ほぼ連日この漫画関連で書いていますが、『はたらく細胞』(以下、本編)のコメントで、『ブラック・ジャック』を凌ぐとあり、しかも医療漫画と書かれたものを見たことがあります。一応このコメントから見る限り、医療関係の方のようでしたが、私としては寧ろこれは科学漫画のように思えます。
本編自体は、確かに細胞の役割(すべてが正確というわけではなさそうですが)を描いており、医学に不可欠な知識とは言えます。しかし医療現場を描いたものではないので、医療漫画はちょっと微妙です。寧ろ『はたらく細胞BLACK』(以下、BLACK)の方が、もう少し医療との絡みは大きいかと思われます。
ところで前出の『ブラック・ジャック』ですが、手塚治虫氏の作品を集めた「TEZUKA OSAMU OFFICIAL」で、ドクター・キリコによる主人公ブラック・ジャック(以下、BJ)の名セリフの解説として、以下のようなものがあります。
(前略)
「生きようとする意思」を挫けさせた患者にBJはことのほか厳しい。
なにしろ「生命」こそが神であり、「生きること」こそが、すべての生ある者への至上命令なのだと思ってるのがBJなんだ。
死にたい、とか、もう駄目だ、なんて弱音やあきらめは絶対に許さない。
そんな弱気になった者の、その体の中ではしかし免疫細胞が損傷した部位を直そうと懸命に働いているし、細胞たちは生き延びるためにせっせと新陳代謝を続けている。
その無言の努力はひとえに「もう死にたいよ」などと泣き言を言っている体の持ち主を、それでも生き延びさせるために続けられているのだ。
そんな「からだ」という精密機械の不断不休の重労働に常に敬意を払っているBJだからこそ、生きることを諦める患者は許さないのさ。
(後略)
TEZUKA OSAMU OFFICIAL ブラックジャックSPECIAL BJ名セリフ
「その体の中では」以降の箇所、BLACKの中で、既に心肺停止状態になっているにも関わらず、何とか酸素を届けようとする赤血球の姿が何となくだぶります。正にあれは「生き延びさせるために続けられる」「不断不休の重労働」ではありますね。
あのタイトルのBLACKは、もちろんブラックな労働環境の意味ではありますが、あるいは、このBJへのオマージュも込められているのではと思ってしまいます-あくまでも、個人的感想ですが。
ところでツイッターで見た、恐らくパロディなのでしょうが、BJが熱中症にかかるからと、マントでピノコを直射日光から遮ろうとする漫画があります。しかしピノコは「熱中症」を、「ね、チューしよう」と思い込み、BJにこう言います。
「ピノコがいーっぱいチュウちたげゆっ」
余談ながら、本編の血小板が、ピノコキャラだったらどうだっただろうなとつい思ってしまいます。
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