大河ドラマ関連で少々。今年の大河『麒麟がくる』のガイドブックで、『国盗り物語』が紹介されているのは前にも書いています。背景の時代も登場人物もかなり共通するためですが、正直な話、DVDの総集編を観た限りでは、後者の方がやはり面白いというのが私の意見です。ところでもちろんこの2作品以外にも、時代背景や登場人物が似ているという大河は多いものです。と言うか、半世紀以上作り続けていると、どうしてもそうならざるを得ず、それが大河がある意味マンネリ化してやしないかと思う所以です。
ところで来年の『青天を衝け』ですが、これは意外と重なる時代はなさそうです。幕末明治物に含まれるのでしょうが、明治以降の時代が長く、また所謂幕末大河にある薩長土でもなく、しいて言えば幕府側メインの幕末大河になるのでしょう。とはいえ、『勝海舟』、『徳川慶喜』や『新選組!』などは明治維新で終わっているため、これらの作品とは描く時代が違います。明治以後という点から見れば
山河燃ゆ
春の波涛
いのち
の近現代三部作が挙げられますが、これらは幕末も、また作品によっては明治も描かれていません。このため、似通った作品があるようでないと言えるかと思います。『八重の桜』にいくらか共通点が見られるでしょうか。
そして再来年の『鎌倉殿の13人』ですが、これは『草燃える』と言う、似たような時代かつ登場人物の大河があります。実は今年は、『国盗り物語』の高橋英樹さんや近藤正臣さんが顔見せ的に出演してくれるかと思ったのですが、寡聞にしてそういう話は聞いていません。また出てくれたとしても、最早リアルタイムで観ないとは思いますが…。『草燃える』の場合、北条政子が岩下志麻さん、源頼朝が石坂浩二さん、そして北条義時が松平健さんでした。このお三方のうち、どなたかオファーがかかるでしょうか。何と言っても大河での岩下さんは、初出演のこの作品を皮切りに、嫡男やその乳母と対立し、二男を溺愛する母親という役どころが定着した感があります。
来年の渋沢栄一の場合、今まで似たような人物が主人公になっていないというのも、類似作品が見つからないという点につながります。武士から実業家に転身した人物が主人公になった例は、今までにはないはずです。しかもやはり実業家としてのイメージが強い人であり、この点が、大河は本来は武士を描いてほしいというこちらの希望と、いくらか齟齬を生じるわけで、だからこそ期待薄であったとも言えます。最早『麒麟がくる』よりこちらに望みをつなぐようになってはいますが、無論本当に面白いのか否か、始まってみるまではわかりません。しかし吉沢亮さん主演なら、やはり若い頃中心に、10回シリーズほどで描いた方がいいのではないでしょうか。何よりも先日書いたように、この人は『半沢直樹』の高坂君の方が似合っているように見えますが。
今までにも、この主人公はちょっとよく知らないというケースはあったと思われます。『樅ノ木は残った』の原田甲斐などは、あまり知らないという人も一定数存在したでしょう。あと『元禄太平記』の柳沢吉保に加え、70年代後半の諸作品の大村益次郎、呂宋助左衛門や90年代前半の奥州藤原氏なども、名前は知っているとか、主だったことだけ知っているという人もいたかも知れません。来年は、恐らくこちらのケースに入るのでしょう。ならば余計にその人物を印象づけるためにも、もう少し年季を積んだ俳優さんでよかったかとは思います。
しかし今年は、日本の節目の年(オリンピック)で「大河新時代」と、かなり大見得を切ったPR方法を持って来たようですが、生憎オリンピックは延期となり、別の意味で、今まで経験したことのない年になってはいます。そもそも大河新時代とは何のことでしょうか、いくら何でも、あのような前代未聞の衣裳を持ち出したことが、即ち新時代ということではないと思いますが。そもそも大河を旧と新に分ける必要があるのでしょうか。
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