先日の続きのようになりますが、やはり擬人化漫画であるということは、そこにストーリーがないと成り立ちません。でないと、どうも教科書的な乗りになってしまいます。
寧ろ学習漫画のように、この細胞はどのような働きをすると、役割のみを教える方法もあるでしょう。それはそれで役に立つからです。ただ商業漫画誌に連載する以上は、やはりそれでは済まされないところもあります。それを考えると、もう少し色々な点で、工夫がなされてもよかったかとも思ってしまいます。
私の場合、特に第1巻は最初と言うこともあり、面白く感じましたし(それ以降も無論面白いのはあります)、
肺炎球菌
スギ花粉アレルギー
インフルエンザ
すり傷
というラインアップは、色々な細胞が活躍することもあって楽しめたのですが、徐々に
いつまでも迷う赤血球
とにかく細菌を殺す、あるいは血小板といる白血球
が、テーマを問わず入って来るのはやや違和感を覚えるようになっています。
元々清水さんが、妹さんの勉強のために描いた漫画が発端ということもあり、どこかお勉強的になるのはやむを得ないのかとも思いますが、ならば細胞の役割をもう少しきちんとさせてほしいですね。赤血球は迷子になることはないし、免疫細胞を呼びに行く細胞でもありません。もちろん他の細胞もしかりです。
原作にも「学術的な事実とは異なります」とお断りはしてあるし、当然学術的な事実に則っていたら擬人化などできません。しかしやはりある程度、この一線を越えてはいけないというのもあるし、学術的事実とかなり違うのであれば、それはそれで、もっとディープな形でのドラマを展開してほしいものです。
『はたらく細胞BLACK』も、学術的事実とは違う部分は無論ありますが、それがそこまで気にならないのは、やはり作品そのものの、ドラマとしての描写が違うせいでもあるでしょう。私もスピンオフをすべて読んでいるわけではありませんが、このBLACK、そして趣が全く異なるものの、『はたらく細胞フレンド』に面白さを感じるのは、本編にないものを持ち込んでいるせいもあります。実際フレンドなんてかなり遊んでいますが、それはそれでまたいいかと。
あとキラーT細胞やNK細胞などの、リンパ球が武器にするパーフォリンとグランザイムについて。ますパーフォリンで相手の細胞を破壊し、グランザイムでアポトーシスを起こすわけですが、実際がん細胞をやっつけるリンパ球の映像を見ていると、相手の細胞の核の部分が、壊れているのがはっきりわかります。実際どのようなものであるのか見たいという方は、「リンパ球 攻撃」などで動画検索をしてみることをお勧めします。
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