いよいよ薩長同盟の運びとなりましたが、しかし困りましたね。いくらなんでも架空のエピソード多すぎでしょうこれ。他の史実でもいえることですが、そもそも薩長同盟に至るまでのいきさつが詳しく描かれていません。薩摩の情勢が詳しく描かれていないのですから、何か唐突な印象を免れないわけです。薩摩とか幕府の動向くらい描けばいいのに、毎度同じような女性パートばかりだらだら流すから、前後関係が全然つかめず、仕方なしに史実挟み込んでいるような格好になってしまうのですね。
そして架空のエピソードというか、女性パート、何だか美和(注・お仕着せでなくなったため、今回から美和の表記にします)が奥はいうにおよばず、毛利家の一切合財を取り仕切っている、もっといえば毛利家を乗っ取っているようにしか見えないのですが、一介の守役にこんな権限があるのでしょうか。何せ世子元徳が美和に相談したりしているし(苦笑)。そして美和同様、小田村伊之助も登場回数多すぎ。この人こんなに出て来ていないはずです、本来桂小五郎がやるべきところを、なぜか伊之助が出て来て代わりに仕切っているから、おかしなことになっているのですが。
何度も書きましたが、個人的には、もう女性の主人公はしばらく止めていいと思います。史料が足りない分を、架空のエピソード、しかもしばしば感情に訴えるようなエピソードで埋め合わせるから、どこかくどくなってしまいます。それでも女性を中心に持ってくるのであれば、既に一度登場した人物をリメイクするとか、そういう方法もあるでしょう。正直な話、この『花燃ゆ』にしても、やたら感情や主観が入る部分が多く、その意味で女性軽視になっていると思われる側面があるのです。
もちろん、無名の人物を主人公にしたのも低迷の一因です。むしろ同じ女性であるのなら、昨年の『軍師官兵衛』の夫人の光の方が、よほどしっかりしていて頭が切れたような気がします。昨年と今年の大河は、『JIN -仁-』の仁と野風(または未来)と、『永遠の0』の宮部夫妻が、それぞれ別の相手と共演することになりましたが、両方ともヒットした作品でありながら、大河出演によって明暗がついてしまったようにも見えます。
あと、やはり敬語とか立ち居振る舞いがおかしい。「おっしゃられる」(確かにそう聞こえました)なんて敬語使わないでしょう、「おっしゃる」で立派な敬語なのですが。このへんは脚本に責任ありですね。それと女中たちが、主である銀姫に変になれなれしい。それから、女中たちがいるところにいきなり高杉晋作がやって来て、女性たちが立ったまま彼を取り囲むなんて、学園ドラマかといいたくなります。
高杉といえば、最後の方でおうの(やっと登場)といる時に吐血しますが、この段階で吐血はちょっと早いような気もします。この先小倉城攻めがあるのに、その状態ではかなり無理だと思うし、そもそも甲冑の重さに体が耐えられないでしょう。予告では陣頭指揮を執っていたようですが。それにしても高杉の逃避行はないのでしょうか、上方から日柳燕石を頼る道中が面白いのですけど、本当に面白いところは徹底して省く大河ですね。
そして、実に久々に坂本龍馬の登場です。この龍馬の存在がこの大河では希薄で、その意味でやけに小物に見えてしまっているのが残念。というか、井原剛志さんが演じているせいで、ちょっと老けた印象があるのも事実です。それをいうなら、福山さんだって40代で龍馬演じていたし、その時の吉田松陰役は、既に50に手が届く生瀬勝久さんだったわけですが…。ともあれ、脇役的に出るのであれば、いっそ福山さんでもよかったのではと思ってしまいます。そもそも龍馬は久坂玄瑞に感銘を受けていたわけですから、本当はもっと登場してもいいのですが。安政の大獄の後、本来は久坂に会っているはずなのに、この中では美和にしか会っていませんしね。
ちなみにこのような記事もあります。
菅野美穂の出産を堺雅人主演のNHKドラマ『真田丸』番宣に利用する蜜月関係
この記事によると、既にNHK内では『真田丸』を盛り上げる方向にシフトしている由。年末まで『花燃ゆ』をどうやって引っ張って行くのでしょうか。しかも維新後は話題が乏しくなるのですが。この大河については、やはり制作陣に釈明してほしいなと思います。それと『真田丸』のクランクイン後は、メイキング映像の一部を特番で流してほしいとも思うのですが、難しいでしょうか。
スポンサーサイト