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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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『国盗り物語』に見る明智光秀 59

その夜、光秀は紹巴のみを部屋に招いて、寂しさに耐えかねているから、話し相手をしてほしいと思春期の少年のようなことを言います。2人の前に酒、そしてするめと煎り豆だけの肴が置かれ、光秀は静かに口を開きます。
「先刻の発句の寓意、わかってくれたか」
さらに光秀は紹巴を友として尊敬していると言い、今から何を喋り出すかわからないが、ここだけの話にしておいてほしいと頼みます。紹巴はうなずきますが、もし光秀が企てに失敗すれば、自分にもその累が及ぶため、話を聞くだけとは言え、なかなかに度胸の要ることでした。

「ここ数日後に天下は一転する。平氏から源氏にうつる」
つまり平氏を自称する信長から、土岐源氏である光秀に天下の主導権が移ると光秀は言います。紹巴は左様なおそろしきことをと、両手で耳をふさぎたいようなそぶりを見せますが、紹巴に取ってもこのような話を聞かされるのは気の毒なことでした。
しかも京の名士たちと知り合いである彼に話すということは、自分の計画を全世界に向けて発信したも同じでした。光秀はこういう、後に引けない状況を作ることで、自分を追い込もうとしたわけです。さらに光秀は話を続け、平氏を倒した場合は、征夷大将軍の宣下を受けたいと言います。

その後天下を平定し、政権を朝廷に戻したいので、そのことを伝えてくれと光秀は紹巴に依頼しますが、しかし最早朝廷に政権担当能力はないと言っていい状態でした。紹巴は内心この光秀の考えに驚きます。信長は室町幕府を倒し、時代に合う政治体制を作り上げたのですが、その信長を倒そうとしている光秀の理想は、日本を律令国家時代に戻そうとする、ある意味非現実的なものであり、懐古趣味的な幻想と言ってもいいものでした。
紹巴は、光秀は天下人になると言うよりは、信長への恨みの方が強く、信長暗殺後に転がり込んでくる政権に、光秀自身はさほど興味がないのではないかと考えます。

話が終わって紹巴は寝所に引き上げ、光秀も床に就くもののどうも眠れず、一睡もせずに朝を迎えます。その日も連歌の興行が行われますが、次々と進む中で、光秀は寝不足のせいで呆然とし、昌叱から声を掛けられて、思わず以下のような言葉を発してしまいます。
「本能寺の堀の深さは」
紹巴はこの時「あら、もったいなや」と声を上げて、光秀は我に返ります。その後は順調に進み、昌叱が
「色も香も、酔いをすすむる花の下」
とつけ、さらに紹巴の
「国はなほ長閑なるとき」の揚句をつけて満座になりました。

連歌の後は寺名物の粽が振舞われます。光秀は丁寧に一礼してそれを口に持って行くも、心の中では別なことを考えていたせいで、粽の笹を剥かず噛んでいたため、一同は驚きま、紹巴はこの様子を見て、光秀の先行きに不安を覚えます。
しかしその午後、光秀は持ち込んだ黄金を愛宕権現、西坊威徳院に寄進し、紹巴ら連歌師にも分け与えます。そしてすぐ丹波亀山城へ入り、その夜は夢も見ずに熟睡して、翌日動員された家臣たちが城下にやって来ますが、光秀はこの期に及んで、なおも思案を重ねていました。

その翌夜、光秀は自分の寝所に弥平次と斎藤利三を呼び寄せます。夏のことで蚊帳を吊っており、2人はその中へ入りますが、この様子が、光秀がこれから話すことのただならなさを窺わせていました。しかしこの企てを実行に移すということは、十中八九、自分の家臣とその家族を煉獄に叩き込む結果となるもので、論理を持って説くよりも、詩によって自分の胸中を表現しようとし、短冊を持って来させて、光秀にしては拙い歌をしたためます。
「心知らぬ人は何とも言はば言へ
身をも惜しまじ名をも惜しまじ」

前回より連歌や歌が、物語の進行に大きな役割を果たしています。「時は今」の句を詠んだ光秀は、紹巴に胸の内を打ち明けます。宮廷人とも親交のあるこの人物に洗いざらい話したということは、最早彼自身が引くに引けなくなったということでもありました。
その光秀は、自分が天下を取って世を平定した後は、朝廷に政権をお返ししたいと言い出します。既にこの時代、朝廷に政権担当能力があるとは思えず、結局のところ光秀は平氏、つまり信長を討つことまでは考えていても、その後の具体的な政権構想には興味がなさそうでした。見方によっては、信長を討った張本人として光秀を討つであろう人物のために、政権の下準備をしたとさえ取れます。

また光秀はこの夜一睡もできず、翌日の連歌では思っていたこと、つまり本能寺の堀の深さはどの位なのかといったことをうっかり口に出し、紹巴がそれを制止した格好となります。さらに連歌興行後、粽を出されたものの笹を剥かず、そのまま口に持って行ったのを見て、光秀の気の弱さで天下が取れるのかと紹巴は密かに思います。
しかし光秀は、寺院への寄進のみならず、紹巴たちにも黄金を与え、丹波亀山城で家臣たちを待ち、ついに腹心とも言うべき弥平次と斎藤利三とに、自らの考えを打ち明けるに至ります。この時天正10(1582)年の5月の末で、あと数日で光秀の決意が現実のものになろうとしていました。

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[ 2021/05/15 23:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)
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Author:aK
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『青天を衝け』の感想も書いています。またBSで再放送中の『黄金の日日』の再放送も観ています。そしてパペットホームズの続編ですが、これは是非とも来年の大河が始まる前に、三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、『相棒』をはじめとする刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2021年には北半球最強であるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの試合も組まれています。このチームにいい試合をし、今後さらに上を目指してほしいものです。国内のラグビーも、2022年からはいよいよ新リーグがスタートです。

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