いよいよ『JIN -仁-』の締めくくりです。といいますか、それらしきものを書いていなかったので、一応書いておこうかと。そもそも『風に立つライオン』を観て、ちらほらと観ていたこのドラマをもう1度観たくなり、DVDですべて観たわけです。なお、私の場合このパターンは多いです、『ガリレオ』もそうですし。
このドラマは一応はSF時代劇で、場所は同じであるものの、全く違う時代に行くことになっています。また、あちこちに瞬間移動できるわけではなく、タイムスリップ先の時代にしばらくとどまることになります。仁の場合、タイムスリップ直後に橘恭太郎が斬られるのを見て、即刻治療を施すわけですが、この時は現代から持ってきた手術キットのおかげもあって、そこそこうまく行きました。しかしこの世界で医療を行うにも、何せ時代は幕末、今のような薬品や道具もなく、多くの人を助けるには、今の技術を、その当時に入手できる方法で伝える必要が生じたわけです。そしてコレラ治療で名を挙げ、大きな信頼を得ると同時に、敵を作ることにもなりました。
そして運命の女性、咲と野風との出会いがあり、歴史上の著名な人物との出会いもありました。中でも坂本龍馬とは昵懇の仲となり、保険の話にも耳を貸してくれ、仁も、あるいは暗殺されるはずのこの人物を救うため、タイムスリップさせられたのではないかと思うようになりました。しかしその一方で、現代医療で助けたはずの人々が結局は死んで行く非情さ、「歴史の修正力」の厳しさを目の当たりにすることになります。そして、かつて付き合っていて、自分の手術が元で植物状態になった友永未来に生き写しの野風、彼女に惹かれる一方で、未来と自分の写真に変化が現れるようになり、野風の癌の手術をした時点で、写真そのものが消えてしまうことになります。
歴史を変えることの矛盾を抱えつつも、仁は仁友堂を開いて、仲間の医師や咲と治療活動にいそしむ日日が続きました。そんな中での野風の結婚、そして咲への想いもありましたが、未来から来た人間である以上、それは何ともしがたいものでした。やがて時代は移り、大政奉還と将軍慶喜の蟄居、そして彰義隊と新政府軍による上野戦争が行われますが、これに従軍した恭太郎を呼び戻そうとした咲が、銃弾を受けて傷を負います。しかも、その当時の医学では治せない緑膿菌に感染し、ホスミシンを求めてあちこちを探す仁は、その後未来に戻って行くことになります。
タイムスリップ後の世界は、タイムスリップ前とは微妙に違うものでした。そして、かつて橘家があった場所は橘醫院となり、咲に育てられた野風の子、安寿の子孫で、友永未来と野風にそっくりな橘未来と出会うことになります。咲のその後をことを教えてもらう仁。このドラマは、漫画を原作にした医療ドラマであるわけですが、それと同時に、未来→野風→未来、そして咲との微妙かつ行きずりの恋ともいえる想いを、タイムスリップという形で現したラブストーリーであり、仁を媒体として、様々な人が出会う人間ドラマであったともいえるでしょう。
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