先日の「ラグビー情報関連再び」で、永田洋光氏について書いています。以前から、「ラグビーメディアに思うこと」というタイトルで、ラグビーを報道する側についての私見を書いて来ましたし、ラグビー記者と一口に言っても、色々な人がいるということについても触れています。この永田氏に関していえば、かつてはそこまで違和感を覚えることはありませんでした。特に第3回ワールドカップでの、小藪修氏の采配に関しての記事や著述は、うなずけるものもありました。最初に違和感を覚えたのは、平尾誠二氏の監督時代に、殊更に批判を繰り返したことです。無論平尾氏が、ワールドカップで如何に選手を勝たせるかという、監督(HC)が持つべきビジョンをまだ持ち得なかったことに関しては、これまたうなずけるものもありました。ただ宿沢氏とエディー・ジョーンズ氏の強化方法に特徴的な
パス重視
型を決める
これらを是とするあまり、平尾氏をはじめとするそれ以外の監督やHCの強化策に否定的で、そういった見方がジョセフ現HCの、キックを使う方法に対する批判に反映されていると思われます。
これは永田氏の記事ではありませんが、監督時代の平尾氏は、99年ワールドカップ後にこのように言ったとされています。
「誰が監督やっても同じやったと思います」
この言葉の前後が端折られているため、平尾氏が何を言わんとしていたのかはわかりませんが、この言葉を額面通りに受け取ると、平尾氏が責任逃れをしているように取れます。私も以前、そう思ったことがありました。しかし考えてみれば、代表チームも監督(HC)も、すべて統括組織である日本ラグビーフットボール協会の下にある以上、協会そのものが代表強化、ひいてはワールドカップでの勝利に乗り気ではなく、平尾氏としては、結果的にこれなら誰が監督でも同じだという結論に達したとも取れるのです。統括組織といえば、スポーツ報道では矢面に立たされることが多いです。無論それが正しいのかどうかは疑問ですが、統括組織も自分たちが何を考え、代表チームをどうしたいのか、ファンに対してどうアピールしたいのかを述べる必要があります。
そして何よりも、組織と記者たちとの駆け引きもまた重要になって来ます。今も十分とはいえないかも知れませんが、かつての日本ラグビーフットボール協会は、この視点があまりなかったと言わざるを得ません。そのため、記者から突っ込まれることを嫌っていたようにも見えます。さらに統括組織である以上、特に代表をどうすべきかについて、自分たちの考えを確立するべきであり、その考えに基づいて、スタッフとの話し合いを十分に行う必要がありましたが、どうもこういった部分も欠落していたと思われても仕方ないでしょう。今の協会、特に外国人HCの就任以降は、代表強化スタッフがかなり積極的にコメントすることもあり、この点はいくらか改善されていますが、統括組織は単なるOB集団ではなく、もっと広い視野を持つべき存在であり、先日の『Number Web』の藤井雄一郎氏のコメントも、とかく後手に回りがちな日本協会に対しての、牽制球と取れなくもないのです。
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