『はたらく細胞BLACK』第5巻その1です。尚この投稿分から、赤血球の名前(ナンバー?)を明記しています。ちなみに
元の身体から二番目の身体に、白血球1196と共にやって来た赤血球
AA2153(主人公の1人)
BD7599(AA2153の先輩)
NC8429(AA2153の後輩、赤い頬をしている)
二番目の身体に元からいた赤血球
DA4901(リーダー的存在)
SS1404(長髪を後ろで束ね、そばかすがある)
QJ0076(3人の中で一番大柄、この巻で仲間たちの犠牲となる)
<炎上、壊疽、働き者。>
糖尿病を患う身体の中では、この体内に元からいた赤血球たちの1人、QJ0076が仲間の分まで糖分を摂取し、犠牲になろうとしていた。必死で止めようとする仲間のDA4901に、お前は赤芽球の頃から優秀で冷めた奴だったが、あの新入り3人が君の瞳に灯をともした、君は変わったなあと言い、我を失って君たちや血管を傷つけるなら、このまま燃え尽きた方がいい、最後まで仲間でいさせてくれと言い残す。
後を託されたDA4901たちは、終末糖化産物で血管が傷つき、視細胞へ酸素を運べなくなったため、新生血管を掘ろうと提案し、他の皆も同意する。その頃AA2153たちはランゲルハンス島へ向かい、β細胞が活動をやめてしまったのを目にする。しかもそこでは、足の指先の壊疽による異臭が漂っていたが、神経障害のため、脳には痛みの情報が伝わっていなかった。
一方新生血管を通って、網膜に酸素を運んだDA4901たちだったが、網膜はとても脆い場所であり、硝子体で出血が起こっていた。このままでは網膜剥離を起こしかねず、苦労して新生血管を作ったDA4901は、は無能な働き者呼ばわりされてしまう。
<焼却、切断、慈雨。>
新生血管が破れると硝子体内にかさぶたができ、それによって網膜が引っ張られ、はがれてしまうのである。最悪失明の危機もあった。そこへ外から強烈な光が差し込む。レーザーで新生血管を焼き、消失させていたのである。DA4901は自分のしたことに打ちひしがれるが、QJ0076の思いを無にするなと、SS1404に励まされる。一方右足のつま先にいたAA2153たちは大きな揺れを感じ、引き返した所、小指が切断されたことに気づいた。
そこへ血小板がパラシュートで降下してくる(多血小板血漿療法)。これによって傷口は塞がたが、活動を止めてしまったβ細胞の中で唯一生き残った細胞が、過酷な労働条件であったことを話す。AA2153はそこにあったインスリンをかき集め、β細胞の仕事を無駄にしないと言って細胞たちに配る。それだけでは行き渡るはずもなかったが、その時空からインスリンが降って来る。注射によるインスリンの供給だった。
しかしこれは、最早細胞の働きだけではどうにもならないことを意味していた。腎臓では糖分の処理も進み、これで赤血球の洗浄もできると、糸球体たちが話していた。あの大きな赤血球も来るだろうかと一人が口にするが、その大きな赤血球とは、あの犠牲になったQJ0076だった。
<無呼吸、感傷、現実。>
インスリンが供給されて血糖値も落ち着いた。赤血球たちも肺に戻って来て、それぞれが見聞きしたことを互いに話し、また犠牲者を出したことを悔やんでいた。その時ふと明かりが消える。呼吸が止まってしまったのである。睡眠時無呼吸症候群だった。肥満によって首に脂肪がついたことが原因だった。
そこへ初老の心筋細胞がやってくる。昔は健康状態はよかったが、今は荒れている。しかし一番残念なのは、赤血球たちに希望がないことだ、もっと気合を入れろと一喝するが、その時再明かりがつく。DA4901は、今度呼吸が止まった時に備えて、必要な酸素を主要機関に優先的に運べ、このくらいの無呼吸状態なら乗り切れると指示を飛ばす。
指示を出す彼を心筋細胞はほめるが、彼は、自分たちは生まれた時からこの体内しか知らない、あんたたち老害の感傷に付き合っている余裕はないと言い、何とか事態を乗り切れたのは君のおかげだと言うAA2153に、情熱や理想なんてものを持つから犠牲が生まれるのだと言い放つ。無呼吸が収まったのは、マウスピースのおかげだった。
