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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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『河童』に関して思うこと-4

主人公は詩人のトックを紹介して貰います。このトックが詩人らしく髪を伸ばしているという表現がありますが、その当時の詩人と呼ばれる人々の肖像を見ると、確かに普通の男性よりは長めといった感じです。しかし所謂ロン毛と呼ばれるような長さでもなさそうです。でまあ、何だかんだと言いながらもごく普通の生活を羨ましがるわけです。この辺りは当時の人間社会を示唆しているといえます。

しかしその次の章、恋愛に関して雌の河童の方が雄より積極的である部分などは、河童社会特有のグロテスクさを含んでいると考えられます。これは人工中絶(と言えるのかどうか)も似たようなものでしょう。こういう生殖とか、生物の本能に関する記述の場合は、たとえそれが人間社会(の反対)を暗示するものであったにせよ、この作品ではかなり生々しい表現を取っています。小学生の頃確かにこの作品を読んだことはあるのですが、こういう箇所をどのような気持ちで読んでいたのかどうも記憶がはっきりしません。

雌が雄を追いかけるのを何とかできないのかと、主人公は哲学者マッグに迫りますが、マッグは官吏、つまり公務員の中に雌が少ないこと、また仮に官吏に雌が多ければ、それはそれでやはり雌は雄を追いかけ回すだろう(つまり何も変わらない)といったことを口にします。このマッグは、この意味では孤高の存在とも言えるのですが、あなたは雌に追いかけられずに済んで幸せだと言う主人公に対し、自分も時々は追いかけられてみたくなると言う辺り、ごく当たり前の家庭生活を羨ましがるトック同様、どこか屈折したものがあるようです。

そして音楽会。トックと一緒に行った3度目の音楽界で、トックと同じ超人倶楽部のメンバーであるクラバックなる音楽家が自作のリード、所謂歌曲を演奏し始めます。しかしその途中で警官が入って来て、演奏中止を言い渡したものですから会場は騒然となります。サイダーの空き瓶や石ころや「噛ぢりかけの胡瓜さへ降つて来る」とあり、これは如何にも河童の社会らしくはあるのですが、なぜかこの世界では音楽に検閲が入るものの、絵画や文芸はお咎めなしです。

これについては、音楽会で一緒になったマッグが
「絵や文芸は何を表現しているかはわかるから禁止されない、音楽の場合、風俗を壊乱する曲は耳のない河童にはわからないから取り締まるのだ」
と摩訶不思議なことを言います。主人公はそれは乱暴だと言うものの、マッグが日本の例をごらんなさい、つい1か月前にもと言いかけたところで、空き瓶が頭に当たって気を失ってしまいます。この日本の例が具体的に何であるのかはともかく、検閲は多くの場合何かの前提があって行われるわけですが、この場合の検閲なるものは何やら突発的でもあります。

ところでここの章で
「クラバツクはピアノに向つたまま、傲然と我々をふり返つてゐました。が、いくら傲然としてゐても、いろいろのものの飛んで来るのはよけない訣に行きません。従つてつまり二三秒置きに折角の態度も変つた訣です。しかし兎に角大体としては大音楽家の威厳を保ちながら、細い目を凄まじく赫かがやかせてゐました。」
とありますが、英文出身の芥川龍之介らしくというか、やや不自然な日本語ではあります。折角の態度というのは、折角の演奏と置き換えるべきでしょうか。またクラバックという名前、クラバットに由来している感がなきにしもあらずです。そもそもリードは古典派に端を発し、ロマン派で完成したことを考えれば、その当時の作曲家たちはもちろん、現代のような細いタイでなく、クラバットと呼ばれる布状の物を襟元に巻いていました。

さて、この次は硝子会社の経営者であるゲエルが登場し、ここでも河童の世界特有の、ちょっと信じられないようなことが起こることになります。しかし物語が進むに従い、当然ながら出て来るキャラも増えてくるわけで、それぞれのキャラ設定が新鮮であると同時に、実を言えば、若干煩わしさをも感じるわけで、仮に主人公とあと2名位で話を進めていたら、また違った印象になっていたでしょう。

飲み物-サイダー
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[ 2020/08/13 00:00 ] | TB(-) | CM(0)
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Author:aK
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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