大河ドラマの中では戦国時代の設定が、圧倒的に多いです。今まで放送された59作のうち、25作が戦国から江戸時代前期を舞台にしています。但しこの場合、日本の戦国時代とはやや異なることもあり、『琉球の風』はカウントしていないので、これを含めると26作になります。次に多いのが幕末(『花の生涯』を含む)で14作、次いで平安・鎌倉時代が8作、江戸時代5作、近現代物4作、南北朝と室町が1作ずつです。
しかし、今まで何度か書いてはいますが、今のように戦国と幕末のヘビーローテーションになったのは最近のことで、それまでは平安・鎌倉時代や江戸時代(主に赤穂義士関係)を題材とした物を組み込んでいたため、今よりも大河のテーマにバリエーションがありました。また戦国時代が続いた場合でも、時代や登場人物が被らないための工夫もされていました。たとえば、昭和44(1969)年から昭和46(1971)年までは、戦国から江戸初期の時代設定の大河が3本連続して制作・放送されています。しかし時代背景や舞台はかなり異なります。
『天と地と』16世紀半ば、越後
『樅の木は残った』17世紀前半、仙台
『春の坂道』16世紀~17世紀、大和及び江戸
『樅の木は残った』は初のご当地物で、好評だったようです。これで主役を演じた平幹二朗さんが、『国盗り物語』の斎藤道三に抜擢されたのもうなずけます。その『国盗り物語』は『春の坂道』の2年後で、この頃は戦国物がかなり放送されていますが、その後は『黄金の日日』まで、戦国時代を舞台とした作品は放送されていません。
寧ろ戦国物は1980年代がかなり多く、1980年から89年までの大河のうち、戦国物は5本作られています。これは、80年代半ばに近現代物が放送されたことも関係しているでしょうか。特に1987年から89年の3年間は、戦国をテーマとした作品が続いていますが、これも時代設定や登場人物が、特に2年連続ではダブらないようになっており、マンネリ化を防いでいたと思われます。1996年の『秀吉』と97年の『毛利元就』、2006年の『功名が辻』と07年の『風林火山』にも同じことが言えます。
ただ2016年の『真田丸』と『おんな城主 直虎』はいずれも同じ登場人物、特に徳川家康の扱いがそこそこ大きかったと言えます。井伊直虎でなく今川義元が主人公であったなら、大分違っていたでしょう。
特に最近は、赤穂義士を主役にした大河が制作されなくなりました。そろそろまた作られる頃かとも思いますが、最近『歴史秘話ヒストリア』で楠木正成が紹介されたところを見ると、南北朝大河の方が先になるでしょうか。赤穂義士は、作り方がややワンパターンになりそうなので、その少し前からの浪人たちの反乱(これも以前触れていますが「慶安の変」など)を描き、これにつなげるという方法もありそうです。
江戸時代に加えて、室町時代をもう1作放送することもできそうです。こういうのを戦国と幕末の間に2つほど挟むと、大分大河ドラマの印象も変わってくるでしょう。無論これは、今まで通り1年単位で放送するのであればの話ですが。
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