ここまでの感想その3です。このキャスティングですが、これは俳優さんの好み、キャラ設定の好みもあり、これまでにも増して主観が入るかと思います。
まず光秀役の長谷川博己さん、細身で長身という設定は悪いとは思いません。しかし、やはりどこか武将にしては細すぎる印象があります。長谷川さんが『まんぷく』に出た時は、その線の細さが逆にストイックで、研究熱心な印象を与え、意外とダネイホンの扮装も似合っていました。『八重の桜』の川崎尚之助も、学者タイプだったからこそあれでよかったのだと思います。この人はスーツを着て、現代ドラマに出ているのが向いているのではないかと思わなくもありません。明智光秀というのは、もう少し中肉中背で、そつのない印象の人物でいいかとは思います。長谷川さん自身はちょっとエキセントリックで個性があるので、役によってはうまく嵌りそうなのですが。
それと染谷将太さんの信長、前に書きましたが、今までの信長と内面的にも外見の上でも違うため、やはりどこか違和感があります。染谷さんは『江~姫たちの戦国~』で森蘭丸の弟の坊丸(長隆)を演じており、『清須会議』では蘭丸を演じているため、そちらの方のイメージが強いせいもあります。ちょっと話が飛びますが、元々信長にはかの『新・三銃士』の、ルイ13世のイメージがいくらかだぶります。このルイ13世、ガイドブックの操演の佐久間おさむさんによれば
「一見アホに見えるけれど、ふと見せる孤独感。能天気で無邪気に遊んでいるかと思うと、急にまともに。(中略)ルイの心の振り幅をどうやって表現していくかというのは、楽しい作業です(後略)」
とあります。要はうつけと言われながら見せる孤独感、型破りのことをしているかと思うと急にまともに、このように言えばいいでしょうか。だからこそ、如何にも怖いもの知らずな外見とのギャップがあっていいかとは思うのですが…。
そして本木さんの斎藤道三。やはり「きれいすぎる」ところがあります。本木さんが一生懸命演じているのは伝わってくるのですが、それがどうも馴染まない。どこか力が入った感じで、それがもどかしい印象がありました。尚先日の投稿で、まつが家康に茶を出すシーンに触れています。無論『利家とまつ』では、展開上毒を入れるという設定にはならないでしょうが、道三が土岐頼純を殺すのも、毒入りの茶でなくてよかったかと思います。あれは、如何にも道三が謀略にかけますといったイメージで、いくらか仰々しさを感じさせます。
道三は別の俳優さんで、本木さんは明智光安、そして西村まさ彦さんが平手政秀でよかったのではないかと思います。西村さんだと、暴走しがちな信長にどうやって手綱をつけるか悩む、そういう政秀をうまく演じられたのではないかと思います。ただこの大河は、信長もメインの人物ではあるのに、平手政秀、今川義元ともあまり出て来ず、それが残念です。尚政秀役の上杉祥三さんは、三好長慶でよかったかと思います。その場合山路さんの配役をどうするかにもなりますが。
それと、女性キャラの二枚看板である帰蝶と駒。帰蝶に関しては、急に川口さんに決まったわけですから、確かにいくらか役のイメージに沿わないところがありますが、これは仕方ないかと思います。ただ沢尻さんが演じたにしても、どうもこの帰蝶=濃姫の描かれ方は私としてはあまり好きではありません。それと駒、自由に動かせるキャラではあり、恐らくは『太平記』の藤夜叉のような天涯孤独の存在ではあるのですが、やはり藤夜叉のような宿命を負っているイメージがあまり感じられません。門脇さんがどうこうと言うより、演出のせいであるように見えます。
一方で吉田鋼太郎さんの松永久秀、谷原章介さんの三淵藤英はいいと思います。眞島秀和さんの細川藤孝に関して言えば、この人はどうも『軍師官兵衛』の顕如のイメージがあります。同じ意味で、風間俊介さんも松平元康より『西郷どん』の橋本左内のイメージが未だ強いです。眞島さんは『JIN-仁-』で大久保利通を演じていましたね。そういえば及川光博さんも大久保を演じていたことがありますが、大久保は濃いめの顔なのに、お2人ともすっきり系の顔立ちなのがちょっと意外でした。あと向井理さん、足利将軍というよりも江戸時代の殿様の雰囲気があります。
尚、どう見てもこれは適役という人物が、一名ながらいます。言わずもがなではありますが、岡村隆史さんの菊丸です。
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