先日の、藤井雄一郎代表強化委員長のインタビュー記事の続きです。日本はスーパーラグビーを撤退するどころか、寧ろ複数チームを作って参戦すべきというのが藤井氏の意見であり、さらにプロチームとしてユース育成組織を重視しています。
やはり、プロチームがないと育成が進まないんですよ。プロチームがユースチームを持って、ユースの選手を育成すれば、選手の情報も共有しやすいし、U20などのユースチームも作りやすい。海外の大会に参加したり、海外のチームに留学させることもやりやすい。
今のシステムだと、選手がバラバラに大学に行くから、どうしてもその大学のカリキュラムに縛られる。試験があればそこは外せないし、トップリーグの企業に入れば、研修があったりする。人生設計でそっちを選びたい選手はそうしていいけれど、現在はプロとして、競技に集中したいと思っている選手がたくさんいる。そういう選手に選択肢を示してあげないといけない。
私としては、新リーグのチームはユース組織を持ち、高校大学の枠に囚われず、そちらでプレイをした方がいいと考えていますが、まずサンウルブズにこの組織を持たせるのもいいでしょう。というか、プロアマに関わらず本来は下部組織を持ち、子供たちや高校生などをそこで育てるのが望ましいのですが、日本の場合企業、大学そして高校と別々になっていたため、そういう一貫性のある育成組織を作れなかったというのが実情です。こういう育成過程の方が学校と切り離せるため、ある程度の試合数も経験でき、若くして代表入りを果たすことも可能ですし、現にそういう育成組織で育った海外の選手を相手にする以上、これもまた避けて通れない問題です。
そして藤井氏は、次のようにも語っています。
次に必要なのは、価値があがったものを、対価を払う人のところへちゃんと売ることです。昨年のワールドカップで日本代表があれだけ躍進して、日本中にラグビーブームが起こって、ワールドカップ組織委員会は60億円もの収益をあげた。なのに、日本協会には全然お金が入ってこない。
選手があれだけ頑張ってワールドカップで勝って、日本ラグビーの価値を上げた。なのに、日本協会ではそれをちゃんと売ることができていない。結局、いままでのラグビー協会の仕組み、やり方、マーケティングを委任している業者が、そういう方向を向いていないから対応できない、発想も出てこないんです。
そして代表強化費も削られている点にも言及しています。費用を削られることが、如何に強化に響くかは『ノーサイド・ゲーム』でも描かれていました。特に今年は強豪国との対戦を控えており、その結果が次のワールドカップのシードに影響するわけで、逆に予算をさらに増やすべきなのですが、なぜそうならないのか。実際外国人選手の間でも、日本ラグビーの評価は上がっているのに、その評価を上げた選手たちを売り込み、費用を獲得するという発想になっていないと見るべきでしょう。
日本ラグビー界の「商品」、つまり選手に関しては、これも20年ほど前から、まず商品を作ってそれを売り込むようにしないといけないと、当時の社会人リーグの外国人コーチに指摘されてもいました。その20年後、「商品」は既に存在しているにも関わらず、なぜかお金が入ってくるようになっていない。この点も、その道のプロに委ねる必要があります。そのためにも、各分野のスペシャリストである理事の力を借りるべき、でないと次のステージに行けないというのが藤井氏の考えです。
チャンスをつかもうという選手が増えていますよね。だからサンウルブズの今後、日本とスーパーラグビーの関わり。まだまだ動きはあると、僕は見ています。そして、動かなければ未来はないと思っています。
「動かなければ未来はない」というのは、なかなか厳しい意見ではありますが、見方を変えれば、まだまだ協会はこういうことに対して、迅速に対応できるようになっていないということです。スーパーラグビーは現在コロナウイルスの感染拡大防止のため休止中ですが、今後何らかの動きをこちらから仕掛けることも必要になるでしょう。
次回は、日本の国内シーンと代表試合に、スーパーラグビーを組み込む件についてです。これは清宮克幸副会長も、同じことを提案しています。
(この項続く)
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