<膵臓、欺瞞、炎上。>
AA2153が酸素を運んだ膵臓本島の工場には、腺房細胞がいた。この工場は膵液が流れている。胃で消化された食物は次に十二指腸へ行き、そこで膵液が消化するのである。腺房細胞の1人が、β細胞たちのことを彼らに訊く。この膵臓も劣悪な環境のもと閉鎖が相次ぎ、外分泌系の機能もアルコールのせいで落ちていた。
そのような中、体内にアナウンスが伝わる。インスリンも安定し、睡眠不足も解消されて、疲労などの負債の返済も進みつつあるということだが、細胞たちはぼろぼろだった。この体に元からいる赤血球たちは、最早外部からの援助次第になっており、自分たちが働こうが働くまいがどうでもいいと口走るが、AA2153はそれに懐疑的だった。そんな中、尺骨動脈は、一日中手を動かしているため腱鞘炎になり、そのせいで血流が悪く、しかもまたアルコールが降って来た。
AA2153は膵臓へ行ってみると、腺房細胞たちがアルコールのせいで暴走し、膵液をこれでもかと出しまくっていたことで、急性膵炎の症状を起こしており、脳は十二指腸へ排水させることを決める。しかしアルコールによるむくみで膵管がつまり、排水はできなかった。しかもこれに乗じて細菌たちが体内に入って来る。その退治のため、白血球たちがやって来る。
糖尿病を患う体内、体内の糖化はさらに進み、QJ0076は一人で過剰な糖分を取り込み、DA4901が赤芽球、つまり子供の頃からどこかクールで、その様子を放っておけなかったものの、体外からやって来たAA2153たちと出会ってから変わったと言った後、燃え尽きてしまいます。その後血管を掘って酸素を届けたDA4901たちですが、網膜のような脆い場所に血管を掘るなと注意され、無能な働き者と言われますが、SS1404から励まされます。
一方ランゲルハンス島から足の方へ向かっていたAA2153たちは、右足の小指の壊疽で異臭がすることに気づきますが、最早この身体は、糖尿病による神経障害で、痛みに気づくことすらできませんでした。手術によって小指は切り取られ、送り込まれた血小板たちの働きで組織は回復します。
AA2153は、死んでいったβ細胞の仕事を無にしないためにも、その場に散らばっていたインスリンを細胞たちに配りますが、それだけでは何ともすることはできませんでした。体外からのインスリン注射で、何とか体内は元に戻るものの、今度は肥満による睡眠時無呼吸症候群で呼吸が止まり、思わぬ事態に慌てる赤血球にDA4901はてきぱきと指示を出します。古参の心筋細胞(元々細胞の中では寿命が長い)は、今の細胞は昔に比べて希望を失っていると言う一方で、DA4901の働きぶりをほめます。
とはいえ、最初から過酷な体内で仕事を続けているDA4901には、そんな心筋細胞の言葉も、老人の昔語りにしか思えませんでした。そしてここで、QJ0076が心配していたクールな姿勢がまたも戻って来たようで、AA2153にも、仕事に情熱や理想などを持つなと言わんばかりでした。睡眠時無呼吸症候群はマウスピースで改善されたものの、さらに追い討ちをかけるように、膵臓の機能が弱り、腱鞘炎が起こり、そしてまたアルコールと、あたかも細胞たちを試すかのように、次から次へとトラブルが起こります。このアルコールのため急性膵炎を起こした体内では、この隙に乗じて入って来た細菌をやっつけるべく、白血球が出動します。
薬で健康状態を良くしたかと思ったら、今度はアルコールで状態が悪くなる、自分たちはこの身体に翻弄され続けるしかないのか、本当に仕事に情熱を感じるべきではないのか、AA2153の自問自答が続きます。しかしこの後、もっとよからぬことが起こってしまうのですが、それは次の投稿にて。
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