このシリーズの第2巻、キラーT細胞の班長は相変わらず仕事に忙殺される一方で、他の細胞を探しに行かされたり、白血球との待遇の違いに憤ったり、赤血球とのコミュニケーションがうまく行かなかったりで、色々(本当はやらなくてもいい)苦労をしたり、ストレスを感じたりはめになります。尤もこれは、彼自身が過去を封印しようとしたり、相手の誤解を指摘しなかったがための、その当然の結末とも言えそうです。
そんな中で「夏祭り」などは、比較的班長自身の苦労が報われた?回とも言えますし、「0kcal」も顔面でボールを受けたとは言え、本人が好きなことができた回と言えそうです 。しかし暇な時におかずの作り置きをしたり、『きのう何食べた?』のシロさんみたいなことやっていますね。この中の男性キャラでは一番まめな人物のようです。
それから「海」で、腎臓の近くの水がきれいと赤血球が言いますが、腎臓という臓器の働きを考えると理解できます。あと「モチベ」と「お片づけ」で、班長が自己攻撃をしようとして、しかも前者は制御性T細胞に止められたものの、後者は止められなかった(当の制御性T細胞が、掃除中に読む漫画は面白いと言って読みふけっていた)ことを考えると、あれはやはり、炎症が起きてステロイドが届けられ、ヘルパーT司令のオフィスがぶっ飛ぶのを期待していたのでしょうか。
それにしてもヘルパーT細胞、この制御性T細胞のことを「お母さん」などと間違って呼び、マイクをオフにしていなかったため、その声が外に流れてしまうのですが、この2人はどういう関係なのかとちょっと疑ってしまいます。
それと第2回その2にも書いた緑膿菌、モブ的にあちこち出て来ますが、ちょっとピクサーアニメの某キャラをも思わせる風貌です。ピクサーと言えば、『インサイド・ヘッド』という作品、これは人間の頭の中の感情が出て来ますが、こちらも「これはあなたの物語」というキャッチコピーがついていました。人間の体内が舞台だと、やはりこうなるのでしょう。
閑話休題。その緑膿菌は抵抗力が弱ると、感染症を引き起こします。そもそもこの菌自体毒性は少なく、所謂日和見菌の一種ですが、もしこの菌が原因で感染症を起こした場合は、抗生物質の投与が行われます。この場合効果的なのは、かの『JINー仁ー』に出て来たホスミシンです。あの中では、タイムスリップした地点に落ちていた注射液でしたが、他に錠剤やドライシロップもあります。
ところで『はたらく細胞』のスピンオフシリーズで、『はたらく細胞BLACK』がありますが、これと本編を一緒に、比較しつつ読むのも面白いです。寧ろこれは、本編と同格に位置づけられるかと思います。やはりBLACKは大人版ということで、それゆえにかなりリアリティもあります。
主人公の赤血球からして仲間を胃で失っていますし、全体を覆う屈折したイメージは、本編では味わえないものです。この辺はやはり少年漫画のシリウスと、青年漫画のモーニングの違いでもあります。ところで前出『きのう何食べた?』もモーニング連載作品ですね。
他にも『はたらく細胞BABY』、『はたらく細胞LADY』、『はたらかない細胞』、『はたらく細菌』と様々なスピンオフがありますが、私としては『はたらく細胞WHITE』がちょっと面白いかなと思います。若い白血球(好中球)である桿状核球が、先輩たちのチームに配属されて、様々な経験を積んだり、ナイーブT細胞と出会ったりするわけですが、雰囲気がどことなく、あの『三銃士』を思わせます。
より正確に言えば、『新・三銃士』で、この桿状君がダルタニアンのような存在と言うべきでしょうか。見習生が先輩の中に飛び込んで行く、一種の成長物語ですね。そう言えばこの人形劇は「連続人形活劇」という触れ込みでしたが、『はたらく細胞』舞台版は「体内活劇」を謳っていましたね。
それにしてもこのキラーT細胞の班長、マッチョな雰囲気の見かけとは裏腹に、結構優しくて臆病で繊細な印象を与える人物です。その理由として、
出動命令を受けて、部下を率いるリーダーとして駆け付けなければならない 本来は一般細胞であるウイルス感染細胞の撃退を主に請け負う 若い頃は、寧ろ弱々しくて鬼教官にしごかれていて、ヘルパーT細胞と対立していた こういう点が、彼の人間像を形作っていると言えそうですが、これについてはまた追々書いて行きます。しかし、このキャラ本当に好きですね。あと樹状細胞の二面性も面白い。
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