先日の続きです。「敗者としての」新選組隊士への感情移入は、悪いことではないのですが、敗者にこだわることで、大河に本来求められる客観性が感じられにくい部分もあるにはあるようです。『 八重の桜』は、主人公の立ち位置が異なることもありますが、所謂「賊軍」とされた勢力の置かれた立場が、何と言うかもっと繊細に描かれていた印象はあります。無論脚本家の違いもあるでしょう。
それから『新選組!』の出演者云々について。元々TVや映画の俳優さんへの見方は、年月が経つにつれていくらか評価が変わることもありますが、ここでは特に見方が変わった2名を挙げておきます。
まず、山本太郎さんです。この人は紀行番組などで、面白いというか大胆な挑戦をする人のイメージがあり、それが面白くもあったし、この大河に出演すると決まった時は楽しみにしていました。
その後芸能活動をしている内はよかったのですが、政治家に転身してからは、この人の違った一面、それも私に言わせれば、あのままタレントでいた方がよかったのになと思われる一面を見せつけられた気がしましたし、特に政党名(山本さん自身は今は議員ではありません)に「新選組」を持って来たのには、何だかなあと思いもしました。
それから主演の香取慎吾さん。この当時はまだ20代で、如何にも青年のイメージであり、しかもジャニーズ所属のタレントさんが主役というのは新鮮に感じられ、三谷氏が脚本を書くのと同様、かなりの期待を覚えもしました-尤もその後、ジャニーズで主役という点では、岡田准一さんのイメージの方が強くなりましたが。
ただやはり時が流れ、『真田丸』が放送されたことで、斬新なイメージがあった『新選組!』そのものも、やはり放送当時の高揚感は落ちますし、アイドルであった香取さんもSMAP解散やその後の活動などで、当然とは言えますが、この当時とはかなり印象が変わってしまってはいます。それが、この大河が少し古くなったという印象を与えるのかも知れません(逆に山本耕史さんなどは、当時のイメージが今なお残っています)。
個人的に三谷さんは格別好きというわけでもなく、だからと言って嫌いというわけでもないのですが、やはり癖のある人ですし、また元々が舞台の人ということもあって、自らが前面に出る傾向は強く感じられます。
確かにここ2年ほどの大河で、脚本家が今の時代をネガティブに見たがるのに比べると、面白い作品を作りますという一言には、強烈なインパクトが感じられます。ただ一方で、そういう姿勢が他の大河とは趣を異にしており、王道大河好きからは多少反発を買う一因でもあるでしょう。
この辺りはやはりジェームス三木氏とは異なっています。こちらは朝ドラも手掛けており、あくまでも脚本家としてのイメージが強いせいもあります。
来年の『鎌倉殿の13人』は、いよいよ三谷大河の集大成ということで、その意味では、今までのやり方とは違ったものを求められるのではないでしょうか。あるいは、今までの路線をさらに昇華するのかも知れませんが、いずれにせよ、大河の脚本家としても正念場ではあると言えます。
また当然戦闘シーンもあるのですが、石橋山の戦いと壇ノ浦の戦いではスケールも違います。今回は前回の関ヶ原とは異なり、壇ノ浦を丸々描かないというわけには行かないでしょうが、どのようにするのでしょうね。
以上、問題点の指摘となっていたかどうかはわかりませんが、ひとまずこのテーマはここまでにしておきます。
それから『鎌倉殿の13人』、考証チームから結局呉座氏が降板して以下の3名となったようです。
2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」考証チームのご紹介
(NHK ONLINE)
スポンサーサイト