今回は、史朗と航の出会いについてです。
ドラマだと、第6回がそれに当たりますが、この回では小日向の件とは別に、史朗は女性の司法修習生を預かることになり、しかもこの修習生が自分に好感を持っているようで、気が気ではありません。どうも史朗も少々思い過ごしかではないかと思われますが、何せ賢二が彼女との仲を気にしており、やはり神経をとがらさざるを得ないのです。そこでつい史朗は、彼女に
「彼氏いるの?」
と訊いてしまい、後悔することになります。結局彼女は、若先生こと修の担当となりました。
このようなもやもやがある一方で、小日向からのお誘い攻撃です。史朗は、賢二が飲み会で遅くなる日を選んで小日向に会いますが、やはり賢二への背徳感に囚われていました。そして小日向は、また恋人であるジルベール=航の話を始めます。
「航の仕打ちがひどすぎるので」
と始まった小日向の話は以下のようなものでした。
ある日、2人は海外旅行に出かけようとするものの、航がクリーニング店から服を受け取るのを忘れたと言い出します。そして小日向に取って来るように頼む、というか命じます。しかしまだ午前8時であり、当然クリーニング店が開いているはずはありません。結局服を受け取ることはできず、出発までの間ご機嫌斜めの航を小日向はなだめすかし、どうにか成田エクスプレスに乗ることができました。
史朗は例の金髪の美少年が大いに腹を立て、小日向が謝っているシーンを想像したことでしょう。
さらに小日向は言います。
「もう限界かなと思う時があるんですよ」
「初めて会った日を覚えていますか。
筧さんにはすんなりと航の悪口を言えたんです」
史朗は、小日向がどうやら恋人との仲を相談するという体で、自分を口説こうとしているのではないかと考えます。
さらに小日向が、どうしても筧さんに会って…と口にした時、史朗は
「俺、今一緒に住んでる奴がいるんです」
と叫ぶように言います。
その時向こうから声がします。
「大ちゃーん!」
実は小日向には、史朗を口説くつもりなどありませんでした。彼は、同居しているジルベールこと航を紹介したかったのです。航は至ってあっけらかんと自己紹介をします。
「航でーす」
その容姿が、例の金髪の美少年とあまりに違った、普通の青年であることに史朗は驚き、小日向にそれを尋ねます。小日向は言います。
「僕に取ってのジルベールという意味です」
また
「限界です」
というのは、
航の要望を100パーセントかなえるには、体力的に限界があるということでした。
「紛らわしい、あのテンションで来られたら、こっちは誘われてんのかと思うだろ」
史朗は内心そう思います。
またレストランであるにもかかわらず、Tシャツ姿でやって来る、しかもごく当たり前の、人のよさそうな雰囲気の航を見て、さらにこう考えます。
「その普段着で一体どんな服をクリーニングに出してるんだ」
「その善人顔で本当にあんな仕打ちをしているのか」
史朗は航に年齢を訪ねます。航は無邪気にこう答えます。
「30になったばっかでーす」
「そもそも美少年設定無理だろ!」
と、史朗はまたしても思うのでした。
それからほどなくして、帰りに半額でゲットできた鶏手羽先で水炊きを作っていた史朗は、小日向の件や修習生の件が脳裏を掠め、かなり鬱屈してしまうのですが、その後賢二と一緒に夕食を摂っているうちに、不思議とすっきりした気分になります。
史朗が賢二に小日向のことを話したところ、幸いにというか、賢二は史朗と小日向の食事よりも、航に興味を示し、さらに「針ネズミ」、ネズミが針を持っている柄のTシャツの件で大笑いして、一度会いたいと言います。こうして史朗と賢二は、もう一組のゲイカップル、小日向と航に新宿2丁目で会うことになります。
(画像は公式サイトより)
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