
などといった点も挙げられそうなので、改めてそれについて投稿しようと思います。
元々は細胞、特に免疫細胞とは何であるのかを描くシリーズだったはずですし、また、第4巻まではそこそこ面白かったのですが、多少無理が出て来てやしないかとも思います。
それからキラーT細胞の班長、もといメモリーT細胞がまず1人で前線に向かうことになり、
「次会う時にお互い生きてる保証はねーが…」
などと言うのは、がん細胞相手ということもありますが、最初の方では見られなかったものであり、この辺りもまた多少変化したかなと思われます。しかしこの班長と制御性T細胞、『はたらく細胞フレンド』でも、ここまでシリアスではないにせよ似たような関係ではありますね。
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