先日の続きです。ニッコームックの『真田丸』ガイドブック後編(真田丸 続》完全読本)のスタッフインタビューは、ヴァイオリニストの三浦文彰氏、ナレーションの有働由美子氏、そして再び制作統括の屋敷陽太郎氏となっています。
このうち、ドラマの意思決定に関わる屋敷氏のインタビューを採り上げてみます。この時点では既に放送が始まっていることもあり、トークショーの雰囲気は上々で、さらに時代考証の黒田基樹、丸島和洋そして平山優の三氏に加え、風俗考証の佐多芳彦氏のアイデアの影響も大きいと屋敷氏は語っています。実際越後での鉄火起請とか、それぞれを治部や刑部、左衛門佐といった官職名で呼ぶやり方などは、これらの人々が大きく関与しているようです。
他にも、第一次上田合戦の槍の使い方への指摘や、室賀正武の描き方が評価されていること、地元の盛り上がりに加え、主演の堺雅人さん自身もまた高評価されています。要はこのドラマの企画そのものが、うまく軌道に乗っているわけで、私もこの大河の、これらの評価には同意できます。堺さんへの高評価は、「相手をどう引き立たせようかというお芝居の感覚が鋭く、滑舌がいい」とのことですが、個人的には「滑舌がいい」のもさることながら、話し方に一種独特の雰囲気があるのが、信繁のキャラ設定に一役買ったのではないかと思っています。
無論この時点では、まだ最後の方の展開はわからないわけですが、これに関して屋敷氏いわく
「ただ、作家さんは書き進めるうちに、不思議と『これしかない!』という展開に帰結するものです。自分が手がけたキャラクターたちなので愛情がこもっていますし、演じる側もそこに大きなズレがあると違和感がありますから、きっとそういう行動しかしないだろうと、誰もが納得する展開になるはずです。みなさんも毎週欠かさず見て、ラストの描かれ方にハマってほしいなと思います」
というわけで、PRもばっちりなされています。元々『真田丸』は、PRにお金を使っているなと思われる所がありますが、これも制作サイドのプラン通りということでしょう。
その屋敷氏に加え、有働由美子氏のコメントも一部ご紹介しておきます。三谷氏は某紙のコラムで、有働氏のナレーションをと褒めつつも、元々は『国盗り物語』の中西龍氏の”語り”がイメージにあったとのこと。そこで有働氏も中西氏のアーカイブスを聞いてみたりしたものの、どうしてもそうはなれず、腹を括って声を出すようにしたところ、自分の声に色がつくようになって来たとのことでした。しかし実際有働氏の声と中西氏の声は、女性と男性という違いのみならず、かなりイメージが異なるかと思います。所謂「ナレ死」の時などは、あの独特の語り口が活かされたとは思いますし、あとこの大河はアバンがなく、OPの後に前回からの説明があるわけですが、その時の「有働節」は印象に残りました。
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