先日書いていた『はたらく細胞』本編第1巻、既に読まれたことのある方もいるでしょうが、内容としては以下のようになっています。
第1巻
第1話 肺炎球菌
第2話 スギ花粉アレルギー
第3話 インフルエンザ
第4話 すり傷
第1話は登場人物のお披露目的な意味合いもあり、方向音痴の赤血球が、白血球に助けられて肺までたどり着くのですが、実は体内侵入を目論んでいた肺炎球菌が、赤血球の荷物の中に忍び込んでいたのです。ここで赤血球危機一髪となるのですが、遊走利用で白血球が助けにやって来ます。しかし敵もさるもの、莢膜で自分を守り、攻め立てるため、2人は気管支にこの菌をおびき寄せ、くしゃみとして体外に出してしまいます。白血球はこう言います。
「ばいばい菌だ」
この後で、赤血球がまた会えるかと訊くわけですが、これは後に登場する、2人の子供時代の伏線となっています。尚この回でも血小板が登場します。
第2話。スギ花粉が飛ぶ季節になり、記憶細胞が不吉な予言をします。それは大噴火、地殻変動、大洪水が一度に起こるというかなり恐ろしいものでした。そんな中、B細胞が抗体(IgE)を発射してアレルゲンを抑え込むのですが、それに反応したマスト細胞がヒスタミンを多量に出します。このヒスタミンがあふれたために分泌中枢がおかしくなり、アレルギー反応が起こり、くしゃみ(大噴火)、鼻粘膜の膨張すなわち鼻づまり(地殻変動)、あふれる涙(大洪水)といった症状が立て続けに起こります。最終的にステロイドが送り込まれて症状は治まりますが、その辺一帯は破壊(副作用)されてしまいます。
第3話。パトロール中のナイーブT細胞が、B型インフルエンザウイルスに感染した細胞と出くわします。彼は抗原に出会ったことがなく、白血球とマクロファージが退治するのですが、そのため班長をはじめ先輩T細胞にひどく責められます。先輩たがはウイルスをやっつける中、自信を失ったナイーブT細胞は逃げ出し、樹状細胞の許へたどり着きます。樹状細胞は、かつては先輩たちもナイーブT細胞だったことや、免疫細胞の共同体制を説明した結果、ナイーブT細胞は活性化し、エフェクターT細胞となって、増殖した仲間を連れて帰って来ます。これに加えて増殖を抑える発熱、消化エネルギーをウイルス撃退に使ったために起こる食欲減退、さらに発汗や、B細胞の抗体もあって症状は治まりますが、今度はA型のウイルスが現れます。型が違うため抗体も効力を発揮できず、しかもエフェクター細胞も元の無力なナイーブT細胞となり、免疫細胞たちは新たな戦いを迫られます。
第4話は血小板が活躍します。平和だった体内ですが、ある時轟音と共に大きな穴が開きます。擦過傷、所謂すり傷です。白血球たちは、傷口から入ってくる細菌を白血球がやっつける必要に迫られます。その菌の代表たる存在が、緑膿菌や化膿レンサ球菌です。優勢となった細菌の前に白血球たちはたじたじですが、そこへやって来たのが血小板の一段です。彼らは白血球の援護を受けつつ、協力してフィブリンを凝固因子でつなぎ合わせ、穴(傷口)を塞いでしまったため、細菌たちは今度は劣勢となってしまいます。さらにその白血球、現場にやって来た赤血球や、血小板に連れて来られた赤血球は、傷口がかさぶたになるまでフィブリンに体を囚われ、動けなくなってしまうのでした。
擬人化された漫画である以上、当然学術的事実とは異なります。(原作にもそれは明記されています)たとえば細菌を退治し、殺菌した白血球は実際にはその後死んでしまいますが、この作品では相手に負けた場合にのみ命を落とすように設定されています。また血液を構成している液体である血漿は、この中では登場しません。しかしそれぞれのキャラが立っていることもあり、読んでいて面白い作品です。また血小板とか、この後に出て来る乳酸菌などはアイドル的存在ですが、ナイーブT細胞とか、スギ花粉アレルゲンとか緑膿菌なども結構キャラデザインが工夫されていますね。
あと第4話の血小板活躍回。これにはかさぶたを作る目的があるためですが、最近は湿潤療法といって、表面を乾かさずに治療することも多くなっているようです。キズパワーパッドのように、それに対応した絆創膏もあります。
『はたらく細胞フレンド』第1巻についても投稿しようかと考えましたが、かなり長くなるので、また日を改めて。
スポンサーサイト