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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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『国盗り物語』に見る明智光秀 58

やがて光秀は足を搔き、立ち上がります。光秀の足元には血ぶくれた蚊が転がっていました。光秀はわら草履をはき、近習に松明を持たせて杉木立の中を進み、本堂にまず詣った後、奥ノ院を目指します。この奥ノ院は、最も霊験があらたかとされていました。
光秀はここで経を念じ、偈言をとなえた後みくじ匣から串を1本取り出します。その端には「凶」とありました。光秀はさらに1本引くもこれも凶であり、乱心したように匣を振ったところ、1本がこぼれ出、それは吉でした。しかし何度も振り立てて出た吉に、とても験があるようには思えませんでした。

光秀は串をまとめて折り、坂を下り始めます。足取りは重いものの、その重さに耐えてでも、自分の決意を実行しようという気持ちが息づき始めていました。神仏の加護がなくてもやらねばならぬことであり、その行動の結末がどのようであれ、この身が滅ぶだけだと彼は考えていました。
その翌日、京都側の登り口から連歌師の里村紹巴、昌叱(しょうしつ、里村紹巴の養子)らが登って来ます。光秀が連歌の興行の為に呼んだのですが、この頃織田家では、茶道好きの信長の趣味を反映して、茶道が大いに流行し、一方連歌は廃れ始めていました。連歌を嗜むのは光秀と細川藤孝くらいであり、そのため紹巴も彼らを頼りとしていました。

実は紹巴は信長を苦手としていました。かつて小牧に城を作った際、一句祝えと所望され
「あさ戸あけ 麓は柳桜かな」
と詠んだところ、武門の新城を開けるとは何事ぞと、信長の怒りを買ったことがあったためでした。
紹巴は、なぜこの期に及んで連歌の会なのかと不思議に思いますが、光秀は京の名残りに連歌を催したくなったと言い、さらに、ぜひ頼みたいことがあるとも言います。ちなみにこの紹巴は、親王や公卿、大名などとの交流もあり、打診役を頼まれたり、伝達役を任されたりすることもありました。しかし光秀が何を頼もうとしているのか、それは謎のままでした。

連歌の興行が始まります。紹巴は光秀が、発句を考え出すにしては苦悩している有様を目にして、妙だなと思っていました。やがて光秀は、自作を読み上げます。
「時は今 天が下しる五月哉」
これを聞いた紹巴は、光秀の意図を理解します。
時は今とは光秀の決意を表し、また「土岐は今」をかけているようにも取れます。天が下しるというのも、天下を冶(し)る、つまり統治するという意味が含まれているようです。

(さては、ご謀反か)
紹巴の持つ筆の先が、人目にもわかるほどに震えますが、彼と光秀以外の人物はこの句を文字の通りに解釈し、この句を受けた威徳院行祐の句はこのようなものでした。
「水上(みなかみ)まさる夏の庭山」
五月雨の季節、川の源あたりで水量が増え、庭山の緑があざやかであるという意味です。

紹巴は「おみごと」と声を上げ、自分の句を読み上げます。
「花落つる流れの末をせきとめて」
光秀の反逆の意を阻むという意味ですが、無論光秀以外に、この句の本当の意味を解した者はいませんでした。
最後は大善院宥源で、
「風はかすみを吹き送る暮」
と、ごく平凡に受けます。

光秀の愛宕参篭、そして愛宕百韻へと続いて行きます。この串を引く場面、光秀は最早神仏に判断をゆだねることなく、自分で決意したことを自分でやる、その心構えができたものと思われます。恐らく最初に吉が出ていれば、本人ももう少し心に余裕を持てたのでしょう。
そして愛宕百韻、本能寺前の有名な場面です。この「時は今」に、里村紹巴は光秀の決意、ひいては、光秀が自分に相談したいことが何であるのか、それを悟ったものと思われます。だからこそ諫める意味で、その反逆を翻すように促したのでしょうが、光秀の気持ちは変わらなかったようです。

ところで信長は連歌に興味を示さず、茶道、それも茶器の美術的な要素を愛したようです。これは、斎藤道三の茶好きが濃姫を通じて伝わったとも取れます。
一方で、父信秀が多少は嗜んだ連歌を彼は好みませんでした。京の人々に愛され、しかも中世的なにおいの強い連歌よりも、自分自身の視覚で良し悪しを判断できる茶器の方こそが、彼の好みにふさわしかったようです。
自然織田家の家臣たちも茶を好むようになり、連歌を嗜むのが旧幕臣の光秀と藤孝だけであったというのは、多分に象徴的でもあります。


飲み物-ワインのデキャンタとグラス
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[ 2021/05/14 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)
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aK

Author:aK
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『青天を衝け』の感想も書いています。またBSで再放送中の『黄金の日日』の再放送も観ています。そしてパペットホームズの続編ですが、これは是非とも来年の大河が始まる前に、三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、『相棒』をはじめとする刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2021年には北半球最強であるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの試合も組まれています。このチームにいい試合をし、今後さらに上を目指してほしいものです。国内のラグビーも、2022年からはいよいよ新リーグがスタートです。

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